VoIPの破壊力と通信規制

9月16日日経産業新聞ITに掲載されたコラムです。通信規制緩和の話。

その前に、ちょっと背景を説明すると・・・

カリフォルニアでは、数年前に電力危機がありました。原因のひとつは、電力の卸価格は規制緩和したのに、消費者へのリテール価格は規制されたままだったこと。規制緩和は、
「供給できる量が少なくなれば、値段があがる」

「値段が上がれば、消費が減る」

「供給できる量が減った分需要も減って、一番適切なところで値段が均衡する」
という、「風が吹けば桶屋が儲かる」方式でバランスをとるためのもの。卸だけ規制緩和して、消費者側の価格が変わらないと、「供給量が減ったのに、消費者はがんがん使い続ける」ということになって、電力事情が逼迫。

同じようなことが、VoIPを「最後の藁」として、通信でも起こるのでは、という危機感の表明でございます。ゆがみのパターンは違えど。

とかいって、自分もVoIP使ってるんですよね。アメリカでは、携帯電話・固定電話・VoIP電話の3つの間で、自由に電話番号を移行できるのが破壊的威力あり。我が家も、家で使っていた番号を、VoIPに移してしまいました・・・。では本文へ。

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アメリカに集約するヘルスケアのイノベーション

新日本監査法人のIPOセンサーという季刊誌に最近書いたコラムです。

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アメリカで病院にかかると、たいていの外国人はびっくりする。べらぼうに高いからだ。盲腸のようなちょっとした手術で200万円、アレルギーで点滴してもらって20万円、処方箋で買う抗生物質が1万円、といった調子だ。がんの手術ともなれば一千万円単位。保険があるからいいものの、そうでなかったら、うかつに怪我もできない。

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医療が高価な理由のひとつに、健康保険制度が自由化され、健康保険会社が1600社以上もある、ということが挙げられる。

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石器時代のアメリカブロードバンド(でも便利)

日経産業8月22日に掲載されたコラムです。
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 アメリカのブロードバンド(高速大容量)通信の普及状況は前時代的といえる。一年で七年分進むという「インターネットイヤー」の感覚で言えば「石器時代」といってもよい。

 日本の家庭では百メガ(メガは百万)ビットの光ファイバーを敷くことも珍しくないが、米国で百メガビットといえば特別にインターネットを多用する大企業が毎月百万円を投じて利用する感覚だ。家庭では一メガビットもあればすごい、というイメージだ。数百人規模のオフィスでも、一・五メガビット程度で普通だ。

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バイオの超シリアル・アントレプレナー

新日本監査法人のIPOセンサーという季刊誌に最近書いたコラムです。

たくさん起業してしかも成功している人の話。でも、この手の人たちの中には、実際あってみると、「大嘘つきスレスレ」という人が時としているのも確か・・・(全員じゃないですよ)。そういうアントレプレナーを称してDelusionalといっている人がいましたが、まさにそういう感じ。先日、Worldcomの元CEO、Ebbersが25年の判決を受けて奥さんともども涙を流していましたが、「delusionalなアントレプレナーの人が、激しく成功して、どこかで道を踏み外すとこういう風になるんだろうか」と思いました。

というわけで、以下本文。

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バイオ・メディカルの領域では、「超」の付くシリアル・アントレプレナーがたくさんいる。

シリアル・アントレプレナーとは、連続殺人犯をシリアル・キラーと呼ぶのにもじり、連続して起業し続ける人を指す言葉。ITの世界でも、複数のベンチャー
を起業し上場させたKamran
Elahian氏のようなシリアル・アントレプレナーがいるが、それでも興した会社の数は一桁。ところが、メディカルの領域になると、10社以上の会社を
興した「超」シリアル・アントレプレナーがあちこちにいるのである。

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制約されないメディアの未来

日経産業新聞7月19日に掲載されたコラムです。Podcastingなどを含んだメディアに関してですが、関連して、「アメリカでは映画興行収入もDVD売り上げも下がってきて大変」というのを書いたDVDと映画の未来もあります。ご参考まで。

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 インターネットによるコンテンツ(情報の内容)流通が、米国のメディア産業を大きく揺さぶっている。何よりも「音楽はインターネットからダウンロードするもの」ということが常識になりつつある。

 米パソコン大手アップルコンピュータでは、携帯型音楽プレーヤー「iPod」の販売が絶好調で、業績をけん引している。一方、ネット上で音楽や映画を交換するファイル交換ソフトが著作権の侵害行為を助長した場合、ソフト開発会社にも責任があるという判断を米連邦最高裁が下した。コンテンツ流通がしっかり利益を生むビジネスとして成長する素地も整ってきた。

 コンテンツを制作する側にも変化が起こってきている。自主制作したコンテンツを誰でも簡単に発信できるようになってきたのだ。

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アウトソーシング・オフショアリング

二週間ほど前にラジオでインタビューを聞いてから、欲しい欲しいと思っていたHelene GrimaudのRachmaninov-Chopin Sonataやっと買いました。最初に入っているショパンのB flat minorはかなり震えがきます。濃いピアノが好きな方にはお勧めです。上記リンク先で、インタビューの合間に一部聞けます。

さて、以下日経産業に掲載いただいたコラムです。Helene Grimaudとはぜんぜん関係ないオフショアリングの話ですのであしからず。。。。。

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アメリカのブロードバンド

以下、2月8日の日経産業新聞掲載のコラムです。インタラクティブTV、コンテンツのオンライン販売、といった市場が見えてきてやっとアメリカのブロードバンドも普及するだろうか、という話。過去10年以上言われ続けていたシナリオがやっと本物になるのか・・・と、昨日から降り続く雨で、ブロードバンドどころか普通の電話も途切れがちなシリコンバレーの傾斜地からのレポートです。

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アメリカのブロードバンド普及は遅れている。加入者数でこそ世界最大だが、普及率では世界のトップテンにも入らない 。国土が広大なこともあってインフラ整備が隅々までいきわたりにくいのも一因。シリコンバレーの只中の我が家ですら、雨が降ると電話すらかかりにくくなるという状態だ。広い国土に点在する家庭の一つ一つにインフラを引く莫大なコストを正当化するビジネスが見えず、投資は見送られてきた。

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一般公開される米犯罪者、身近な「監視社会」の現実

日経産業新聞 IT時評に掲載されたコラムです。

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デビッド・ブリンはその著書で「IT(情報技術)の発展により個人情報が公に広がることは免れない。そんな社会では、もはやどうやってプライバシーを守るかではなく、監視されることを前提にどう生きていくかが重要」という趣旨の発言をしている。

そんな「監視社会」の現実を突きつけられるようなサイトが公開された。カリフォルニア州による、性犯罪前科者の検索サイトである。州全体で十万人いる性犯罪前科者のうち、特に悪質な約六万人が掲載されており、住所、氏名、犯罪内容、写真入りだ。すでに他の四十五州で同様のサイトが公開されており、カリフォルニア州はずいぶん乗り遅れた。

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