日経産業に掲載頂いたコラムです。先日JTPAでRubyのまつもとゆきひろさんにお越しいただいて「ギークサロン」を行ったのですが、その時に伺った話も踏まえて書きました。
Press
トンデモない米国医療システムからイノベーションが生まれるのか
新日本監査法人の季刊誌、「株式公開センサー」2007年新春号に掲載いただいた文章です。
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「米国医療の悪条件はイノベーションを生み出すだろうか」というのが最近私が興味深く眺めていることの一つ。
米国の医療は崩壊寸前である。日本の年金より危機的状況。医療費用は2004年の1年間だけで総額1400億ドル増加した。実に15兆円超だ。一体全体どうしたら、1年間で15兆円も余計に使うことができるのかと頭をひねるばかり。
この根本的問題は「アメリカの医療保険の中途半端な半官半民体制」にある。
IPOはタイムマシン
11月9日の日経産業に掲載いただいたコラムです。ただし、ワタクシの元原稿。実際に掲載されたものは変更があるかもしれません。「株式市場は、将来のウベカリシ利益を、今のお金にして発明者にくれるタイムマシン」という話。
ドラえもん「のび太君、のび太君の発明した技術が将来世界中の人に使われて、のび太君が作った会社は世界1の大企業になるよ。」
のびた「ええ!すごい・・・・」
ドラえもん「将来の儲けを、未来から僕が持ってきてあげたよ。」
みたいな。以下本文です。
ナスダックとジャスダックとイギリス新興市場比較
新日本監査法人のIPOセンサー秋号に掲載いただいたコラム。ジャスダックとナスダックとロンドン新興市場の比較です。ちょっと前に、イギリスAIMは上場のオフブロードウェーですというエントリーを書きましたが、そこから発展させてみました。ジャスダックとナスダックが相互乗り入れするみたいですが、その後はどうなるんでしょうか。
たかが広告費ではないということについて
7月27日の日経産業に掲載頂いたコラムです。以下本文。
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「グーグルはすばらしいといっても、収益源は結局のところ単なる広告費」という声がある。これは大間違いだ。
そもそも、全ての事業は何かを売ることで成り立っている。そして、「売る」という行為には、商流、物流、情報流の三つの流れが必要だ。商流は金の流れ、物流はモノの流れ、情報流は商品に関する知識の流れ。
クレジットカード、プリペイドカード、エスクロー決済といった商流のツール、宅配、コンビニ止めといった物流の新たなあり方の価値は、誰もが認めるところ
だろう。一方、形がないために軽視されがちな情報流。しかしこれは、問屋や商社といった仲介業者が生き残っていくための最後のよりどころとして、過去二十
年さかんに語られてきたもの。「広告」は、その大切な「情報流」を担う重要な機能である。
ストックオプション費用計上がシリコンバレーにもたらすこと
日経産業新聞に4月6日に掲載いただいたコラムです。米国では、ストックオプションの費用計上が義務付けられ、それにあわせ日本でもトレンドマイクロがストックオプションを費用計上したようですが。このあたりは、磯崎さんの地獄を見るか?「ストックオプションの費用化」に詳しく書かれていますのでご参照あれ。
本コラムは、ストックオプションの費用計上の是非についてのものではなく、
A=「バリュークリエーションの場としてのシリコンバレーが技術のイノベーションを通じて生み出す価値」と、
B=「シリコンバレーに集まってくる富」
とのバランスが不均衡になったのを是正するひとつの現象かもね、という話。つまり
「A<Bに傾いてきたから、Bをちょっと小さくする方向にゆり戻す現象」かな、と。
もちろん、ストックオプション費用計上は、米国で上場する全企業にかかる問題ではありますが、一番あおりを食らっているのはストックオプション経済ともいえるシリコンバレーなので。では以下本文です。
作るは困難・使うは簡単-リアルタイム・エンタープライズ
新日本監査法人の季刊誌、IPOセンサー2006年1月号に掲載いただいたコラムです。
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シリコンバレーでソフトウェア産業に携わる人たちを見て感心するのは、「地に足の着いたこまごまとした開発」と、「個別の開発を思い切り抽象化した包括的ビ
ジョンの構築」との間を、自在に行ったり来たりする能力だ。アプリケーションの開発は、コードをがりがりと書く仕事。一方で、アーキテクチャをしっかりと
作り上げるには、個別の開発から何段階も次元を上げ、高いところから俯瞰する哲学的思考が求められる。そしてその両方を行き来することで技術が進歩する。
「現実の泥沼をかき分けて進む力」と、「体系化する力」の両方が求められる、知的力仕事だ。
オンラインゲーム帝国の誕生
1月26日に日経産業新聞に掲載頂いたコラムです。
「オンラインゲームは、新たな国家の誕生か?!」という話。オンラインゲームの中の資産売買の儲けだけで、リアルの世界でも生きていける人が誕生、オンラインゲーム通貨が、まるで実在の国の通貨のようになってきつつある、と。円とドルが兌換できるように、オンラインゲーム通貨とドルとの交換レートも設定されたりして、オンラインゲーム運営者の役割も「単なるゲームの場貸し」から、「中央銀行」へと変わってきていて、いや、大変ね、というようなこと。
では、以下本文です。
ベンチャーコンファレンス:DEMO
新日本監査法人の株式公開センサーという季刊誌に書いたコラムです。ちょっと古い話ですが、9月に行われたDEMO fall 2005というコンファレンスについてのもの。
開催地はHuntington BeachというLos Angelesの南にある海辺の町。このとき撮ったビーチの写真をFlickrに載せてあります。中々いい感じ。左の写真のような感じ。(ホテルの正面の浜辺にて)
DEMOは、元々消費者向けの、いわゆるガジェットチックなモノ・サービスが多いコンファレンスではありますが、それにしてもその手のが多かった。Web2.0っていうとかっこいいけど、BtoCっていうとイマイチですなぁ・・。