IoT最優秀賞 – Tile

Tile
Tileは、鍵などの小物がどこにあるかをトラックしてくれるガジェットである。いろいろ試しているIoT製品の中で「これがない生活には戻れない」と心から思う唯一の製品なので、個人的に「IoT最優秀賞」を進呈します。

Tileは、冒頭の写真にあるような白くて角の丸い四角な物体である。携帯に別途アプリをダウンロードして、BluetoothをOnにし、アプリに個別のTileを登録して適宜名前をつける。「車の鍵」とか「財布」とか。これで準備完了。対象物体を探したいときは、アプリを開いてその物体のTileのFindボタンをタップすればそのTileから♪ターンラララララ・ランランラン、という感じの電子音が流れる。

さらに、写真にもある「tile」の「e」のところを二度押しすると、今度は携帯から♪ターンラララララ・ランランラン、という音楽が流れるので、「あ、携帯どこ?」という時にも役立つ。

ものをなくさない人には、「それが何か?」という感じかもしれないが、1日に数回「携帯どこ置いたっけ」「あ、車の鍵が消えた」となる私にとってはもはや生活必需品。

はっ、鍵がないっ

TileでFind!

♪ターンラララララ・ランランラン

おお、鞄の底に入ってる or 靴棚に置いてある or 洗濯機の上に(以下省略)

ということを毎日最低1回、多い時だと3−4回は実行している。また、最後に認識したTileの場所をアプリが覚えているので、例えば車にTileを置いておくと駐車した場所を覚えておいてくれる。あと、私の場合、「はっ、財布がない」といった場合に、それは前に行ったところに置いてきてしまったのか、直前に停めた車に置いてきただけなのか、といったことがわかって非常に安心である。(写真の通り、財布にも一つTileが入れてある。)

最近ではパブロフの犬的に、

♪ターンラララララ・ランランラン

を聞くだけで安心感を覚えるようになってきた。素晴らしい。

+++

ここまで読んで

「それはInternet of ThingsじゃなくてBluetooth of Thingsじゃないのか」

と思った方もいるだろう。しかし、Tileにはもう一つ隠れた技があるのである。それは

「自分のBluetooth圏から外れても、他のTileユーザが近くにいれば探し出せる」

という、まさにIoT的、クラウドの力的、ネットワーク効果的機能である。

その「他のユーザ」と自分は別に知り合いである必要はない。Tileの運営会社が多数のユーザのネットワークを利用、バックエンドで特定Tileがどこにあったかを探知して大体の場所を地図上で表示してくれる。

私はまだこの機能のお世話になったことはないのだが、大都市だと十分な数のユーザがいるようで、盗まれた自転車を発見して取り戻したニューヨークの人もいるようだ。Tile社はシリコンバレーにあるので、もちろん当地でもたくさんの人が利用している。大体いつも2000−3000人くらいが「あなたのまわりのTileユーザ数」として表示されるので安心。

将来的には、独自ネットワークか携帯通信網を利用した格安のチップができて、携帯アプリなしで利用できるようになったりするかもしれないが当面はこのユーザビリティで余は満足である。というか「携帯がないっ」というのも1日数回あるので、Tile側から携帯が呼べるのも結構役に立つ。

というか、この手の「なくしものトラッカー」は私にはとても必要なので、10年くらい前からいろいろな製品を試してきているのだが、どれもまともに動かず残念に思っていた。何年か前に買った類似製品は、キーホルダーにつける部分があっと言う間に壊れてそれ自体がなくなってしまうという大問題があった。お前がなくなってどうする。

というわけで、Tileでやっとまともに動くものに出会った感がある。この感じは、Dropboxが出た時の「やっとストレスなく使えるファイルシェアができるようになった」という感じに似ているかもしれない。

ちなみにTile社は2015年の売り上げは4300万ドルで、昨年までで1900万ドル、今年の6月にさらに1800万ドル増資している*。Jaguarとも提携、「車と携帯をリンクすると、車に乗った時に忘れ物を自動的に車が警告してくれる」という機能が登場するらしい。あら素敵。

ドンくさい子供症候群により運動神経というものが欠如して育った私は「もし狩猟時代に生まれていたら、全く使い物にならなくて口べらしで殺されていたのではないか」と、現代人に生まれた幸せをかみしめたものである。しかし、10〜20年後にはすべての「もの」はネットワーク化されて「忘れ物」は過去の概念になるのかも。そうすると、私のように注意力散漫な未来人は「ものがネットワーク化されていない時代に生まれなくてよかった」とか思うのかもしれませんね。

Tile社サイト

*:by DataFox

 

 

 

 

IoT最優秀賞 – Tile」への8件のフィードバック

  1. 口べらし対象種族の一員としては、日本でも送料無料化を希望。
    これ、駐車場アプリとかレストランクチコミアプリとかと連動するといいなあ。

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  2. Tile よりTrackeRの方がいいかも・・・・・電池自分で入れ替えオッケー。何年も使えると聞いています。

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    • TrackRは小さくてレンジが広そうなのですが、Tileは完全防水なんです。いつなんどきキーホルダーごと洗濯しかねない私にはそれが魅力・・

      いいね

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