仕事で使える英語習得のためにしなければならないたった3つのこと


最近「正しい訓練を積めばどんなことでも一気に達人になれる」という説があり「PEAK」という本にもなっているのだが、今回は「英会話の達人」になる方法。ここでいう「達人」とは英語で細かい交渉をしたり、面白おかしく飲みながら話せるレベルをいう。(達人として言わせてもらえば後者が格段に難しい。)

なお、「3つの訓練方法」は私自身のサンプル1な英語獲得経験だけでなく、外国語習得の論文なども各種読んだ上で至った訓練方法なのだが、その辺の説明は過去にもあちこちに書いているし長くなるので、以下「とにかくこれをやるとよい」というお勧めだけを書いてある。

ちなみにここでは対象は、たいていの英語の文章は読めばわかる、少々知らない単語や言い回しはあるが大意は理解できる人。それ以下の人はまず中学の英語の文法の参考書を一冊やってからにしましょう。

1 音素を聞き取れるようにする

日本での英語の聞き取り教育はアルファベットをやらずにいきなり文章を読ませているようなもの。発音記号は別にやってもいいのだが、その発音記号がどう聞こえるのか、そしてそれは似た他の音とどう違って聞こえるのか、という「音素の聞き取り」をまず習得すべき。普通に考えて。

(習得方法はこのブログの末尾に。)

2 シャドウイングを毎日する

「こういう風に話したい」「こういう語彙が欲しい」という、ネイティブスピーカーが話している音源を確保、1日で暗記できる量(1センテンスでもよい)を「耳で聞きながら同じスピードで口でもいう」というシャドウイングをする。最初は書き起こした文章を目で見ながらでよいので、とにかく「同じスピードで、なるべくスピーカーに似せていう」のがポイント。目で文章を見ずに、耳から入るのと同じスピードで口から英語が滑らかに出てくるまで、何度でも同じ文章をシャドウイングする。聞き取りが難しいところは、iPhone等の50%遅く再生する機能などを活用するとよい。

最初に「英語習得のやる気を燃やす」という目的でオススメの音源はこれ:

How to Become Great at Just About Anything

「ヤバい経済学」というタイトルで日本語でも出版されたFrekonomicsの共著者のポッドキャストだが、冒頭で書いた「正しい訓練で一気に達人になる」ことについてなのだが

その理論を聞いた42歳のデンマーク人の女性教授が、実践で毎日1時間歌の練習をしてポップシンガーとしてプロデビュー、チャートに乗った

という話が登場している。彼女の、訓練のBefore / Afterの歌も聴けてやる気になる。

3 英語で読む量を増やす

これは、語彙力向上のため。大人になってからの言語獲得は、耳からだけだと「知っている単語しか聞き取れない」ということになりがちで、やはり目から入る量も増やすのがよい。「仕事で使える」という目的では、自分の関連業界の英語の記事を毎日読む。できれば、

  1. )1記事は辞書をチェックしながらきっちり読み込み、
  2. )それ以外は速読練習に使う。とにかく内容を理解できる限界の速さで読む。特定時間以内にいくつ記事が読めるか記録して、数を増やすことを目的にしても良い。

1)は最近はいろいろ簡単にできる。MacやiPhoneだったら知りたい単語にカーソルを置いて強めクリック(深押し)すれば辞書が自動的に出てくる。

以上。

++++

そして、2を毎日続けながら1の音素聞き分けを定期的に復習する。要は、2・2・2・1・2・2みたいな感じで「実戦的聞き取り練習」と「音素聞き取りという基礎練習」を繰り返す。そしてその一方で3も毎日行う。2は毎日30分。3も30分〜1時間くらいはかけて欲しい。

この「毎日」という「時間のコミット」が大切。とにかく、英語の映画やポッドキャストを聞いて楽しめるレベルになるまでは1〜3を続ける。そして、なんとかして「英語を聞くのは英語の勉強のため」から「英語で内容を楽しめる」というレベルに英語力をあげる。そうすれば、「自分の興味や娯楽のために英語の映画を見たりポッドキャストを聞いたりする」ようになれる。

そこまでいかなくても、1ヶ月程度でもかなり英語耳が養われるはず。「耳で聞く英語の文章が、単語ごとに分かれて聞こえるようになった」と言っていた方もいた。

なお、「英会話教室」は、どれくらい英語が上達しているかのチェックとしてに行ったりするのはいいと思います。(個人的に英会話教室は英語習得の効果は薄いと思っている。実は私、昔ドイツ語のネイティブスピーカーのところに1年通った事があるのですよ・・・英語習得後だったからドイツ語獲得は簡単かと思ったが全然話せるようにならなかった。「会話練習」するだけではだめだったのです。しかし、上達度合いを自分で認識したり、間違った発音や言い回しを直してもらうには、ネイティブに定期的にチェックしてもらうのはよい。「英会話教室」は、そこで学ぶというより、そういうチェック機構として使うと有効だと思う。)

+++

そして、大変我田引水ながら、1の音素聞き取りには私どもで作成いたしましたiPhoneアプリのListen-ITをやるのがお勧め。ティーン半ば(言語習得の臨界期)を過ぎて涙ながらに英語を習得した私が振り返って「こういう風に教えて欲しかった」と心の底から思うコンテンツをアプリ化したもの。

そもそも英語にどんな音があるのか、日本人が間違えやすいのはどれか、どういうスペルは統計的にどの音になることが多いか、などの説明に加え、口や舌の位置はどうなっているのかの図解付きで、日本人の耳に似て聞こえる音を聞き分けるクイズ形式のドリルになっている。マスターすると、母音18個、子音22種類、および英語の文章で登場するそれ以外の発音18種類の聞き分けができるようになる。

Listen-ITアプリ↓ 本当にためになるコンテンツなのでぜひどうぞ

仕事で使える英語習得のためにしなければならないたった3つのこと」への3件のフィードバック

  1. 2のシャドウイングについての俺のオススメは、夜のトークショーを毎晩見る、ですな。

    トークショーは、前半はモノローグでジョークが連発されるので、英語でのジョークはどういうオチをつけるのかとか学べるしそもそも英語での面白いことというのを理解できる。しかもトピックは全部世の中の話題になっている政治やスポーツ娯楽のことなので即戦力になる。そして後半は会話形式のインタビューなので、実際どういう風に軽妙に会話を回していくのか学べるし、会話の中にどうやって笑いをぶち込むかも学べる。

    ニュースとかだとただ一方的にアンカーが何か言ってるだけなので、聞き取りは上達するかもだが会話やジョークを学べない。映画も長いしセリフはやはり映画の中の世界に合わせて非日常的な言い回しが多いので、実生活では使いづらい。(実生活では誰も May the force be with you とか Hasta la vista, baby とか言わない。)

    ので、夜のトークショーです。The Late Show with David Letterman が無き今、ABC の Jimmy Kimmel Live が俺の一番のオススメですな。Letterman の後釜の CBS の Steven Colbert も良いけどちょっと人間的には強引で頑張り過ぎ感が。Jay Leno の後釜の NBC の Jimmy Fallon はしゃべり方に癖があるので、聞き取りがさらに上達するかも。

    いいね

  2. 私はアメリカに長いこと住んでいるのですが、滞米生活の最初の数年間で、一応英語で読み書きができるようになり喋ることもマーマーのレベルに達したのですが、それでも当時は自分の英語は下手だなーと思いながら生活していました。

    そのころ、いわゆるモーニング・ラジオ(車で通勤することが多いアメリカの労働者諸君が、朝、車の中で聴く娯楽番組)のことを知り、これを聴きだしたらおもしろくて病み付きになり、20年以上たった今も同じホストの番組を欠かさず聴いています。

    毎日ラジオを何時間も聴いた結果、英語の聞き取りはそれなりに上達したし、喋るほうも以前に比べリズムに乗って滑らかにできるようになった、と思います。ま、アクセントが消えることはありませんが、ラジオのトークショーホストのように明瞭な発音で意味が伝わるように話す、ということはいつも意識するようになりました。

    ですから、私なりの英語上達法というのは、ラジオを聴くことです。まあ、ある程度英語の聞き取りができないとこの方法は意味がないし、自分がおもしろいと感じるラジオ番組(一日何時間聴いても苦にならない)を見つけるのは難しいので、ハードルが高いかもしれませんが、やる気のある英語学習者の方には効果的かもしれません。アメリカのラジオ波は日本には届かないわけですが、インターネットで聴くことができるラジオショーはかなり存在するのではと思います。、

    いいね

  3. 昔イギリスのお笑い番組でアメリカのテレビがスコットランドのど田舎でおじさんにインタビューしてる様子を流した。一見してインタビューアーが彼の英語を全く理解できずにショックを受けているのが明らかで、全く理解できないんですから、最初の問いに答えたスコットランドのおじさんにフォローの質問をすることができず、「どうもありがとう!」と早々にインタビューを終えるシーンがおかしくて笑った。英語が母語のアメリカ人でさえ理解できないんですから、外国語として英語を習う日本人にイギリス英語が理解しにくいのは当然と言えば当然です。

    いいね

コメントする