ファッションはビッグデータでパーソナライズできるのだろうか

最近「買う側が何がくるかわからない福袋的洋服詰め合わせオンライン販売」を試してみた。「所有しない人生を目指しているんじゃないのか」と言われそうだが、まぁ物は試しである。「好きなものだけ買って残りを返送する」という仕組みなので、嫌だったら買わなくても良いという気軽さもありStichFixとM.M.LAFLEURという2社に詰め合わせの箱を送ってもらった。

  • StitchFix

StitchFixはサンフランシスコで2011年創業。これまでに4675万ドルを調達している。

「福袋箱」は単発で一回だけ買ってもいいし、毎月、3ヶ月ごとなど定期的に送ってもらっても良い。一応箱代として申し込み時に20ドルをクレジットカードから引かれるが、もし何か購入すれば購入代金からその分引いてもらえる。アイテムの平均価格は55ドルとのこと。

「データ解析でユーザに最適な商品を」ということでデータサイエンティスト60人がAIを駆使していろいろなブランドの服飾品から箱の中身を選んでくれるらしい。チーフアルゴリズムオフィサーという役職には元Netflixの人がなっている。実際には、こうしてデータで選んだ製品を最終的に人間のスタイリストが取捨選択するとのことだが、社員は全部で4400人もいるらしい。リテールはカスタマーサポート系がたくさん必要だし、実際に物流をやるのは労力がいるとはいえ、ひえぇである。

もとい、サイトでサインナップすると、サイズや好み、価格帯などいろいろな質問に答える必要がある。「必要ないもの」として色やアイテムなどをリストアップすることもできる。これが結構長くて15分以上かかった。ついでにLinkedInとFacebookのアカウントにもリンクし、好みやライフスタイルを自由筆記欄にも書いた。

さて、どんな「自分に最適の素敵なもの」が送られてくるかと期待しながら待つこと約1週間。送られていた箱がこちらである。

箱は結構ヤワな感じ。中身の詰め方もかなり適当な感じである。

そして箱の中に入っていたのが冒頭の写真の5点。うーん・・・決して悪くはないのだが、ノースリーブのトップは着てみたら女忍者風で、これは絶対ありえない。長袖は柄もカットも似合わない気がした。ネックレスはデザインは素敵だったが質感が少々安っぽい(値段も相応だったのだが)。ジーンズはほとんど同じものを複数持っている。

ということでGジャンだけ購入した。これはその後も愛用しているが、この箱を受け取る1週間前にとある店の店頭で見て迷った末に結局買わなかったGジャンと酷似しており、ジーンズ同様「すでに持っている」という状態でも不思議はないアイテムではあった。

なお、StitchFixでは「実際の箱を受け取ったあとの個々のフィードバックも生かして、だんだんセレクションが向上していく」としているのだが、これまでに5箱試してみた知人曰く

「すでに持っているものか、絶対好きになれないものか、そのどちらかしかこない感じ」

とのこと。ちなみに私は返送時にサイト上で各アイテムのフィードバックを書いたのだが、それに対し、こんなメールが返ってきた。

Thank you for letting us know you prefer more casual styles and colors.

「もっとカジュアルなスタイルや色がお好きだったんですね」

ええっ、そうなの?フィードバックでそんなことは一言も言っていないのだが。むしろカジュアルじゃない側にふってもらった方がいいという類のことを書いたと思うのだが、機械学習的にはそう判断されたのであろう。もう1回頼んだら何がくるのだろうか。(頼んでいないのでわかりません。)

なお、送られてきたアイテムのクオリティ(コストパフォーマンス)は、好みの問題は別として「これはない!」というようなひどいものではなかった。なので、季節が変わったらもう1回試してもいいかもという気はしている。

  • M.M.LAFLEUR

試してみたもう一社は2011年にニューヨークで創業したベンチャー。調達額は不明だが従業員は二桁のようだ。こちらは自社ブランドの製品のみ取り扱いで、通常のオンライン販売もしている。そして、福袋的に送ってくる箱にはBENTO BOXという名前が付いている。(ベントーは日本語の弁当なのだが、これ、元の意味から微妙に離れて外来語としてアメリカで使われている・・がその話はまたの機会に。)

届いた箱はなかなか素敵で確かに重箱弁当風であった。上の段の右側はベルト。

中にはワンピース2点、インナーとパンツ、ジャケット風カーディガン、そしてベルトの計6点と結構な品物がずっしり入っていた。(紺色のワンピは長袖)。

どれも形くずれしなさそうで、しかも洗濯機で洗える素材、かつサイズも驚くほどぴったり。なかなかよくできている。東京で働いていた頃だったら箱ごと買ってしまったかも、という感じだ。きっとニューヨークでもこういう格好で働いている人がたくさんいるのだろう。しかし、ベイエリアではこの手のユニフォーム的な服装をする機会が少ない。少なすぎる。なので、ベルトだけ買って残りは送り返しました。(とはいえ結構好みなので一応着て写真だけ撮っておいた。個人的に、「洋服購買欲は着用写真を撮っただけでほとんど満たせる」ということを最近発見したのでこれでもう余は満足である。)

  • まとめ:ファッションとビッグデータ

というわけで、「店舗を持たないリテール」というのが色々と試されている今日この頃、その一環として、ファッションという好みや形の向き不向きのレンジが著しく大きい製品の詰め合わせ通販を2社試してみたわけだが、とりあえずの感想としては、まだデータだけで個人の好みに完全にパーソナライズするのは難しそう。

よもやデータで個人のニーズが完全に解析できても、個別の趣味・価格帯・体型に合わせようとすると、ものすごくたくさんのブランドを買い付けないといけなくなるのではないか。(もちろん、ソーシング側の物流も最適化し、ビッグデータ解析技術も向上した近未来ではまた違うことになるとは思うのだが。)

なお、StitchFixとM.M.LAFLEUR、私はいずれもFacebook広告で知った。

ここ数年、Facebookには情報全開、さらに良さそうな広告は片っ端からクリックして、彼らの広告最適化の限界を見せてもらうべく挑戦し続けているのだが、これが結構すごい。Facebookに書いた文章の単語を拾う程度の段階は(多分)5年前に終了、今では携帯アプリで会話も聞いている(←Facebookは「いつもじゃない」と反論しているが)。さらに私の書いたこと、クリックしたこと、Facebook外でのオンライン行動、行った(物理的な)場所などのもろもろから派生したと思われる、見たことも聞いたこともない製品やサービスが登場することもここ1年ほど多くなった。最近は「あ、これ欲しい」と思う変わったものがかなりツラツラと流れてくることも多い。

一方、今回試したうちM.M.LAFLEURの方は、ターゲットを特定層に絞った自社製品販売なわけだが、その(それなりに)ニッチなターゲット層を洗い出す技術はFacebookにはすでにあると思われる。なので、現状の技術レベルでは「特定のニッチ層に強く求められる製品を作り、そのニッチ層をきっちりデータで洗い出し、無店舗で販売する」というのは割合強力なビジネスモデルなのではないでしょうか。

そして結局のところ最強はFacebookなのでしょうか。

 

ファッションはビッグデータでパーソナライズできるのだろうか」への2件のフィードバック

  1. 面白い試みだと思います。優れた販売人は人を見ただけでその人に合った服をもってきます。
    販売人の説明がその服のステータスをあげてくれるような気もします。
     そのような人がいなかったとき、買った服はあまり利用しなくなったような気もします。
    だから、買い物に行けないことが多い人は、好みを言って送ってもらい、選び、返してもいいというならとても便利です。

    いいね

  2. アンチFacebook派としては、Google系でID統一して、半分は携帯連携にするむだな抵抗をしてますが。
    Googleの調教してるつもりで、調教されてる?オレ?
    携帯会社もっとがんばれーと応援したくなる今日この頃。

    いいね: 1人

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