2016年にも書いたのだがパロアルトにb8taストアというお店がある。「どれだけの人がその製品を見たか」で課金する広告モデルの店舗である。(売っているのはIoT系の面白製品系です)。
当時たまたま店舗内にいた共同創業者の人に「天井につけたカメラなどを使いどの製品を誰がどれだけ見たかカウントする」どういうビジネスモデルを聞いて「オンラインと融合するリアル店舗」だといたく関心したのだが、開店後何ヶ月経ってもいつもお客さんが「シリコンバレー視察旅行風観光客」ばかりなので先行きに不安をもっていた。
しかし一つ、また一つと店舗は増加し、今では直営店だけ9店舗。さらに2ヶ月ほど前、全米に1000以上の店舗を持つLowes(ロウズ)と言う DIYチェーンと提携、ロウズ店舗内にb8taストアを出店することが発表された。2016年の秋に3店舗でトライアルを行った結果70店舗で出店することになったそうだ。
ちなみに1号店のパロアルト店は開店から2年あまり、いつ行っても代わり映えのしない同じ製品が並んでいることが多い。とあるイベントで会ったb8taの CEO に聞いてみたところ、
「あの店は展示する会社側がなかなか出て行ってくれなくて困っている。回転を速くする仕組みを検討中」
とのことであった。
パロアルト店の来店客はいまだに98%は海外からのシリコンバレー視察客という感じである。しかし、それ以外の2%はベンチャーキャピタル的な投資関係的な感じの人が多い。商品を出しているメーカーのほとんどはベンチャーなので、投資家アピールのために商品を置いておきたいのだろう。
なお、観光拠点化という点で感心したのは、最近「外国人向けの英語の話し方」をしっかりと身につけている店員さんがいたこと。単にゆっくり話すのではなく単語ごとにきっちりときって話す。わざとらしく聞こえるのだが、確かにこれだとよく通じるはず。
CEO氏いわく、
「毎日のようにバスで日本のビジネスマンが大量にやってくるんだけど誰も何も買わない」
とのこと。シリコンバレーツアー流行りですからね。
「製品と来店客のインタラクション計測技術」に関しては、2016年の開店当初からは見違えるくらい進歩しているそうだ。この辺りは消費者のプライバシーに関わるセンシティブな話題なのもあってあまり公表されないのだが、機会があったらぜひ探りを入れてみたい。
たとえば、去年b8taパロアルトストアで、私の人生に欠かせないアイテムである忘れ物防止タグ、Tileを手にとって見たら、その後家で開いたラップトップに「Tile競合製品のAmazon広告」がやたらに登場したのだが、これはもう私のスマホと私のラップトップが完全に紐づいている証拠。しかし、昨今、それくらいは別にb8taでなくてもしていることなので、もっと、あっと驚く来店客分析がなされているに違いない。
店舗ではOculusなどのバーチャルリアリティもトライできる。冒頭の写真はトライ中のお客さんの後ろ姿。もしまだVRを試したことがなければ結構楽しめるはず。興味のある方はシリコンバレー観光のついでにb8taストアに寄ってみてください。
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