リアル世界のGoogle AdSense、b8taストア

パロアルトのダウンタウンに今年オープンしたb8taストア。いわゆるIoT系の消費者向け製品が並んでいる。ただし、いつ通りかかっても客より店員が多い2年前のマイクロソフトストア風なのでで入りにくい。大抵、ビジネス観光客風の人や、試しに見に来てみたVC風の人が1〜2人いるくらい。しかし、一度「この人たちファウンダーでしょ」という感じの男性数名がいたので話しかけたら本当にそうだったので、どういうコンセプトの店か聞いてみた。

いわく、展示製品の前に客が立つとカウントが始まり、15秒だか30秒だか立ち止まったらメーカーに課金する、という「広告モデル」なのであった。立っている人は天井に設置されたカメラで検知する。説明では「30秒につき50セント」とか言っていたような。(すみません、3ヶ月くらい前に聞いたので詳細は適当)。現状では多分、1日あたり全製品の前に人が立っている時間のトータルが多く見て1時間くらいじゃないかと思う。とすると日商60ドル。タバコ屋のようだ。一応並んでいる商品は購入することもできるとのこと。

ちなみにb8ta、運営会社はベンチャーでKhosla Venturesなどから去年200万ドルをシードマネーとして調達している。

たぶん、「1日8時間のうち、各商品ごとに1時間は人が立つとして60ドル。50商品あるとして3000ドル、月に90,000ドル(1000万円)、これなら商売が成り立つ」みたいなビジネスプランだったのではないだろうか、と想像。

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b8taは、1店舗目がこれだと先行きは厳しいかも。もう少し繰り返し行きたくなる何かを足すとか、人間の行き来が多い既存店舗に一部の製品だけを置いたカウンターを設置するとか、何かトラフィックが増える仕組みが必要だろう。運営している会社も、そんなことは毎日頭が痛くなるくらい考えていることと思うが。

そして、b8taがうまくいくかは別として、この「広告モデルのリアル店舗商品展示」というのは先々大いにあり得るビジネスモデルだと思う。今でも「店頭で見てAmazonで購入」といった、「店頭商品をショールーム扱い」する人たちがたくさんいてリアル店舗は困っており、このままいくとリアル店舗が大幅に縮小していく可能性もある。しかし一方でリアル店舗で商品を見てみることが購買決断に重要な製品もあるわけでそれはそれで困る。

そんな中、リアル店舗を窮地に追いやっている大元のAmazonは、自ら5-6000冊の本を揃えたリアル店舗を始めたりもしている。Amazonの店舗についてのNew York Timesの記事では、背景には「新奇なデバイスを一般ユーザに売るにはフィジカルな店舗が必要だから」というAmazonの戦略がある、とのこと。(下記参照)

Knowledgeable people tell me that Amazon views its physical stores as an important way to introduce the public to new, unfamiliar devices. Techies might be comfortable buying a device like the Echo online — a speaker and virtual assistant for the home — but a lot of people will want to see it in the flesh first.

Amazonのようにオンラインで売るというルートを確立していれば人がたくさん来るリアル店舗を作ればこの戦略目的は達成されるが、そうではない販売者はなんらかの方法でエンドユーザに訴求する術を確保したいわけで、彼らにとっても「広告モデル」というのは一つの活路となりえる。

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1999年から2000年のドットコムバブル時には、たくさんのベンチャーが生まれバブルとともに弾け去った。オンライン販売系だけでも、ペット用品のPet.com、グローサリーのWebvan、化粧品のEve.com、宝石のMiadora.comなどなど。30分以内に自転車で配達してくれるCosmoというのもあった。私の友達も「140文字のテキストで情報をシェア」という非常に聞き覚えのあるビジネスをサンフランシスコで起業していた。(Quiosという名称でSOMAにあった。今ではおしゃれなベンチャーがたくさんあるところとして知られるSOMAだが、その走りとも言える)。

上記いずれも今では似たようなサービスが一般的に提供されるようになった。当時よりインターネットが大幅に普及し、リーチできるユーザが著しく増えたことは大きい。ベンチャーというのはタイミングが大事なわけだが、かようにバブル期にはかなり早すぎるアイデアも大量に起業される。そして、たとえそのベンチャーがダメになっても、アイデアはその後期が熟した時に実現されることが多く、シリコンバレーのバブルというのは「将来実現する技術やサービスのプレビュー」なのだ、と思う。(1980年台後半にも「手書きタブレット」をOSから開発していたベンチャーがあった)。

そして今2014年、2015年とかなりの投資バブルが続いたシリコンバレーには、ドットコムバブル期のように「いや、これ、まじで?」というビジネスがたくさんある。その中で「これから15年の間に実現するアイデアはなんだろう」と興味深く観察する日々なのであります。

b8taの写真をもう一枚。真ん中辺の水槽に浸かっている棒状のものはAnovaという「スービー用低温調理デバイス」だが、うちにあってレストランレベルの美味しいものが簡単にできる。

リアル世界のGoogle AdSense、b8taストア」への2件のフィードバック

  1. 久しぶりです。たまたまナパで行われているコンファレンスでb8taの人が話してて、”本当か?”と思って検索しててサイトにたどり着きました。元気?

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  2. このコンセプト、家電量販店の劣化版って感じ。比較ができないのが致命的。
    マニアックなスポーツ系かつフィジカルな体験ができる様にすると違うかなあ。
    要は手に取ることとリアクションに応じた説明。対象を絞り込めば結構アルゴリズムをくめそう?

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