アメリカの就労ビザに関して結構質問がくるので、これまで書き散らかしたブログエントリーをまとめました。
「読むの面倒くさいから、ビザが取れる確度の高い方法だけ教えて」という人のためににまとめると
- 普通に就職したい場合→留学からOPTビザという「お試しビザ」を取り、そこから普通のH1B等の就労ビザに移行する
- 起業したい場合→日本で資金調達してE2ビザ(投資家ビザ)を取得
- 仕事したくないけどお金はある場合→50万ドル投資してEB-5というグリーンカードを取得
もちろん他の方法もあります。なお、当方移民法弁護士ではなく、いずれも経験・伝聞に基づくもの。これを元にある程度見当をつけたら、必ず移民法弁護士に相談して下さい。
最初に、大前提として理解しておくべきことは
アメリカがビザを出すのは、1)国内にいない専門性をもった人材、または2)国内に雇用を創出してくれる人材を海外から呼び寄せるため
ということ。なので、「不動産投資する」などの「ただお金を出すだけ」ではビザが出ない。お金さえあれば不動産投資は誰でもできるし、新しい雇用も生み出さないから。
「アメリカで会社を作り、そこに親戚一同を雇用したことにして一族郎党にビザを出す」みたいなことを考える人も世界にはたくさんいるので、そういうことができないようになっている。フリーランスというのは結局これと同じで、つまり「アメリカで会社を作り、そこに自分を雇用したことにして自分にビザを出す」ということなのでビザを取得するのは極めて困難。(絶対不可能ではないのですが。)
一方で、自分が上述の2つ人材のどちらかに当てはまっていれば必ず道は開けます。
というわけで、以下、過去エントリーとその概要です。
なぜ留学から就労ビザに移行するのが楽かを説明。そこからもリンクしているが、既に大学院まで出てしまっている方などの場合、1年の留学で就労資格を得た吉澤さんの体験1、体験2など大変参考になるかと。
スタートアップからのシリコンバレー進出3:(涙の)就労ビザの取得
起業に際して取得できる可能性のある4種類のビザ(H1B、E2、L1、O)の説明。そちらからリンクもしてあるが、2010年に日本で申請してE2(投資家ビザ)を取得した人の経験談がQuoraにあり、これはとても参考になるはず。
移民法弁護士起用の際の注意事項も最後に記載してあります。
アメリカで働く方々のアンケート結果まとめ。今の仕事、アメリカに来た経緯、取得ビザなどを記入いただいているので、これも大いに参考になるはず。技術系の方のみならず、投資銀行勤務、公認会計士、政府職員、大学教授、CGアーティストなど多彩な顔ぶれ。キリスト教牧師、という方までいます。
MBAからの就労ビザ取得は大変だ、という話。MBAは専門性がありそうでないのと、MBAが望ましい仕事には、英語堪能なアメリカ人の競合相手がたくさんいるので。ご本人の許可を得てHBSの古賀さんの経験談を掲載しております。
(なお、古賀さんはこのYoutubeビデオのピアニストの方に笑えるほどそっくり。)
これからアメリカで就労ビザを取ろうという方は、たまたまアメリカで軽くバイトなどすることになってもそれは違法なのでインターネット上に「バイト中」などと書かないように、という注意事項。
- EB-5に関する付記
なお、上記どのエントリーでも深く触れていないEB-5は「グリーンカード=永住権」。これがあれば、どんな仕事をしてもよいし、休職してブラブラしてもよい、という素晴らしいステータスです。グリーンカード取得には、就労先から申請してもらう、市民と結婚して申請するなどいろいろな方法があるのだが、EB-5は抜け道的に「金で永住権を買う」方法。ビザで苦労する人にとっては「たった50万ドルで取れるのか!」という感動すら呼び起こすものでもある。(つまり、それくらいビザで苦労している人たちがたくさんいるのです。)
ただし、H1Bなどの就労ビザと違い、いったん取得するとアメリカの国税=IRSから逃れるのが難しくなります。(グリーンカード捨てればいいだけじゃない?と思うかもしれませんが、グリーンカードはいったん取得すると捨てるのも大変なのだ。ただしお金持ちに限る。一般人は軽く捨てられます。)
EB-5については下記リンクを参考にしてください。
The EB-5 Program: Create American Jobs, Get a Green Card
Coaxing Foreigners to Bet on U.S. Entrepreneurs (Again)
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母音編、子音編に続き、文章編リリース
リスニング向上のためのiPhoneアプリ:Listen-IT
古賀さんは同じくハーバードに留学していた五嶋龍さんにかの地でお会いしたことがあるそうですよ。
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そのYoutubeリンク、流れ的に要ります?笑
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私は現在ドイツの博士課程(物理学)を卒業して就職活動ビザをしております。アメリカの会社に興味があり、アプライしているところです。もちろん、H1ビザで働きたいと思っています。このブログにもあるように、まずアメリカに留学をするのが一番だと思うのですが、すでドイツで博士を取ってしまったので、お試しビザなしで直接アプライしている状況です。そこで質問なのですが、
「理系博士取得者が直接アメリカの会社に応募している日本人を渡辺様は知っていらっしゃるでしょうか?」
「H1ビザ取得には半年ほどかかり、働き始めるのは10月からだと聞いたのですが、だとすると4,5月には就職を決めていなくてはならないのでしょうか?8月や9月くらいにアプライしてももう遅いのでしょうか?」
以上の質問に答えて頂けたら嬉しく思います。
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博士号だとOビザが取れるかも。(上記からリンクしているエントリー参照ください)。海外から直接就職して来ている人いますよ。H1Bについては、その年の枠があいている限りは大丈夫です。一昨年11月、去年は7月頃まで枠があったはず。こちらのエントリーもご覧下さい
http://www.chikawatanabe.com/blog/2012/05/h1b.html
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ピンバック: 誰でも却下される可能性があるアメリカの就労ビザ | On Off and Beyond
先ほど別の記事にもコメントしたのですが、
H1-Bが抽選になっている今、
おそらく、「普通に就職したい場合」は、J1ビザを入り口にすることが一番だと思います。
ただ、J1ビザの場合、スポンサーは雇用主ではなく、
DS Sponsorというところになる関係でエージェントを通じてされる方が多いみたいです。
あまりアメリカで働きたいと考える方にとってJ1ビザという手段がまだ浸透?していないかと思い
もし、アメリカで働くことをお考えの方がいればご参考までにこちらリンクを貼ってみます。
https://www.us-internship.com/
友人はここにお願いして、アメリカで働こうと思い立ってから約3-4か月後にはアメリカで働き始めていました。
参考までにコメントします^^
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(以下、別エントリーに書いたreplyのコピペです)
J1の難易度は低いのですが、その後継続してアメリカで働きたい場合に、結局他のビザにトランスファーできない、という問題に再度あたります。(=J1で働いたあとでも、他のカテゴリーのビザを取る条件が簡単になるわけではない)。とはいえ、外から様子を見ているより、まずは現地に住んでみるほうが何らかの糸口が開く可能性もあるので、他の手段がない場合は検討の余地はあると思います。あと、「1年くらいアメリカで働いてみたい」という動機の場合も。ただ、ここ2年くらいJ1の監査が厳しくなってきていると聞くので気をつけて下さい。
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ピンバック: アメリカで映画の仕事がしたいけど、どうすればいいの? | 鳳凰の羽