昨日新日本監査法人主催、ベンチャー企業のための株式公開セミナーで話しをしました。人前で話すPublic speakingはいつも恐ろしいですが、なんとか乗り切りました。下記、当日使ったパワーポイントの資料です。クリックすればダウンロードできるはずです。最近のアメリカ・シリコンバレーのIPO統計、VC投資統計、事例など。ご参考まで。
Download seminar040616.ppt
On
Bio 2004コンファレンス
月・火とBio2004というサンフランシスコで行われているコンファレンスの周辺に行ってきた。「周辺」の意味は、月曜は、コンファレンスにちなんでいろいろな企業・団体が行うパーティーに行っただけで、火曜はコンファレンスに来ているベンチャーと、クライアント企業とのミーティングをしただけで、コンファレンスそのものには行っていない、ということ。
ちなみに、バイオは「製薬」についたファンシーな新名称ではない。製薬は伝統的には化学品を作る産業。バイオでは、遺伝子を利用してたんぱく質を作る。シリコンバレーのGenentechが先駆けとなって誕生した産業だ。薬以外に、農作物の改良にも使われる。改良の結果できた作物が遺伝子組み換え食品。用途が薬の時はred biotech、農業の時はgreen biotechとも呼ばれる。加えて、洗剤などの性能向上のために酵素を作る、という工業用途のバイオもあり、これが密かに注目株だったりする。
今回のコンファレンスはred biotechが主体のもの。以下見たこと・思ったこと、です。
日本は復活するか?
Business Week6月14日号のIs Japan Back?(要subscription)。デフレと高負債の日本の経済指標が上向いているのはなぜか、という記事。
上向いている原因と、それぞれに関する疑問があげられている。
ポイントは、一部のトップ企業の業績は向上しているが、小売や建設などの「社会のバルク産業」は非効率なままであり、その生産性は横ばい、または下落している、というところ。今年のMcKinsey Quarterlyに掲載された生産性に関する分析では、「バルク産業」の効率こそが、国民の豊かさを決める、と。ということは、日本の小売・建設が効率化するまで日本の生活水準は上がらないということか。
というわけで、以下、Business WeekとMcKinsey Quarterlyの記事の概要です。
Amazon、IBMのビジネスを奪う
先週のニュース。Amazon to build, run Bombay Co. Web sites年商6億ドル、うちオンラインセールスが1700万ドルの家具雑貨販売チェーン、Bombay Co.のサイト構築およびホスティングをAmazonが受ける、というもの。別のニュースにあるように、Bombayは元々IBMを使っていたが、Amazonに乗り換えた。
つまり、IBMの商売敵がAmazon、ということ。
The deal promises larger fees if the revamped Web sites running Amazon’s technology deliver sales growth for Bombay.
That arrangement reduces initial costs for Bombay and allows the retailer access to online shopping features that Amazon has developed and popularized, including search functions, wish lists and one-click shopping
セールスが伸びたら成功報酬的によりたくさんAmazonにフィーを払うという料金体系になっている。しかも便利なAmazonのサイトのインフラも全て利用できる。システム構築・ホスティングのフィーを売上にリンクさせるのは、元が小売店のAmazonにとってはかなり自然だが、技術企業のIBMには難しいだろう。(できなくはないが)
In the first quarter, 23 percent of unit sales on Amazon came from its partner retailers. “It’s one of the fastest-growing parts of Amazon and has been for some time,”
メディアで喧伝されてきたことではあるが、既にAmazonの売上の4分の1近くがAmazonがホスティングする他のリテーラーからのもの。しかもこれはAmazonのビジネスの中でも最も成長している。
伝統的SIビジネスにも柔軟な発想が迫られる時代となりました。
Vinod Khosla ナノテクを語る
Kleiner PerkinsのVC, Vinod Khoslaのナノテク講演に行ってきた。Vinod KhoslaはSunのfounding CEOで、昨年Forbesで「The Man with the Golden Touch」という称号を受けたVCだ。とはいうものの、ここ数年、なんだかお疲れ気味コメントがメディアに載ることが多かったので、ナノテクで何を話すのかな、という興味でぶらぶらスタンフォードキャンパスで行われたセミナーに行った。(ぶらぶら、というよりボーっと歩いていたせいか、ちょっと道に迷ってしまった、)
(Vinod Khoslaがどんな話し方か興味のある方には今日のサウンドクリップ。QuickTimeで30秒弱です。)
シリコンバレーの一流どころのVCの人たちがすごいなぁと思うところは、よく勉強していることだ。
一流VCの言うことだったら何でも正しい、ということは全くない。彼らを神様扱いして、その言ったことをご神託のように信じてはならない(以前書いたエントリの『「シリコンバレーVCの評価」というのも、必ずしも実態を反映しない・・』というあたりをご参照下さい)のだが、勉強してるのは確か。今日も会場からSRAMだ、Spintronicsだ、Holographic Memoryだと質問があったが、ちゃんとこまごま答えていた。
数多くのビジネスプランを読み、世界の一流どころの研究をしてきた人たちがチームにいるベンチャーのプレゼンテーションを聞きまくっているのだから当たり前、と思うかもしれないが、その是非を理解するには、やはり自分でもかなりの知識がないとならない。Vinod Khoslaは莫大に専門書や学会誌を読んでいると自分で以前言っていたが、シリコンバレーVCには、大学の研究者などを家庭教師につけて、真剣に新しい分野を勉強する人もいる。
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ということで、せっかく行って来たので、以下、興味を引いた点、Vinod Khoslaが特に強調していた点を順不同で列記します。セミナーは会場から質問を受け、それに答える形で行われたので、質問と、それに対するKhoslaの答え、という形式です。(複数の質問や答えを合体させたり、大幅に意訳していますのであしからず。)
Matrix的Google上場
Googleが上場するという速報を聞いた私は、非常に、非常に、月並みなのだが
「やったぜベイビー!」
と思った。Googleが上場しても私には直接的に何の得もない。しかし、心から気分爽快になった。まるでMisson Impossibleとか、007の映画を見るような。とてつもない(ちょっと冗談のような)離れ業を見て、胸がすーっとする、という感じか。「やっぱり景気のいい話というのは、聞くとすっきり元気になるな」と改めて思った。
Googleは、投票権のない株を発行して上場する。これに関しては、梅田さんが異論を唱えているが、私は別にいいんじゃないの、と思っている。梅田さんの論点は「タダでさえ目立つんだから、余計な無理をするな」というのがポイントのようだが、私は逆に「タダでさえ目立つんだから、地味な上場などありえない。この際ウルトラCで打って出ろ」
と思う。
Draper Fisherビジネスプランコンテスト
Always OnのPitch Tim Draper on Your Billion-Dollar Idea。ビジネスプランを提示、ビデオ会議によるプレゼンを経て、よいアイデアにはシリコンバレーのVCDraper Fisher Juvertsonが投資してくれる。昨年も同様のコンテストをして、110件の応募があり、その中から10件がビデオ会議に進み、1件は投資に至ったようだ。(原文の表現は、”we went all the way with one company”)
ビジネスプランの応募は上記のblogへのコメントとして書く。(既に何件も入っているので読めます)。
時々、「すばらしいアイデアはあるが、全て極秘なので、秘密保持契約なしでは何もいえない」というアントレプレナーに出会う。(シリコンバレーには殆ど居ないが)。もちろん、既に著名で、ごく気心の知れたVCにちょろっとアイデアを言うだけで投資してもらえる、というような人は別だが、私が会うのは積極的に投資や共同開発を求めている会社。それなのに「全て秘密」としか説明できないのは、大抵ダメなベンチャー。普通は、秘密は保ったままでも、自分の会社の差別化要因をきちんと売り込めるはず。それができないのは、世の中をきちんと分析して、どこまでが公知でどこからが本当の秘密のキモかがわかっていない証拠。
ということで、誰でも読めるblogコメントにインパクトのあるビジネスプランがかけるかどうかは、大事なスキルではないかと思います。
よいアイデアがあって、かつ英語で迫力のあるビデオプレゼンとQ&Aができて、かつDraper Fisherから投資してもらいたいと思われるアントレプレナーの方はどうぞご応募下さい。
お知らせ
最近ちょっとバタバタしていまして、その場しのぎ的エントリーが続いております。すみません。今日も「お知らせ」でお茶を濁したいと思います。
お知らせ1
6月16日に東京で行われる新日本監査法人主催「ベンチャー企業のための株式公開セミナー」で「シリコンバレーベンチャーの動向」と称して講演します。ご興味のある方はどうぞ。無料です。
お知らせ2
Newsweek日本語版、5月19日号の「集まれ、独立系日本人」という特集(43ページ)に私のコメントが一言だけ出ています。いわく
「今だったらどこの国でも生きていける。何も知らない国へ行っても、英字新聞を買って求人欄を見て、片っ端から電話する。」
これは、最近のお気に入りの夢想です。全てを失ってアフリカとか南アメリカとかにたどり着く・・・・そして、英字新聞を広げる場所は、映画The Sheltering Skyの最初のほうに出てくるアフリカのカフェのようなところ、またはマニラのマンダリンホテルのような熱帯の古いホテル。濃厚な湿気はあるものの、まだ気温が上がりきらない早朝、開けっ放しの窓から、鳥がテーブルの上にパンくずを食べに来る。飲み物はカフェオレ。
「最悪英語を教えるか」
「それもだめだったら折り紙の先生はどうだ」
などと、謎の妄想を繰り広げております。ちなみに、Newsweekの同じページに写真入で出ている戸谷さんはJTPAのニュースレター編集長さんです。

Google IPO:未公開企業の価値の計算
Googleはインターネットによるダッチオークション方式で上場することになった。「ダッチ」と聞いただけで顔を赤らめているあなたは、変な通販の見すぎです。これは、入札者に指値をさせて、高いほうから取り込み、「売る株数と調達したい金額のバランスがいい値段」のところで足きりをし、それより上の値段に入れた人たちは全員「足きり価格」で買うことができるというもの。(調達金額・IPO時の売り出し株数とも、入札状況を見てGoogle側が変更可能)だから、とにかくどうしても欲しかったら、トンでもない高い金額で入れればよい。途方もない額で入札しても、結果的には足きり値段で買えるのだから。なお、このプロセスについてはBusiness WeekのFAQなどはわかりやすい。
(ちなみに、GoogleがIPOで調達希望と発表した金額は2,718,281,828ドル。そう、これはe、自然対数の底、オイラーのネピア数。Googleはこんなところでも遊んでいる。)
しかし、とはいうものの、高値で買って損をするのは困るわけで、投資効果を考えたら「一体どのあたりが適正な値段か」ということをよく考えて入札しないとならない。GoogleのIPOでは、これまでの普通のIPOと違って、一部の機関投資家だけでなく一般人も株が買える。つまり、普通の人たちも、「Googleの適正価格は何か」ということを計算しなければならないわけだ。(これまでのIPOとGoogle型IPOの違いについては、去年RedEnvelopeという会社がGoogleと同様の方式で上場したときに書いたエントリーをご覧下さい)
というわけで、今回は「会社の値段の計算の仕方」です。
Apprentice:リーダーとマネージャ
孤島でサバイバルゲームを毎週繰り広げ、最後に生き残った人が100万ドル獲得というテレビ番組Surviver以来、Reality Showが盛ん。そのニューフェースの中でも最近大成功で終わり話題になったのがApprentice。不動産王Donald Trumpの元、挑戦者たちが毎週いろいろなビジネスの課題に取り組み、ダメな人はTrumpから首を宣言される。生き残った最後の一人はTrump International Hotel and Towerのpresidentとして年収25万ドルの職を手に入れる、というもの。
実はApprentice、新聞や雑誌でその経緯は読んでいたが、番組自体は一度も見たことが無い。しかし、マサチューセッツ在住エンジニアの板倉さんという方から「Apprenticeについて書いて欲しい」というリクエストメールを頂いたので書いちゃう。豚もおだてりゃ木に登る、である。一応一ひねりして、Onトピックとし、リーダーとマネージャの資質、というポイントで書きます。