Apprentice:リーダーとマネージャ

孤島でサバイバルゲームを毎週繰り広げ、最後に生き残った人が100万ドル獲得というテレビ番組Surviver以来、Reality Showが盛ん。そのニューフェースの中でも最近大成功で終わり話題になったのがApprentice。不動産王Donald Trumpの元、挑戦者たちが毎週いろいろなビジネスの課題に取り組み、ダメな人はTrumpから首を宣言される。生き残った最後の一人はTrump International Hotel and Towerのpresidentとして年収25万ドルの職を手に入れる、というもの。

実はApprentice、新聞や雑誌でその経緯は読んでいたが、番組自体は一度も見たことが無い。しかし、マサチューセッツ在住エンジニアの板倉さんという方から「Apprenticeについて書いて欲しい」というリクエストメールを頂いたので書いちゃう。豚もおだてりゃ木に登る、である。一応一ひねりして、Onトピックとし、リーダーとマネージャの資質、というポイントで書きます。

Apprenticeの概要は
–215,000人の応募者から16人がテレビで挑戦
–最後の対決は、葉巻のオンライン販売事業などで成功した叩き上げのBill Rancic対Harvard Business School卒業MBAのKwame Jackson
–いつでも冷静沈着、マネジメントの素養を見せたKwameではなく、元気一杯、アイデア豊富、みんなを盛り上げるタイプのBillが最後に選ばれた

ということ。「見た?」と知り合いに聞いたところ、MBAを持っている友人たちは一様に見ていた。見ていないのは我が家くらい。(Kwameの存在が大きいと思われる)最終回の直後に感想を聞いたところ、
「OmarosaさえいなかったらKwameが勝ったのではないか」
ということになった。

Omarosaとは、Kwameが自分のチームに引き入れた「悪魔のような」女。嘘をつく必要が無いようなときにまで嘘をつくトンでもない人間らしい。そして、TrumpはKwameに「Omarosaを首にできないお前はダメだ」と最後に引導を渡されたそうである。(すみませんが全て伝聞)

しかしBusiness WeekのWhat Trump Saw in Bill: The Donaldでは、
「結局Donald Trumpは、自分によく似た傾向のBillを選んだ」
という論旨。

Business WeekはKwameを称して、こう絶賛:

On paper, Kwame was the man. His style was akin to that of the suave corporate leaders many business schools might parade before students as close to ideal: calm under pressure, a delegating manager who never lets clients see him sweat, never showing disappointment.

しかし、大問題が発生する中でも冷静すぎて、自ら踏み込まない。

When things began to go haywire, Kwame maintained his arms-length management style when he really needed to roll up his sleeves and do a little micromanaging, Trump-style. If your name and reputation are at stake, you better get in there and fix what needs to be fixed.

一方でBillは、権限委譲ができない。

His constant check-ins with his teammate employees bordered on obsessiveness, and his intensity sometimes looked more like chaos

が、部下に「この人なら」と思わせる魅力がある。

Bill, however, had managed to drum up enough support and good will in previous weeks that his teammates were willing to go the extra mile to make him look good. The dream team Bill assembled (they never lost a contest when they were together in previous episodes) wanted to work for him. He inspired their loyalty.

*****

Harvard Business ReviewのManagers and Leaders:Are They Different?(有料。6ドルです)

「マネージャ」と「リーダー」はどう違うか、という分析だ。この中で面白い例があった。いろいろな人に絵を見て物語を書いてもらう。少年がバイオリンについて考えている、という絵を見て、マネージャ的な人はこんなストーリーを書く。

Mom and Dad insisted that htier son take music lessons so that someday he can become a concert musician. His instrument was odered and had just arrived. The boy is weighing the alternatives of playing football with the other kids or playing with the squeak box. He can’s understand how his parents could think a violin is better than touchdown.

After four months of practiving the violin, the boy has had more than enough, dad is going out of his mind, and Mom is willing to give in reluctantly to their wished. Football season is now over, but a good third baseman will take the field next spring.

一方、リーダー的資質のある人は、こんな想像をする。

This little boy has the appearance of being a sincere artist, one who is deeply affecfed by the violin, and has an intense desire to master the instrument. He seems to have just completed his normal practice session and appears to be somewhat crestfallen at his inability to produce the sounds that he is sure lie within the violin.

He appears to be in the process of making a vow to himself to expend the necessary time and effort to play this instrument until he satisfies himself that he is able to bring forth the qualities of music that he feels within himself.

With this type of determination and carrythrough, this boy became one of the great violinists of this day.

筆者は、最初の物語が「マネージャ」らしいゆえんは、以下のような点にあらわれていると分析する。
1)他人と何かをするのが好き(フットボールチーム、父親と母親の登場)
2)しかし、他人との関係に深くコミットしない。ある程度距離を置ける
3)1と2という一見相反した性質を併せ持つことで、結果的に、人と人との間に起こる摩擦をうまく調整できる(みんな少しずつ譲歩して、それなりにハッピーな解決策に至る)

一方リーダーはempathyがある。Empathyとは、と記事は解説して、周りの人の気持ちを理解する力があり、さらにその気持ちを、自分と相手との人間関係において意味のあるものに替えることができる能力だ、としている。

ApprenticeのBillは、あちこちの記述を読む限り、リーダータイプの人なのだろう。部下に慕われるには、彼らの気持ち動きをきちんと察知し、要所で心の琴線に触れるような励ましを与え、ポイントを掴んで正しいフィードバックを与える必要があるはず。それを称してHarvard Business Reviewの記事はempathyと呼んでいるわけだ。

Donald Trumpもまったくもってリーダータイプの人のようだ。本当はそういう人は、下にはマネージャ的調整能力がある人を置いた方がよい。Harvard Business Reviewの記事に戻ると

Leaders attract strong feelings of identity and difference or of love and hate. Human relations in leader-dominated structures often appear turbulent, intense, and at times even disorganized.

誰をも引き付けるようなビジョンがあって、とても魅力的なボスだが、実際その下で働いてみると、もうめちゃくちゃ、というのはリーダータイプにありがち。部下との間に感情的繋がりがあるわけだから、こじれたら面倒なことになるわけだ。だから、リーダーは右腕として怜悧なマネージャタイプを置いて、きちんと統治させる、というのは王道。

しかし、である。自分と似た強みを持った人を重んじてしまうのが人間の常。リーダーは、利害の相反を調整して妥協の産物で合意に至る、ということ自体つまらないことだと思っていることも多い。一方マネージャ的な人は、リーダ的な人のカオス振りが鼻につくこともあろう。そこで、結局リーダー・リーダーという組み合わせになって崩壊したり、マネージャ・マネージャで凡庸な組織になってしまったり、ということが起こりがち。

ということで、最近のケースで、「恐らくそういうことでは」という例を二つ挙げて終わりです。

1)リーダー・リーダー??

Computer Associates: A Probe — And A Bitter Feud(要購読)
スキャンダルで揺れるComputer Assoiciatesに25年間君臨したファウンダーWangと後継者Kumar。Wangは中国からの移民で、20才近く年の離れたスリランカ移民Kumarを10年かけて育てて社長の座を渡す。渡した後も、実質の権限は自分が握るつもりだったが、みるみる力を増したKumarに逆に追い出さる。

2)マネージャ・マネージャ?

How to Groom the Next Boss(要購読)
Quest Diagnosticsでは、次期社長を育成中。200人の管理職を対象に、Apparenticeの番組風に丸一日かけてケース問題を解かせ、その中から一人を選び、その社長候補を5年かけてトレーニングしている。

現社長は元々大企業のCorningでファイナンスをやっていて、CorningがQuestをスピンオフするときに社長としてQuestに移り、即座に「後継者選び」を開始したという欲の無い人だ。そして選ばれた社長候補の方は、現社長より一歳「年上」の54才。彼は、頭は切れるが、人前でのスピーチが苦手、決断が遅い、ボードミーティングでは近寄りがたい(aloof)と思われる、などの問題点があるため、それを改善すべく特訓中、とのこと。

この2人はいずれも「優秀だが、リーダー度が低いマネージャ」なのではあるまいか、という疑念を持つのは私だけだろうか?50歳過ぎてどれくらい人間は変われるのだろうか?今後のQuestの動向が期待されるところだ。

Apprentice:リーダーとマネージャ」への5件のフィードバック

  1. あら、そうですね。昨日書きつつ、あれ?と思って一応辞書を引いたのですが、なぜか間違ったほうに統一してしまったようです。ごめんなさい。
    今後の反省も込めて記念にこのまま残しておこうかとも思いましたが、一応直しておきます。うーむ、いけませんね。
    ちなみに、ebayへの要望で多いのが「スペルチェッカーつけてくれ」だそうです。(商品を出品するときに間違えないように)ebay側は「辞書を引け」というつれない声明を出しておりました。Typepadもスペルチェッカーつけてくれるといいんですけどね・・・。

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  2. エントリーどうもありがとうございます。「マネージャ」と「リーダー」の違いに関する分析が大変興味深かったです。
    最終回でのBill対Kwameの対決についてですが、Donald Trumpはビリオン$の会社を任せられる人を探していたので、Kwameの方に適正があるように思えます。理由としては、Kwameは部下を信頼し、仕事を部下に任せ、本人はマネージャーをして振舞うタイプだからです。逆にBillは何でも自分でしてしまうタイプ。権限委譲ができないマネージャー及びリーダーは大きな仕事・プロジェクトに向かないのでは?
    Kwameが選らばれなかった理由としては、やはりOmarosaを彼のチームに選んだ失敗。(TVを見ていたほとんどの人がびっくりしたはず)及びプロジェクトの途中でOmarosaをチームから外す決断を出来なかった事が原因かな?(Omarosaはプロジェクトの途中で2度致命的な嘘をついた。)Donald Trumpは決断力のない人は嫌いなようです。
    個人的には、性格が飛びぬけて良く、高卒だけどかなり健闘していたTroyを応援していました。結局彼は、Harvard MBAのKwameと比較された際、学歴がないという理由でDonald TrumpにFireされてしまいました。やっぱりアメリカって学歴社会だよなー。。。
    THE APPRENTICE本当に面白かったです。
    http://www.nbc.com/nbc/The_Apprentice/

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  3. Hi:
    I seen the show and I feel that is a great learning tool for any young professional that wants to get ahead in there career.
    I been a food and beverage manager for eight years and I’ve worked in many holets in the city of New York and also in the Caribbean. I would like to know how I can have the opportunity to be part of the next season of the show.
    Please write me at my email for the information asked. Thanks for your time.
    Sincerely,
    Eliezer Martinez

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  4. Apprentice第2部

    NBCの人気番組、「The Apprentice」が米ヤフー上で特集されていて、一部動画も見れる。 この番組、職場でも人気があって、見てる?とかお前どう思うよあいつ、とか色々と話題になっていた…

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