WHOの中国調査団 チームリードのDr. Bruce Aylwardの2時間に渡る独自記者会見。2月25日とずいぶん前のものだが、どれだけコロナが恐ろしい病気か今見ても意味があると思うので以下大事なところを抜き出して列記。この調査団によって書かれたWHO-China Joint Mission Reportも公開されている。記者会見もレポートも3月5日のコロナウィルス 怖いからもリンクしたが、多分2時間見るのはパラノイアの私くらいでしょう。
ちなみに私はこの会見を見て、コロナに対する恐怖が著しく増大し、AmazonでPPE(医療用手袋・防護服・ゴーグル)をオーダーしてしまったのだが、よく考えたら基本どこにもいかないから必要ないので、地元の病院に寄付。「なんで世界中の人がトイレットペーパー買い占めに走るのか」という疑問が世間に渦巻いているが、たぶんこれは「やばい、でも自分でできることがない」という時にまず買って安心できるものがトイペだからじゃないでしょうか。私は冒頭の記者会見を見た段階で、紙製品、サニタイザー等は既にストックしてあったので、「何もできないけど何かしたい」ということでたどり着いたのがPPEだったということであろう。(なお、何が怖いかというと、自分がかかるのが怖いというより「こういう凶悪ウィルスが蔓延していく社会」が怖いし、自分が人にうつすのも怖い。ちなみに、1ヶ月たったいま恐怖は8割がた過ぎ去ってさきほども心安らかにContagion見ました。)
というわけで、以下要約。
- 中国のコロナ患者治療レベルは非常に高度
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「もし自分がCovid-19になったら中国で治療してもらいたい」
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中国は莫大な投資をして治療体制を整えた。病院あたり人工呼吸器50−60台、ECMOが5台等ある
- 6週間で6回治療ガイドラインをアップデート、即時に全国に通達されるシステムができており「どうやってCovid-19の患者を生かしておくか」というノウハウがある
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- 中国の死亡率を見て「この程度しか死なないのか」と思うのは非常に危険
- 現在出ている中国の死亡率が低いことで、他の国が間違った安心感を抱くことを心配している
- 中国では重症患者の生存率は80−90%だが、他の国ではこんな高い数字は出ないだろう。中国は非常に困難なこの疾病の治療を、大量の患者に対してうまく行っている
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中国のコロナの流行は収束したのではなく力づくで流行を止めただけ
- 1500万人近い武漢の閉鎖は中国といえども大変なことで、それだけの人の生活を支えるだけの食事を配給するだけでも大事業
(参考:中国は、一時期は国民の半分、世界人口の10%に相当する8億人弱の行動制限を行ってます) - 72時間で1000床増床するなど治療・隔離施設を充実させた
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4万人の医療チームと医療機器を全国から武漢に送りこんだ
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中国全土で7万感染者の全コンタクトトレーシングを行っている
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重慶では、コロナ勃発後、5Gサービスをロールアウトする際に過疎地への敷設を優先し、周辺の拠点を動画通信で全て繋ぎ、オペレーションセンターでリアルタイムで新しいクラスタをマッピングできるようにした。また、何か疑問点があれば即座にその地域と直接通信するなど常時連絡しながらコントロールしている
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あちこちにFever Clinic(発熱クリニック)があり、そこではCTスキャンをフル回転させて診断しており、1台のCTで1日に200人を診断するという効率
- 中国が莫大な国民の移動を制限したのは一部の地域での流行を3日〜1週間遅らせただけだ、というシニカルな意見があるが、今回のような増加カーブでは3日遅らせられるだけで非常に大きな差となる
- 1500万人近い武漢の閉鎖は中国といえども大変なことで、それだけの人の生活を支えるだけの食事を配給するだけでも大事業
- 中国でも若い人は死んでいる
- 割合としては低いものの30代等比較的若い人たちも死んでいることには危惧の念を抱いており、実際にそうした患者を治療した臨床医たちにあちこちで「勘でいいから考えられる理由を教えて欲しい」と聞いたが誰もわからないようだった。喫煙かと聞いたが、違うとのこと
- 中国の経済再開
- 現在中国は段階的な経済再開中にあり、工場等が再開、今後学校も再開されるだろう
- 感染カーブを下げた今中国がしているのは、病院の建設であり、人工呼吸器の購入で、経済再開で増加する新たな患者増に備えている
注意事項:WHOと中国の癒着や、中国がWHOにフェイク情報を提示した可能性もあるので、上記全部鵜呑みにはできない。例えば、Dr. Aylwordは「無症状の感染者はいないか極めて少ない」ということを中国から2つのデータで説明されたと動画内で言っているが、その後複数の中国以外の国のデータ(イタリアのVo、アイスランド、ブリュッセルなど)から現実にはかなり多そうだということになりつつあり、これを中国が知らなかったはずはないと思われ。