シリコンバレーの給与水準を書いたら
「むっちゃ高いけど、生活コストはどうよ?」
というコメントをいくつか頂いたので。(なお給与水準自体の妥当性については、「ちょっと高めでは?」「それくらい」「低すぎる」などのコメントを頂いたので、総合するとやっぱりこのくらいじゃないでしょうか。興味のある方は、お手軽にサラリーを計算できるEngineerSalaryやJobStarなんていうサイトもあります。)
もとい。シリコンバレーでやたらに金がかかるのは
1.税金
2.家
3.医療費
4.学費
5.失業した時用貯蓄
1-3は絶対必要、4-5はオプション。1、3、4は全米共通。
が、これ以外は、賢く情報収集すれば日本よりかなり安く上がる。
1.税金
Shiro-sanからのコメントで「収入の3-4割」と頂いたが、大体そんなもんでしょう。細かいことを言うと、これに加えて、扶養家族控除が少ない、結構たいしたことない所得レベルからAMTという恐ろしい税金増システムが効いて来る、といった問題はあるが、シリコンバレーで働く人の給与レンジの場合、ひじょーに大雑把には4割、と考えておけばよいのではないかと思います。アメリカ在住の皆さん、どうでしょうね。
2.家
これが痛い。買う場合、一軒家だったら80万ドル以上、マンションでも50万ドルはするかな。ちょっとましなところだと、ごく普通の築50年、みたいな家で100万ドル、1億2千万です。(ただし、家のローンの金利は税金から控除)
借りるのも、結構する。1人暮らしでも1000ドル切るのは難しいと思う。日本みたいに「滅茶苦茶小さくていいから6万円」みたいなアパートが存在しないので。ドラッグディーラーばかりの地区にでも住めば話は別だが、命の危険を冒してまで働いてどうする。
ただし、2ベッドルーム、3ベッドルームと部屋数が増えても、家賃が2倍、3倍になるわけではない。2ベッドルームで1500ドルとか。これを借りてルームメートとシェアすれば1人750ドル。アメリカ人はこういう住み方を良くする。ルームメートを募集している人に連絡して日本人だと告げると、大変喜ばれたりする。(金払いが良くて清潔という評判アリ)
一軒家の貸家も多い。2ベッドルームで2000ドル位からあると思います。
真剣に興味ある人は、以前GoogleMaps+Craigslist=こりゃ便利! で書いた、賃貸・売買物件情報がビジュアルに見られるHousingMapsを参照アレ。(追記:2014年12月時点ではPadMapperが同様の機能あり)。Zillow.comでは、全ての一軒家の現時点での推定市場価格が出る。ビジュアルに近隣の家の価格を根こそぎ表示可能。San Joseの南のほうとか、湾を渡った東側の方に行くと割合リーズナブルになります。
3.医療費
20-30代の人の保険料が月300ドル代。これはまぁOKだが、子供2人と夫婦、という組み合わせだと1000ドルくらいになる。最近では保険料を全部持ってくれる会社は少なくなってきており、特に扶養家族分は相当の割合が自己負担となることも多い。
医者にかかったときも自己負担はあるが、年間の自己負担のマックスが決まっているので、まともな保険に入っていれば問題ない。ただし、シビアな病気になったときのカバレッジが低い保険もあるので要注意だが、日本人だったら、著しく医療費のかかる重病になったら日本に帰るという手があるかも。(少なくともヨーロッパ人ではこの手段が有効らしい)
4.学費
大学が年間3万ドルくらい。小学校ー高校も私立だと同じくらいでは。
Stanfordの学費が全米でもずば抜けて高いと思っている人もいるが、そんなことはなくて、例えば、「ベッカムに恋して」で主人公が留学したSanta Clara大学というのもシリコンバレーにはあるが、学費は同じようなもの。UCはバーゲン。UC BerkeleyとかUCLAとか。特にカリフォルニア州の住人とみなされると年間1万ドルを切る。「アメリカの良心」である。
大学院では、Research AssistantとかTeaching Assistantをすると、学費免除の上に給料が2000ドルくらい出るそう(Sei君情報)。なので、特に理系だったら心配いらない。(法律とかビジネスとか、そういう、理系ほど世に求められない勉強をする場合は相当自腹を切る必要があるが)
あと、子供の保育園、幼稚園なんかも高い。日本だったら毎日通わせられる費用で週2日くらいしかカバーできない、と聞いたことありますがどうでしょうか。夏休みに、義務教育中の子供をいろいろな習い事に送り出すとそれも毎週数百ドル。
5.失業した時用貯蓄
1年は職がなくても食っていけるだけの蓄えが欲しい。なければないで、いろいろ食いつないでいくこともできるかもしれないが結構スリリング。結婚して夫婦共働きだと両方失業するリスクはかなり低くなる。
1-5以外では、車の維持費もかかる。一人1台必要だし。夫婦2人で3台持ってる、なんていう人も結構いる。
***
老後の貯蓄というのもあるが、これは必要度は日本もアメリカも一緒。年金がもらえるスバラシイ老後は、いずれの国においても今の30代以下の人にはまずこないでしょう。残念なが
ら。(ちなみに、心休まる老後のためには、税引き前の年収の2-3割貯めていかないとイカンというのがfinancial plannerの教えであった)
これ以外は安い。安いところをきちんと探せば、だが。Costco、Target、Walmart、中華スーパーなどを駆使。今の時期ならオレンジが3キロ弱(6lbs)で1ドル、なんていう超絶ディールもあります。(@Sigona’s)
また、家が高いといっても、単位面積あたりだったらそうでもない。1ベッドルームでも70平米くらいあるし、2ベッドルームだと100平米くらいは普通。「こじんまりした家」で、敷地が600-800平米、
延べ床200平米、という感じ。(これで、アメリカ的には、かなりせせこましい。シリコンバレーを出たらこの2倍、3倍はざら。)
というわけで、アメリカのコスト高を織り込んでもまだ日本より給料高いと思う。
***
が、しかし、コメントでも頂いているように、いつ首になるかわからない危険を感じながら働くストレスもあるし、やっぱりシリコンバレーの仕事が好きじゃなかったら、金だけのために来ても続かない。実際、バブル期にそういう人がたくさん流入したが、そういう人はバブル崩壊時に大体いなくなった。
(景気が悪いときの職探しの大変さについては、2003年に書いた「社会の上から下までリスクは一緒」あたりも参照願う。)
やはり、シリコンバレーのダイナミズムとか、技術を核としたカルチャーが好きで、しかも、シリコンバレーにこそやりがいがある楽しい仕事がある、という人のための場所なのだと思う。リスクがあること自体を、
「失業・転職(または、その恐怖)を通じて、厳しい社会を乗り切っていく戦力というアセットが身に付く」
と感じられるような人のための場所、とも言えるのかもしれない。
「No pain, no gain」ですね。
いっぱいもらってもいろいろ引かれちゃうんですねー。。
地方に引っ越して、家賃が東京より年間で100万円くらい少ないのもあって、なんだかそんなに大差ではないような感じがしてきました。
緊張感も少ないし。。そりゃダメか・・・
ため息30連発に減少。
ではではっ。
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CAの家賃はやっぱり高いですね。GAはもう$200~300くらいは安い感じがします。一戸建てを購入する場合はさらに安くて$30万くらい出すとまぁまぁ立派な家に住めます。もちろん共に安全なエリアという前提です。
幼稚園は、GAでは教会主催だと日本の普通の幼稚園とあまり変わらないでしょう。日本もお寺主催だと、それよりもう少し安い感がありますが。ただ共働き用至れり尽くせり保育園は滅茶苦茶高いですね。そういうところは子供が作って家に持ち帰る教材も金かかってる感じがします。
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保育園は高いです。うちの子は3歳で去年CupertinoのCommunity College内の保育園にフルタイムで行ってましたが、月$1,000弱。乳幼児クラスになるともっと高いです。私立になるとさらに高いところも。
日本の親戚はたまげてました。
一番日本とのギャップを感じるのは外食。同じ値段で食べられるもののクオリティを考えると、シリコンバレーに限らずアメリカは日本の2倍くらい高い気がします。
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ウチはCAベイエリアですが、Preschoolのフルタイムはやはり$1,000くらい。でも、去年からElementary School付属のPublicのPreschoolが実験的にできて、我が家はそこに通わせています。tuitionは月に$550とリースナブルで、先生も素晴らしく、さらに10人程度と少人数で、今のところいうことありません。他の地区にもあるのかな?
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初めて投稿させていただきます. RAを貰うと, 夏場は給料が2倍になることがあったりして, 「学生の分際」でわりと待遇がよいと思います.
楽なことに慣れすぎるといずれしっぺ返しを食らいそうな予感が最近しておりますが…
参考(RAについて): http://d.hatena.ne.jp/seihiguchi/20050813/1123936725
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質問:この辺、シリコンバレーに、こんなにお金がかかるなら、何で人がここに(私も含めて)住みたがるでしょう?なんの魅力があるでしょうか。私にも不思議です。。ここに住んでいるのに。Chikaさんはどうしてそうだと思いますか?
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一つ忘れてますよ。
うまい寿司を食べるコスト 🙂
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初投稿失礼します。
> 大学が年間3万ドルくらい。
もちろん学校によって、プログラムによってまちまちですが、あるプログラムではいろいろな種類の奨学金があって、4万ドル中2万ドルくらいは奨学金(ローンではなく)でまかなえるそうです。大学院はマスターとPh.Dでは待遇がかなり違います。
> 法律とかビジネスとか、そういう、理系ほど世に求めら
> れない勉強をする場合は相当自腹を切る必要があるが
法律、ビジネスはファンディングの元がないのと卒業後すぐお金を稼げるので、TA/RAがほとんどないんじゃないでしょうか。理系ほど世に求められていないというのは疑問です。成績を厳しくしすぎると就職実績にひびき、プログラムのランキングに関わってくるので、これらの学部の成績のつけ方は少し甘めといううわさもあります。
理系でも、プロフェッショナルスクール(医学とかもしかしたら建築)はお金が出にくいと思いますよ。
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> 法律とかビジネスとか、そういう、理系ほど世に求めら
> れない勉強をする場合は相当自腹を切る必要があるが
このコメント、私にはとても新鮮だった。日本では、法律やビジネスは、「実学」として「役に立つもの」、数学とか物理学とかは役に立たないもの、という認識が普通のように感じているので。
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シリコンバレー在住なので、Chikaさんのおっしゃる価格には、いちいち頷いちゃいました。
家、税金が高くて、生活費そのものは他州と同じくらいだと思います。
でも、日本食が簡単に安く手に入るので、他州よりも日本人には暮らしやすい地でもあります。
何よりも、理系が生き生きと仕事できる土地だということも実感しています。
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Chikaさん、先日はごちそうさま。
経済学からの観点で見れば、アメリカの給与は需要と供給によって決められるので合理的です。
みなさん、いただいている給与分の仕事をこなしていますか?
—
GTS
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GTSさんのコメントに相乗りで失礼します。
確かに日本のサラリーマンの愚痴(特に30~40代)を聞いているとこのまま働いていていいのか?とか自分の本当にしたい仕事がきっとあるってよく聞きますが、君達給与分の仕事してるの?って聞きたくなりますね。全体的にひ弱~な感じがプンプンします。
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>楽なことに慣れすぎるといずれしっぺ返しを食らいそうな予感
いえいえ、そんな心配は御無用では。
Law school, medical school, business school などのプロフェッショナル・スクールは、将来の期待収入でもとがとれるという判断のもと、借金してでも学費を払って学位をとりにくる人が十分いるので、いいんです。(まあ、実はもとが取れていないケースもあるらしいですけど。)
一方、研究者・エンジニア候補の優秀なヒトビトに、数年分の機会損失(就職していたら獲得できていたはずの給料)を押してまで何年も学校ですごしてもらうには、少々の給料でも払わないことには無理でしょう。「金の問題ではなく好きだから」なんて人しか受け入れられない制度だと、システムとして成り立たなくなります。
この手の話題になると、いつも日本の”理系”の方って、おひとよしが多いのでは、と思ってしまう私のおせっかいコメントでした。
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あと高いのが、家の固定資産税ですね。ボクはレントなので関係ないですが、毎年のTaxが購入価格の1.2%くらいとか。1Mの家を買うと、12kドルで、ちょうど毎月1000ドル。もちろんタックスの控除になりますが、それにしても高すぎる。
家の価格が暴落すると困るのは自治体なんですよね。
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