Silicon Valley Bank概要まとめ

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もうたくさんの人が語っているSilicon Valley Bank (SVB)の顛末ですが、何も書かないのも変な気がするので今のところまでの概要をまとめてみました。

  1. そもそもSVBは、全米16位の銀行で、ベンチャーキャピタル(VC)投資を受けている米国ベンチャーの半分が資金を預けていると言われる「ベンチャー銀行」。1000以上のVCも自分たちの資金を預けていた。(私も使ったことがあるが、手数料が安く、オンラインバンキングもスムーズでスマートな感じのインターフェイスの銀行でした。)
  2. 2021年の金余りでベンチャーに大量の資金が入り、SVBの預金額も一気に増える
  3. 運用のため長期の国債・モーゲージバック証券(MBS)を購入。2021年の超低金利を受けてどちらも低金利
  4. 昨今の金利上昇で、購入した国債・MBSともに価格が下がり含み損が出る
  5. そのせいでMoody’sから格下げ予定の連絡が来る
  6. Moody’s格下げを避けるため$21 billion(約2兆6千億円)分の長期債・MBSを売却、$1.8 billion(約2300億円)の損が確定する
  7. 損が出た分は自社の株式を売却して補填することにする、と水曜に発表
  8. まだ発表できる売却先がなかったことで「この銀行大丈夫?」という不安が生じる(Moody’sの格下げを避けるために早く発表しなければ、となった模様)
  9. 一部のベンチャーキャピタリストが投資先ベンチャーに「SVBが危ないから預けている資金を取り出した方がいい」と連絡(最初の一人はFounders FundのPeter Thielという噂もある)
  10. 不安が広がり、木曜1日で$42 billion(約5兆5千億円)の預金引き出しが殺到
  11. 金曜朝に州政府によって事業停止を命じられ、米国預金保険機構のFDICに経営が移管
  12. 日曜に「SVBの預金は全て保全する」と米国政府が発表し、一旦落ち着く。SVBのアセットはオークションで売却されることに(=預金は保全するが銀行は潰す、という流れ)

というわけで、1日で5兆円の引き出し請求があったらどんな銀行でも厳しいですよね。ちなみに銀行というのは、預金されたお金は運用することで利益を出すため、手元に全額の預金分のキャッシュを持つわけではない。なので全預金者が引き出しをしようとしたらどこも立ち行かなくなる。

なお、日本の人にこの話をしたら、「ベンチャー向けというニッチそうな銀行が全米16位ってすごいこと」と言われた。確かにそうかもしれませんね。

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