SPAC合併で上場した企業のその後

SPACとは、Special Purpose Acquisition Companiesの略で、「資金だけ」の会社をIPOし、未公開企業と合併して対象企業を公開化するという技である。元々はジャンクで怪しいものとして90年代からあった手法だが、2019年にVirgin GalacticがSPAC合併で上場したあたりから今回のブームがやってきた。

ちなみに下記はこれまでのSPACの数とそのSPACがIPOで調達した金額のグラフである。

(データ:https://spacdata.com/

2021年はまさにSPACバブル。613社が$163 billion、実に20兆円以上をIPOで調達している。有名人が関わるSPACも多く、映画、マネーボールで知られるBilly Beane、ヘッジファンドのBill Ackman、元下院議長のPaul Ryan、Tiger Woodsなどが名を連ねる。

しかし、そこで疑問になるのが「果たしてそんなに上場に値する未公開企業があるのだろうか?」ということ。

答えは「ない」。SPAC上場した後に倒産した会社は、2022年6月以降だけで8社あり、さらに100社近くが1年分の運転資金を持たず、また、一株あたりの値段が$1を切る会社が73社ある($1が続くと上場廃止となる)。

また、SPACの合併までには通常18ヶ月の期限があり、2021年後半に上場したSPACはそろそろ期限が訪れつつある。

Trumpのソーシャルメディア、Truth SocialもDigital World Acquisition CorpというSPACと合併予定だが、Digital WorldがNasdaqへのフィーを支払っていないことを理由に上場廃止勧告が出ている。その上Truth Socialが証券法違反ではないかという捜査も進行中なのに加え、CFOも辞めてしまった、ということでなかなか厳しい感じ。

それにしてもやっぱりアメリカは極端な国である。SPACがよいとなればいきなり600以上のSPACが一年でできて、それが1年もしないうちにバタバタと倒産して行く。

なお、SPACが完全に悪かというとそうでもなくて、実現に時間がかかる技術ビジネスなど、「伝統的なIPOはできないが有望なベンチャー」を上場させることができるなど、メリットもある。なので、今回のバブル規模のSPACは無理があるが、ある程度の数のSPACは今後も残っていくのではないでしょうか。

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