テスラの工場はロボット少年・少女には鼻血ものであった

2018-06-28 09.39.04.jpg1ヶ月ほど前の話になるが、6月末にテスラの工場ツアーに行ってきた。

約50万㎡、ほぼ東京ディズニーランドと同サイズという巨大な工場ゆえガンガン歩かされるのかと思ったが、遊園地のお猿の電車風の乗り物に乗ったまま回れるという楽チンなツアーであった。(猿の代わりに社員の人がマイク越しに案内をしてくれた)。

残念ながら、テスラの将来を担う新型モデル3を作っているところはオフリミットで、以前からあるモデルSとモデルXを作っているところだけを見て回った。ちょうどその頃は「6月中にモデル3の週間製造5000台を実現する」という目標に向けて社運をかけていたところで、SとXの製造リソースもできる限りモデル3に投入されており、私たちが回ったところは閑散としていた。

モデル3へのリソース投入ぶりは半端ではなく、イーロンマスク本人も工場に泊まり込み自らボルトを締め、ホワイトカラーのインターンのPhD学生も動員したそうだ。下記は動員されたインターンの人談 。(なお文中に出てくる”he”はインターン君。本人から話を聞いた父親の投稿なので。):

3 weeks in, he gets a late night text from boss: “report to factory tomorrow morning” with just map dot coordinates and a phone # (really).

Arrives with other nerds and no idea what’s up and is handed a voucher to go down the road for a pair of Red Wings.

Then returns and is directed into the GA4 tent and shown the line and where to be and what to do.

It’s very clear that this is all-hands on deck. Anyone who can be spared is here to help. It’s hard work, possibly the first physical work-for-pay of this sheltered life. On GA4, there’s a gallimaufry of backgrounds, education and skills all cranking hard.

But also a “see one, do one, teach one” approach where people are coming in, taking over, forming the cartilage of the line and teams that become the next shift.

私が行った日はたまたまイーロンマスクの誕生日ということで、案内のお兄さんが「もしかしたらイーロン見かけるかも(ウィンク)」と言っていたがいなかった。ちなみにモデル3は、緊急に製造ラインを確保するために作られた巨大なテントの中で24時間体制で作っている。上記の引用中GA4 tentと呼ばれるのがそのテント。

一方、私が回ったSとXの製造現場にはウルトラ超特大ロボット製造装置がたくさんあった。

ロボットにはX-Menから取った名前がつけられていて、巨大で複雑そうなものにはウォルバリンという名札がついていた。また、アルミの薄板をプレスするラケットボールコートサイズの機器もあり、これは確か6階建ての高さと言っていた気がする(7階だったかも)。

インターネット上には小ぶりの町工場風プレス機による悲惨な事故事例の動画が多数あるが、

「あんな小さいのでぐしゃぐしゃになるのに、このプレス機に潰されたらどうなるんだろう」

と思ったら、その私の心を読むように、案内のお兄さんが

「事故があったら大変だからこのプレス機は念入りに自動化してある」

と言っていた。

なお、イーロンマスクは、モデル3の生産が軌道に乗らないことについて

Yes, excessive automation at Tesla was a mistake. To be precise, my mistake. Humans are underrated.

「自動化しすぎた。人間は意外に役に立つ」 と彼らしからぬ反省ツィートをしていたが、

巨大な工場内には、先述のウォルバリンを始めとして全く稼働していないロボットがあちこちにドカンドカンとあって、

「おおお、これ全部マジで作ったのか」

と真剣に思った。そして

「このものすごい装置を24時間稼働させない機会損失は」

と他人事ながら心配になってしまった(sunk costだが)。

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テスラはこれまで恐ろしいほどに資金調達をしている。6月にビジネスインサイダーでセミナーをした際にこれまでのTeslaの資金調達をグラフにしたのだが、こんな感じ。横軸が調達時、縦軸が調達額。Tesla financing

IPOをしてからも、というか、してからの方が激しい資金調達をしている。($9M事件は昔ブログに書いた)。

今年の第一四半期にはフリーキャッシュフローがマイナス$1B (1000億円超)ですよ。

・・・というのは知っていたのだが、工場の中の巨大なロボット群を見て

「なるほど、これは金もかかる」

と妙に納得した。なおロボットの皆さんには日本の製造機器メーカーのラベルがついているものも多く、テスラの莫大な資金調達は回り回って(パナソニック以外の)日本にもきているのですね。

ちなみに、ロボット製造装置の多くは赤で美しく着色されていて、その想像を超えるサイズ感もあり「ロボット天国」という感じ。ロボット好きの方は一度ぜひTeslaの工場見学に行くといいと思います。

ロボット少年・少女だったら興奮して鼻血が出るかもしれないので要注意。


工場内は撮影禁止だったので、この動画をご覧あれ。私が行った時は、ここに出てくるロボットの9割くらいが不稼働でした、はい。

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なお、イーロンマスクは「もう資金調達しない、第三四半期(=今期)に黒字転換する」と言い張っており、その施策として日本の秘儀、サプライヤー泣かせの技に出て、「これまでに払った金返せ」請求をしている。(今朝Tesla側が「ちょっと違う」と対抗しているが)。

目的のためならなんでもする、それがイーロン・マスクのすごいところ。

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ちなみに、モデル3は素晴らしい車でございます。個人的にSよりずっと好き。Wall Street Journalの車担当も絶賛している。

参考:私のモデル3乗り心地(およびバグ)レポート

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