テスラモデル3はファントム羊の夢を見るか

Tesla Model 3
モデル3の内部

倒産の可能性すら噂されるテスラ。イーロンマスクも最近かなり追い詰められている感じである。

「イーロンマスク追い詰められている感その1」としては、5月2日の業績発表の電話会議でアナリストが質問している途中で「その質問つまらないから、次」と切ってしまい、次のアナリストの質問のあとは長らく無言のあと答えずに「Youtuberからの質問に移る。質問バカバカしすぎて頭痛いから」とさらに無視。いいのか、それ。

「その2」としては、NTSB(国家運輸安全委員会)のトップとの電話会議でも途中で勝手に切ってしまった。こちらは、3月にマウンテンビューで起こった自動運転中のモデルXの死亡事故の調査の過程で起こったことなのだが、いいのか、それ。

テスラが窮地に立っているのは、普及版であるところのモデル3の生産が軌道に乗らないから。去年年末くらいから少しずつ社員向けにリリースされ、1月終わりくらいから予約客のうち既に他のテスラ車を持っている人に出回り始めた。5月時点で3万台強が納車済みなのだが、千ドル払って予約した人たちが50万人以上いるのである。2016年時点での生産目標は2017年に10万台、2018年に40万台だったので、全然間に合っていない。一応納車したものにもブレーキの不具合があると問題になっている(ファームウェアのアップデートで直すらしいが。)

量産に失敗している理由の一つとして、生産設備を自動化しすぎた、とイーロンマスクも認めている。

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で、我が家では2月の半ばからこのモデル3があり、私が主に運転しているのだが、これが、なかなか素晴らしい。納車してすぐ撮ったのが冒頭の写真で、真ん中のタッチスクリーンに全ての表示系・コントロールが集約されている。そしてその佇まいは誰がどう見てもMicrosoft Surface。何が素晴らしいと言って、そのコンパクト大衆車的外観に似つかわしくないとてもスポーティーな走りが素晴らしい。

サスペンションはコツコツ硬く、加速は異常によい。先日の夜、高速に乗って合流しようとアクセルを踏み込んだらあっという間に95mph(150kmh)くらいまで行ってしまい慌てて減速したくらい。停止時からの加速も速い。すごく速い。チキチキマシーンか、という感じで、本当は一番速いはずのモデルSよりモデル3の方が速いように感じる。車体も軽いし。(ちなみにサスペンションの硬さ、加速などは変更できるので、もっと普通の乗り心地にすることも可能)。

これまで長いこと2シーターのマニュアル車を乗り継いできた私的には大変爽快である。

さらにレンジも220マイル(350キロ)あって長距離ドライブも安心。

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しかし、その素晴らしさの一方で、動作のあちこちにベータ版的な雰囲気が漂い、車に完璧さを期待する一般市民にまだ売ってはいけないのではないかと思う。

これまで車というのは「ハードウェア」ありきで、それをコントロールするものとして「ソフトウェア」が後から加わっていたのだが、テスラでは「ソフトウェア」が「ハードウェア」と同じ重要性を持っている。そしてソフトウェアというのは最先端のものであればあるほど誤作動するものである。

これまで3ヶ月ほど運転していて、1度はスクリーンが立ち上がらなくて黒いままなことがあった。駆動系は問題なく動くのだが、ギアがドライブなのかリバースなのか、今の走行速度がなんなのかなどは全部そのスクリーンに表示される。で、携帯で「model 3 screen doesn’t turn on」とか検索したら「ハンドルについてる二つのボタンを10秒長押しでハードリセット」というのがあったので、その通りにしたら直った。

1990年代に「将来は車もソフトウェア制御になる」ということで、未来の車に起こりうる様々なバグを表現したジョークメールが出回っていたが、まさにその通りのことが実現しているのである。Future is here!

最近は「ファントムタッチ」が起こった。これは、誰も触っていないのに、まるで誰かがタッチスクリーンをでたらめに触っているかのように色々なことが起こってしまうという現象で、私の場合は洗車場に行ってから謎のラジオ局が次から次にかかり、さらにナビの画面で誰かがタイプし続けているような状態となった。まぁ、それはいいのだが、温度設定が何度直しても最高値まで上がってしまい暑い風が吹き付けるのにはまいった。目的地に着いたら、今度は車から降りてもオンのままで、ラジオはなりっぱなし、鍵もかからず、誰でもアクセルを踏めばそのまま乗っていける状態だったので、さすがにこれはまずい、とまた検索して、これもハードリセットで直るとのことで10秒長押し。

次回からは何があっても10秒長押しをまずやってみるのが吉であろう。


(上の動画はファントムタッチ状態になっている時に私が撮影。変な音声はラジオからのもの。画面の個人情報を隠すのにiPhoneにあったClipsというアプリでHuh?という吹き出しを被せてあります。これしか適切な形のものがなかったので。)

それ以外にも、携帯を鍵がわりに使えるのだが、その携帯を持って近づいてもドアの鍵が開かないとか、ドアは開くけれど内部のコントロールがオンにならないとか、その程度の問題は日常茶飯事。

というようなことは、ソフトウェアだと思えば「まぁこんなもの」という感じだが、従来の車の安定性を求める人にこの状態の車を大量に売ってしまったら、テスラ社員の皆様はそのトラブルシューティングとクレーム処理で夜も眠れないのではなかろうか。

が、しかし、大量に作って売らなければ会社が潰れてしまう。それも1ファンとしては困る。3週間に一度くらいソフトウェアがOTAアップデートされるのだが、その度に「今度の自動運転はどういうステアリングかな」とか「新しい機能は入ったかな」とか楽しみにしているので、開発はぜひとも継続してもらいたい。

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なおわたくし、個人的にテスラの初期からずっとウォッチし続けていて、ロードスターが世に出る前に会社に行ったこともある。テスラの歴史を思い返すと、現在くらいの「やばい出来事」は何度もあった。2008年に書いたブログでも「息も絶え絶えテスラ」と書いている。しかしその全てをウルトラCで乗り切ってきたのがこの会社なのである。

今回もこれまで同様なんとか乗り切って欲しい。

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