デラウェア登記に関する追記

前回のエントリーに追記なのですが、アメリカの会社である限り「足切り」ではないです。オリジナルのエントリー内でも書きましたが、もともとアメリカにある会社だったら、いつでもデラウエアに登記を変えられるので、問題があったら変えればいいだけのことなので。株主の数によりますが、弁護士代数十万円でできます。(上場前とかで株主がたくさんいるともっと掛かることもあるようですが。)思いつきでタイトルを書くと正確に中身を反映しないので誤解を生む、ということですね。

なお、「カリフォルニアの会社のまま投資した先もある」という東海岸のベンチャーキャピタルの方からのお話もありましたので、そういうこともなくはない模様。

なぜカリフォルニアの会社に投資するのをVCが嫌がるかについては、こちらのWilson Sonsiniの弁護士のYokumのブログにある通り

One example of a material difference in corporate law between states is
the stockholder vote necessary to sell a company.  California corporate
law provides that a merger requires the approval of a majority of the
outstanding shares of each class of the corporation. This means
preferred stock as a class and common stock as a separate class.  In
contrast, Delaware corporate law provides that a merger requires the
approval of a majority of the outstanding stock entitled to vote.  The
fact that holders of common need to approve a merger of a California
corporation is one reason why venture funds prefer Delaware. Venture
funds don’t want common holders to have the ability to block a merger.

テクニカルな話ながら、アメリカのVC投資は、preferred shares=優先株、で行われるのが普通。そういう違うタイプの株を「class」と呼びます。ファウンダーが持っているのはcommon shares=普通株。

カリフォルニアだと、会社のM&Aは、classごとに多数決をとってそれぞれでマジョリティにならないといけない。ということは、例えばcommonが全体の10%しかなくても、その半数以上が反対するとM&Aできない。

つまり、株数ベースで株主の5%が反対するだけでM&Aが起こらないことになってしまうわけで・・・。ベンチャーのエグジットとして多いのが、買収してもらう、というケースなわけですが、それが(投資家から見て)難しくなる、ということ。

増資の難しいところは、今回の増資ラウンドだけじゃなく、将来のことも考えないと行けない、ということ。イレギュラーな増資をすると、次の投資家に嫌われる(=投資してもらえない)リスクがあるので、なるべくスタンダードなことはスタンダード準拠でやっていく、というのが大事だったりします。はい。

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なお、アメリカ国内では会社を移すのは簡単なわけですが、日本に一旦設立しちゃった会社を、デラウェアに限らずアメリカに移すのは結構大変。特に株主が複数いる状態で、全員にそれを納得してもらうのは大変。

また、儲かっている会社だと税金のことも考えないと・・。とはいえ、2007年に日本の税制が変わり、クロスボーダーの三角合併なるものが可能になったため、海外との会社でも「親子関係の逆転」ということができるようになりました。なので、不可能じゃないです。上記の株主問題は残りますが。

まぁ、あんまりそうまでしてアメリカのベンチャーキャピタルから増資したい、という人もいないと思いますが。

===

では、なぜアメリカのベンチャーキャピタルが(というか、米に限らずどこの国のVCも)海外で登記された会社に投資したがらないかというと、その国の法律がよくわからないから。

たとえば、アメリカのベンチャーキャピタルが投資する際には、何十ページにも及ぶ「(主に)投資家の権利を守る契約」を投資先と締結しますが、投資先が海外の場合、その国でこの契約がどこまで守られるのか?ベンチャーキャピタルの人が社外取締役になったとして、会社が違法行為をした場合などにその取締役の責任はどこまで問われるのか?などなど、いろいろわからないことが沢山あるわけです。

で、そういう懸念を全てぶっちぎってまで投資したい先があるか、というと、それは結構難しい・・・。絶対ないとは言わないですが。

デラウェア登記に関する追記」への1件のフィードバック

  1. こんにちは、私は日本の大学に通う文系4年です。
    最近は将来の日本に対する不安から、今後の選択肢の一つとして移住というものを考えています。
    しかし、大学では広く浅い知識を学んだだけで特に専門知識がないことに大変焦りを感じています。
    エントリーを読む限り、移住の際には何らかの専門技術などがないと厳しそうですし、まして文系出身は尚更きつい印象を受けました。
    今更ながら、授業が楽そうという印象や日本の理系職はあまり対偶がよさそうにないという安易な考えだけで文系を選択したことを悔やんでいます。
    例えば、もし私がこれから移住してもやっていけるソフトウェアエンジニアなどを目指すとすれば、とりあえず今の大学を卒業した後に海外で情報系の学部からやり直すのが一番なのでしょうか?
    お返事いただけると幸いです。

    いいね

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