Googleストリートビューに思う日米の距離感の差

Google Street Viewが日本でも見られるようになったと聞いて、実家の住所を入れてみて出てきた画像に結構ビックリ。一応ぎりぎり都内、という感じのごく普通の住宅地なのだが、家の細部までくっきり。隣の家の洗濯物まで見える。

これはちょっといやだなぁ。

一方、アメリカの私の家のストリートビューもずっと前からあるのだが、こちらは別にどうということもない。こんな感じなので↓ 一応シリコンバレーなんですけど・・・。

視点を動かしていくと、隣の家の人がビション・フリーゼ(白くて巻き毛の小型犬)のカプリス君との散歩から帰ってきたところが写っているのはかなりツボにはまったのだが、本人には言っていない。嫌がるかな、と思ったので。多分知らないと思います。しかしこれも、写っているとはいっても、随分遠くからのもの。


いや、もちろん、アメリカでもストリートビューは問題になった。

「いろいろわかってすばらしい」から「プライバシーの重大なる侵害」までいろいろなスペクトラムの意見がわいわいと。自分の猫が窓越しに見える、とか立ち小便してた、とか。プライバシー保護団体も異議を唱えた

アメリカ以外の国でも問題になった。たとえばイギリス

というわけで、ストリートビューとプライバシー問題は切っても切れない関係にあるわけですが、しかし、やっぱりアメリカより日本の方がインパクトあると思います。人口密度が高いから。道路が狭くて、歩いている人も、家も、全てが近くにあるわけで、写真で見せられたときの衝撃も大きい。

一方アメリカは、道路が広い。道路から家の距離が長い。都心部に住めば違うが、そういうところは通常高層住宅。

サンフランシスコにはずらっと個人住宅が並ぶところもある(↓)が、そういう家の多くは庭が裏にあり、居間や台所など、人がいる時間が長い部屋はそちら側に面していがち。下のストリートビューで見える「玄関側」は、実は日本の感覚で言うと「家の裏側」なんです。(余談ながら、こういう家の隠れた庭は都心のオアシスという感じで、思いがけなく素敵だったりします。)

なので、日本のように「道路側が表側」というのに比べると、写真を撮られるインパクトも低い気がする。

で、移動は車なので、街中を歩く時間も少ない。

(日本から来た人がアメリカの住宅地を見て「誰も人がいない!」と驚くことが多い。歩くだけでなく、自転車に乗ってる人もいない。普通の住宅地の道には誰もいない、というのがごく普通。)

というわけで、「うーん、やっぱり日本だとストリートビューはちょっと衝撃だなぁ」というのが正直な感想。(ご参考まで、WebwareのStreet View Throws Japan for a Loop

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ちなみに、この距離感の差って、日本とアメリカの文化や考え方の根元にあるという気がするんですよね。

村上春樹も「日本ではいかにdetachするかが問題だが、アメリカではいかにcommitするかが問題」というようなことを言ってたが、アメリカ的な物理的距離感の中では、がんばって自分から社会に関わっていかないと、なかなか関わることができない。日本では「失敗を見られる」というのが一番の恐怖なら、アメリカの恐怖は「誰からも忘れられること」なんじゃないかなぁ。

ちょっと話は飛ぶが、この「失敗を見られる方が怖いか、誰にも見られない方が怖いか」というのって、起業の盛んさ加減にも関係する気がします。起業して失敗するのと、平凡な人生で誰にも見てもらえないの、どちらが怖いか、という・・・。

Googleストリートビューに思う日米の距離感の差」への5件のフィードバック

  1. そーすると、日本人の方がスパイ活動などには向いてますね。誰にも気がつかれない清掃員などなど。

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  2. 渋谷の××坂周辺をストリートビューでウロウロしていたら、突然真っ黒の箇所がありました。
    不倫現場でも撮られて、Googleに削除要請したのでしょうか??
    あ、そういえば、この類の「宿泊施設」、アメリカにはないですよねぇ~(韓国映画では観た記憶があります)。

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  3. グーグル・ストリート・ビュー

    Googleの偉大さと傲慢さ(前編)(WIRED VISION) – goo ニュース
    Google Street Viewって、みなさんもう使いました?
    もうとってもおもしろいですよ〜。
    住所を打ち込めば、その住所の画像を見ることができるんですから。
    でも、プライヴァシーの問題もあり、批判も出ているようです。
    たしかに勝手に自分の姿を撮られて怒る人の気持ちも分からないでもない。
    そこにいることがばれるとまずいのに勝手に写真を取られてウェブで公開さえているのだから。
    ま…

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  4. 日米の距離感の差は、おもしろいですね。
    それが、文化の違い、起業率の違いにつながっている。という考察はなかなか考えさせられました。
    確かに、日本は隣近所が近いだけに、「失敗を見られるのが嫌」というのはかなり根強いと思います。
    ただ、起業率が少ないのは、ほかにも理由があると思います。それは、サラリーマンのほうが起業するよりお得だ!という理由です。
    今の日本は、規制緩和がいまいちで、新しく儲かる分野が少ないと思います。また、年金や福利厚生が大組織のほうが有利なのも、起業をためらう理由だと思います。

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