ここ数ヶ月サンノゼ市議会に激震が走っている。その震源地は、とある商業地区を
「Little Saigon」
と名付けるか
「Saigon Business District」
と名付けるか、という論争。部外者の多くは「どっちでもいいじゃん?」と思う訳だが、これがもめにもめて、とある市議会議員が辞職を迫られるまでの事態となっているのであった。先週は、200人がこの議員の辞職を求めるデモまで起こった。
何がもめているかと言うと、どうも海外在留ベトナム人にとっては「Little Saigon」というのが大事な名前らしいんですね。
アメリカに住むベトナム人は150万人。うち10万人がサンノゼに住み、これは全米最大となる。
彼らは、現共産党政権に追われて海外に出ざるをえなかった人たちで、ベトナムの往時の首都Saigonはホーチミンシティという名前に変わってしまった。で、アメリカのみならず、世界中のベトナム人居住地に「Little Saigon」という商業地区がある。このLittle Saigonという名前が
「国を追われても負けた訳ではない。海外で繁栄するコミュニティを樹立した。」
ということの象徴になる、ということらしいんですね。その大事なLittle Saigonと言う名前を使わないなんて、と大騒動に。
今回Saigon Business Districtという名前を市議会に提案した議員はベトナム人の女性。初のベトナム人のサンノゼ市議ということで大きく期待されていたのだが、今回の事件では裏切り者扱いとなり、辞職が求められているのであった。しかし、彼女の論は
「どの名前にするか提案するために、対象地区内の事業者、1300人に投票を依頼したが、117人しか投票せず。その中でこそLittle Saigonが一番多かったが、それでも44票のみで、とても大多数とは言えない。それ以外に New Saigon, Saigon Townといった名前も多かったので、最大公約数をとって『Saigon Business District』にした」
ふむ。ラジオのトークショーにかかってきたサンノゼベトナム人コミュニティの皆さんのコメントを聞くと「そんな投票知らなかった」という人たちも多数いるらしい。で、「このプロセスは民主的でない」と息巻いてる模様。
でもそれ、投票依頼の通知を読まなかったキミが悪いのではないのか?という気もするぞ。
それに、別にSaigon Business Districtという看板を立てるわけでもないので、別に市がなんと呼ぼうと、自分たちで「Little Saigon」と呼べばいいだけではないか、というリスナーのコメントもラジオでは登場。もっともです。
が、反対派の人たちは、国を追われた苦しみ、それを引き起こしたベトナム新政権に対する怒りを、今回のプロセスにぶつけているようにも見受けられ、もはや理屈ではどうにもならない状態になっている感じだ。こんなどうでも良さそうなことで激しい争いになるほど、深い深い痛みが過去にあった、ということでしょうか。
が、理由はともあれ、こんなことをしてる暇があったら、もっと大事なことを論議すべきじゃないか。公立学校の改革とか、いろいろあるだろう、、、と思うんですが。
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以降ちょっとだけ関連しつつも余談なんですが、下着写真が公開されても強気な市長が私は好きだ、というエントリーに関し、どこかのコメントで「日本だったら辞職を求められて大変だ」という類いのがあったんですが、アメリカでも辞職を求める人たちは一杯いるはず。アメリカに住む人の違うところは、そういう時に「辞めない」と立ち向かうこと、そしてその立ち向かい方が理にかなっていれば、その人に賛成する人がでてくるところにあるかと。
ここで一句。
「戦わざるもの勝つべからず。」
岩手県「蘇民祭」の観光ポスターが、JR東日本からセクハラだと掲示を拒否されたそうな。
ところが逆に掲示したいという問い合わせが来ているとか。
捨てる神あれば、拾う神あり。
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> 戦わざるもの勝つべからず
千賀さんらしい一句だなぁと、にやりとしてしまいました。
他の人から見るともっと大事なものはあるかもしれないけれど、まずは「その人の存在を認める」ことが第一歩。だから、こういう議論が延々と続くのだと思います。
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最大公約数は『Saigon』のようなので、
最大公約数をとって『Saigon Business District』にした
というあたりが議員の勝手かなという気がしますね。
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サイゴン(最後)はホーチミン(放置 民)になったりして‥
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chikaです。
最後の放置民、、、座布団3枚っw!
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