知り合いのベンチャーが最近、とある企業に買収された。ベンチャー側は社員30名、買った側は3500人、という規模感。
M&Aはシリコンバレーの華なわけですが、そのやり方もかなり定番化してきてます。90年代にCiscoが多数の買収を行い、しかも買収した企業を上手に本体事業に取り込んだことから、そのノウハウが地域全体に広まった、ということもあり。
買収にかかる金銭的交渉はさてはおきつ、買収後の事業統合を成功させるのが最重要課題。そのための大事なルールが「買収を社内発表すると同時にリストラ策を社員全員に告知する」ということ。
M&Aでは、無駄になる人材が必ず出るもの。セールスや総務的人材は無論のこと、
「特定の技術はいるけど、それ以外はいらない」
といったこともある。いずれにせよ、買収される側はリストラを覚悟しており、買収後の事業や組織がはっきり示されるまでは誰も仕事に本腰が入らない。
そういった不安な状態をだらだらと続けると、本当はキープしたかった人材まで他に職を見つけて出て行ってしまうことにもなる。
というわけで、買収交渉が最終段階になったら、平行して誰を解雇するか、誰をキープするかも決め、買収を告げる段階では買収後の組織・人事も告知できる状態にしておくことが大事。
で、辞めていただく社員には即刻去っていただく。
(「首にする」と「キープする」の中間的カテゴリーとして、「新たに、買収側の会社から採用面接を受ける」というのを設ける事もある。)
さらに、シリコンバレーの会社はTシャツやらマグカップやら様々な「会社ロゴ入りグッズ」があるのだが、これを買収の日にキープする社員全員にあれこれ詰め合わせで配って、「今日からうちの社員よ」ということを徹底する。
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一番最悪な買収後の施策が
「買収はするけど、とりあえずじわじわとお互いを理解してそれからどうするか決めましょう」
というもの。被買収側社員は、
「この人たち、何のために買収するかわかってないんじゃないの?」
と落胆するし、いつリストラがあるかと宙ぶらりんな状態が続くと仕事も進みませんので。
今回の記事を読むとゴルゴ13シリーズと言うよりも
「ライブドアvs.フジTV」の立場を逆転させた買収劇
と言った方がわかりやすいのでは?
ちなみにゴルゴ13は政治経済の内容以外は「要人の暗殺」「自分(ゴルゴ13)が依頼者に狙われる」「出生の秘密」の3つのプロットしかない事をよく話題にしていました。
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》一番最悪な買収後の施策が
》「買収はするけど、とりあえずじわじわとお互いを理解してそれからどうするか決めましょう」
日本企業の典型的な合併ってこのケースが多いですね。
昔勤めていた企業が合併したときもこんな感じでした。
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さすが厳しく、ドライですね。買収時に、「キミは、辞めてもらう。あなたは残ってね」と通達しちゃうんですね。
日本企業の合併を見ていたので差を感じます。こちらは、突然の合併発表後から、徐々に…. と2年近く統合化をやっています。やっとリストラ(希望早期退職)が始まりました。まあ、分野も違いますが。。。
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スパっと切るのがいいのか日本流にだらだらと残すのがいいのか。
どちらが人を殺すのでしょうね。
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私としては、(政治的判断や怨恨ではなく)合理的な経営判断に基づいてスパッとやって欲しいですね。
「東京銀行との合併のときにもあったのだが、まだ使えるシステムを、被合併行出身者の追放のためにわざわざ作り変える、といった合理性のないシステム統合が、今回のDay2でも横行しているのだが、うんこ銀行のそういう余裕があるのだろうか。すでに、合併から1年半が経過しているが、両行の人事交流は未だに不十分で、統合効果は未だに発生していない。むしろ、顧客の側から見れば「UだのTMだの」「●だの◆だの」と振り回されていて、実質的に二つの銀行が存在しいているのとそう違いはない」
http://slashdot.jp/~von_yosukeyan/journal/411860
コレって、本当なのだろうか?さすがに信じがたいが、もしこんなことがあるのなら、合理的にスパッと切る方がずっとましだと思います。
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M&Aとは場合が違うかもしれませんが、レイオフについてこんな話もあるようです。
ネット版 The Newyorker から。
アメリカの市場で、レイオフは企業の業績を悪くするという判断に変わってきたという記事。
http://www.newyorker.com/talk/financial/2007/04/30/070430ta_talk_surowiecki
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