アメリカの黒人風名前はその子の生涯に不利に働くか

アメリカでは似たようなファーストネームが多い。元がバイブルからくるせいで、2000年前のキリストの使徒の名前はいまだに流通。12使徒中、Simon, Peter, Andrew, James, John, Philip, Matthew, Thomas, James までは極めて普通ですね。(あとBartholomewと有名なJudasがいるが。)GabrielとMichaelは天使の名前。2000年前の名前が今でも通用するとは、例えば日本でイザナミとかコノハナサクヤという名前が今でもあるような感じ?

かようにバリエーションが少ないおかげで、名前を覚えるのが苦手な私は助かっている。(1つの名前に多数が対応するので、「Johnの一団」とか「Daveの一団」といった脳内グルーピングが可能。)

しかし、そんなアメリカにも、変わった名前が多い人たちがいる。

それはアフリカンアメリカンの皆さん。ちょっと古いが、2008年のオリンピックの出場選手の名前だけ見ても、Tayshaun, Deron, Rau’shee, Raynell, Deontay, Taraje, Jozy, Kerron, Hyleas, Chaunteなどなど、見たことの無い名前がたくさん。

ちょっと前の調査なのだが、Freakonomics(ヤバい経済学)の著者が調べたところ、カリフォルニアで生まれたアフリカン・アメリカンの女の子の30%が、同じ年に生まれた数10万人の女児に同じ名前が1つもない「オンリーワンネーム」だったそうでございます。

参照:The Causes and Consequences of Distinctively Black Names (pdf)

「黒人的名前」のトップ20には、Precious、Asia、Tiaraなどが並ぶ。

これは、1960年代のBlack Powerムーブメントで、「黒人は黒人らしい名前をつけよう!」ということになってからのことらしい。アフリカン・アメリカンの人が自ら「黒人らしい名前」を揶揄した分類によれば、なんちゃってスワヒリ語系(例:Shaquan)、ブランド系(Prada)、自信過剰系(Heaven)、そして想像を絶する変なの系(Anfernee)があるとか。

この手の名前は、名前を見ただけで黒人だと推測されてしまう名前でもある。そして、ヤバい経済学の筆者の調査によれば、そういう変わった名前であっても経済的な裕福さは下がらないそうだ。*

日本でも「変な名付け」については長らく語られて来ており、リヤムちゃん、ポムちゃん、ココアちゃん、などなど、いろいろな名前がDQNネームと呼ばれ、「そんな変な名前ではまともな就職ができない」等々言われている。しかし、日本でまともな就職をしている変な名前の人に何人もあったことがありますです。皆あまりに変わったオンリーワンな名前過ぎて例を挙げると誰かわかってしまうので出せないのが悔しいのだが。その中には「なんちゃってスワヒリ語」のカタカナ名前の人もいた。もちろん、純粋な日本人です。そして、誰もが憧れる華やかなメディア系の大企業で働かれていました。

ちなみに、私の名前はグローバルにはちょっぴりDQNネームっぽい。スペイン語では女の子、転じて「ギャル」のような意味になる。ロシア語では女の子の名前の後に「チカ」と付ける(日本語の「ちゃん」みたいなもの?)。まさかそのまま名前のはずはあるまい、と「エーッと、、、あなたの名前はなんと読むのかしら、チャイカ?」などと聞かれることが多い。「いえ、そのまま、チカです」というと「クスッ」と笑われたりする。(「私の名前はギャルです」と言ってる感じかな。)また、あのナイジェリア詐欺で有名なナイジェリアでは、男女とも普通にチカという名前の人がいるそうだ。ま、覚えてもらいやすいからいいんだけど。

アメリカ在住のユウサクさんがYou suck!(お前、最低!)と聞こえるので改名したという話を聞いたこともある。

海外に行くと、このように思いがけない名前がDQNネーム化することもあるのであった。

ただし、「黒人的名前」の人が仕事に応募した場合、面接に呼ばれる確率は、普通の名前の人に比べて下がる、という調査結果も複数ある。この2つの矛盾した結果をどう融合するかの決定打はいまのところ無く、そもそも黒人を雇う気のない雇用主に呼ばれて無駄な面接をする確率が減る、面接に呼ばれる確率は減っても最終的に雇われる確率は同じ、などの仮説が上記論文には書いてあります。

 

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ユタのモルモン教徒の皆さんも変わった名前が好きらしい。

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