トリビアの泉:日米通貨流通量

アメリカの自販機では札を使わないというエントリーでは思いがけなく熱い反応があった。アメリカの自販機、ATMで痛い目に会っている方々が多い模様。さて、それを読んでいてムラムラと興味がわいたのが、日米の通貨流通量である。私の仮説は

「アメリカは、紙幣に比べてコインの流通量の比率が非常に高い」

というもの。札は出番がないのに、やたらとコインが必要なことが多いので。(路上駐車とか)。自販機に札を入れてもお釣りはコインだし。政府系の数字だから一瞬でわかるかなー、とGoogleでサーチしたが、結構手ごわそうなので忘れることに。しかし、どうしても気にかかって、ついうっかり調べ始めてしまいましたよ。あー・・・何をしているのじゃ私、と思いつつ、乗りかかった船、調べ始めたインターネット。

結果は意外にも、ドルと円では、紙のお金:コインの流通割合はそれほど変わらない、なーんと総額の流通量も大差なし。

日銀のマネタリーサプライ(8月)、米国の鋳造局(というのか?US Mintである。)の2004年年報、およびFederal Reserve Board Testimony (7/19/2006)によれば、

■ 流通総額
- 日本:79兆円
- 米国:7990億ドル (約90兆円)

■ コイン流通総額
- 日本:4兆5千億円
- 米国:370億ドル (4兆円ちょっと)

■ コイン比率
- 日本:5.7%
- 米国:4.6%

うーむ。なぜにコイン比率が、アメリカの方が低いのか。

冒頭で述べたとおり、アメリカでは紙幣をあんまり使わない。(紙幣を使うような買い物はクレジットカードで、となる。)その上、死蔵されているコインがとても多い・・・様な気がする。そもそも、男子の財布に小銭入れが付いていることが少ない。札入れだけ。小銭はジャラジャラポケットに入れ、家に帰ったらざっと空けてしまう人が多い。灰皿みたいなものにためたりとか、コインソーターに投げ込んだり。ということで、冒頭の「アメリカのコイン比率はきっと高い」という仮説とあいなったわけである。

しかし現実は数字の通り、コイン比率は日本より低い。

なぜ~・・・と考えるに、日本はコインの平均単価が高い。上記の比率は枚数じゃなくて額面でのもの。

日銀様の統計では、流通しているコインの(額にして)54%は500円玉、30%が100円玉である。一方、アメリカが2004年に新たに作ったコインの内訳では、56%が25セント(quater)、26%が10セント、残りは1セントと5セント。(あと、1ドルの記念コインが3%ほどある。これは、基本的にはコレクター向け。もちろん、普通に使ってもいいんですが。)

つまり、「アメリカはコインが多いよねー」という実感は枚数ベースであり、額でいうとたいしたことないわけだ。1000円は500円玉二枚だけど、10ドルは25セント40枚。

そして、さらに発見したのは、アメリカの通貨供給のなーんと3分の2が海外にあるとのこと。確かに米ドルで普通に買い物ができてしまう国はとっても多いからなぁ。メキシコなんかは街中のスーパーですらドルで当たり前に買い物ができるが、アジアやヨーロッパでも結構OKなことが多い。もう10年位前になるけど、ベトナムに行ったときは、1ドル=11000ドン(かどうかわすれたけど、そういうきりの悪い数字)という換算レートで、リキシャのおじさんまでがすばやくお釣りを計算するのには感嘆した。

して、そういう米国以外でドルが通用する国では、ドル紙幣で払うと、お釣りはその国のコインでくれる、ということが多いわけです。つまり、ドルのコインは流通してないわけ。ということは、私が推測するに、米国の国内での流通だけだったら、1割以上がコインなんじゃないかな。(ご存知の方がいたら教えてください。)

以上、非常にトリビア的知識であります。本当は、ここからオンライン商取引の進展による通貨velocityの変化とかそーゆーことに思いを馳せたかったが、もはや疲れたのでおしまい。

なお、以下、さらにトリビアな知識の数々。

  • currencyは紙幣だけを指す言葉で、コインは入らない。米財務省のCurrency and Coinというページなど参照
  • US Mintは、コインを作っているお役所で、記念硬貨などは一般人に直接販売。US Mintは、米国政府機関で「カスタマー満足度が一番」だそうな
  • 紙幣を作ってるのはBureau of Engraving & Printing (BEP)
  • 米国の紙幣を刷るコストは1枚当たり5.7セント(2005年)

あ、あと、上記の統計結果から類推される大雑把な数字として

「米国で持ち歩くべき現金の量は日本の5分の1」

約90兆円分のドルが流通してて、その3分の1しかアメリカ国内になくて、人口が日本の2倍。っていうことは、90兆円×3分の1×50%=15兆円が、日本の79兆円に相当するかなぁ、と。で、5分の1と。もちろん、日本円の海外流通量とか、タンス貯金とか、企業取引とか、まぁ考えなければならないことはいろいろあるわけで、そのへんを大雑把に忘れることとした場合の数字なのだが、実感としてはあってる気がしませんか?少なくとも私の財布の中身は、大体日米でそれくらい違います。

ということで、例えば「日本で知らない街を旅するときは、財布には5万円くらい入れておく」という方は、アメリカを旅する際は1万円相当を持ち歩くのがよろしいかと思います。はい。

トリビアの泉:日米通貨流通量」への14件のフィードバック

  1. すばらしいトリビアばかりです。
    全然関係ないですが、25セント玉(クォーター)8枚必要なコインランドリーがあって、その場で立ちすくんだことがあります。

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  2. 仮説ですが・・・日本の場合ユーザの財布よりも、自販機周辺にコインが多く存在しているのではないでしょうか?

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  3. こんばんは。初めてのエントリーです。
    この日記でコメントされていないのが、偽米ドル札の流通量。自販機やATMのお札を出し入れする部分をビルバリと言いますが、実はこの精度が極めて低いのが問題。なので日本とは違い、アメリカのATMではお金を引き出すことはできても預けることができません。市場で流通してしまっている偽札は本物より精巧なのです。日本のように1万円札がばんばん使えるような社会ではなく、100㌦札や50㌦札をたくさん持っているとかえって怪しまれてしまいます。本物をだけを通して偽札をはじくビルバリはアメリカ人では作れないようです。

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  4. 日本では現金で買い物をするので、スーパーや商店のレジ周辺のほうが大量に必要でしょうね。
    やっぱり日本は現金が流通してるので発行量が多く、アメリカは使われてないので少ないと、シンプルな結論かも。(これも仮説ですいません。)

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  5. 初めてポストします。毎回変わった(?)視点&Offの内容も面白く、楽しませていただいております。
    私が不思議なのは、パナマやエクアドルなどいくつかの中南米の国がドル化してしまっていることです。これらの国はどのようにして自国内の通貨の流通量をコントロールしているのか、通貨発行機能が無い訳なので、その辺が謎です。毎年これくらい供給して下さいとアメリカに申し入れでもするんでしょうか? 金融政策をアメリカに丸投げしてるようなもんですが、ここ数年はパナマ、エクアドルは超好景気の様子。これが崩れたらどんな影響がドルに起きるのか。まぁ国が小さいということもありますが、気になってます。

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  6. 久しぶりにアメリカ(NY)へ旅行に行きました。現地の友達と連絡を何度もとることになったのですが携帯電話がないので、公衆電話を使うことに。コイン使用のみの電話がほとんどなので、コインを集めるのに苦労しました。日本はほとんどテレホンカードも使えますけどね(^^;)

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  7. こんにちわ。この前は私も「ああ、みんなこの話題だけは一言言いたいんだな」と思いました。でもみなさん、ちょっと思い出してください。日本だってつり札が出た歴史はさほど長くはなかったじゃーありませんか。そうです。千賀さんも指摘されているように、日本は高額のコインがあるからです。それから、この記事は自販機が出発点だったので、そういう視点になると思いますが、私の感覚ではアメリカは紙幣の方が多い、、という印象があります。そもそも自動販売機は日本ほど流行ってなかったと思うんですよね。最近NYCなどでも「おっ」と思うほどきれいな自販機見るけど・・。自動販売機でなければ、普通の店頭の売店で買うときは数えやすい1ドル札が活躍してると思うんです。NYCでは最近でもおつりなんてきちんと返してくれなかった覚えが。。。スタバだって5セントぐらい平気で足りなかったりして。
    ちょっと前までは、電話かけるのも、洗濯機でもクオーターが必要なので、逆にクオーターのおつりはありがたかったような気もします。

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  8. chikaです。
    スタンフォードの学内のパーキングメーターは、コインしか入らないのに6分で25セント、なんてのが結構あります。教授とかと打ち合わせ、、、なんてとき用に、私の車には常にquarterが30枚くらい入ってます。(灰皿はquarterで一杯)。
    >偽米ドル札の流通量
    確かに、たくさんこれについてのレポートがありました。(っていうか、本物のドルの流通量のレポートより、偽ドルの流通量のものの方がたくさん見つかりました)。国内の自販機等でのバリデーション不全に加え、海外での偽ドル札の流通が困った事態のようです。国際通貨って、いろいろ大変なんですね。
    >これらの国はどのようにして自国内の通貨の流通量をコントロールしているのか、通貨発行機能が無い訳なので、その辺が謎です
    これ、私も不思議に思うんですよね・・・おそらく、ハイパーインフレーションよりは、もうドルにお任せしちゃったほうが楽、ということかしらん?とも思いますが。CIAのWorld Factbook https://www.cia.gov/cia/publications/factbook/index.html に寄りますれば、二国合わせてGDPが8千億ドルくらいで、アメリカの0.7%くらい。確かトヨタが2週間くらい操業しないと日本のGDPのそれくらいがなくなるんじゃなかったでしたっけ?(昔トヨタの部品工場が火事で、トヨタが操業停止したときにWall Street Journalにそういう感じの記事が出てました)ってことは、エクアドルとパナマが崩壊しても、トヨタの部品工場の火事ぐらいの影響かなぁ・・・なんて。

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  9. アメリカでの現金の使い道って基本的に小銭のみ、って感じですよね。せいぜいが軽い食事までで、まともな買い物を現金でする人は少ない。
    流通している金種も限定されていて、
    コイン 1,5,10,25
    紙幣 1,5,10,20
    最高額が2千円くらいで100円相当から紙幣なわけですから、そもそも国内での現金の流通金額が少なそうですね。
    50セントや1ドルコイン、50ドル以上の紙幣もありますが、ふだん余りお目にかかりません。(だからUSPSの自販機のおつりにはびっくりします)。実は2ドル紙幣ってのもあるんですよね。
    アメリカは1,2(.5),5をすべて用意する通貨ラインアップでありながら、実際は4、5倍ずつで済むようにできます。ある意味上記のよく流通してる中では10はコインも紙幣も少し不遇。
    人間、複数必要でも、2ずつ繰り上がってちゃ使いにくいですが、10数える気はしない、というあたりの心理がつぼなのではないかと思います。
    それに比べると日本は律儀に1と5の国です。そろばんが関係しているのでしょうか?2千円札を受け取るとまだなぜだか不思議な気分になります。
    ちなみに優秀なATMを大量に使用する銀行では5千円札は嫌われ者、その理由は透かしが中央に無いため、積み重ねるとまっすぐにならないからだとか(でもこれは一つ前の紙幣かな?)。
    アメリカのATMからは20ドルしか出てこないけど日本も少し前までは5千円や2千円は出てこないのが普通でした。いまはコンビにATMからは2千円が出てくるようですね。

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  10. 演歌歌手の方とか大相撲の方とか、革の財布に100万円単位のお札を入れて持ち歩いている方々が、日本のお札の流通量を押し上げている気がいたします。(笑)

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  11. >おそらく、ハイパーインフレーションよりは、もうドルにお任せしちゃったほうが楽、ということかしらん?とも思いますが。
    弱い通貨しか持てない国だと、どのみち国民は自国の通貨よりも米ドルなどの強い通貨を使うようになるだけでは?一度ハイパーインフレに入れば、私だって日本円で持つよりはドルかユーロで外貨預金にしちゃいますね。
    流通量をコントロールして云々というのは、自国通貨がそれなりに強い国の話であって、弱い通貨しか持てない国においては、いずれにせよ自国通貨を通じた経済政策なんて有名無実になるものではないでしょうか。

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  12. こんにちは。初めての書き込みです。いつも楽しく拝見させてもらっています。
    ちなみに、私はオーストラリアに住んでいるのですが、オーストラリアの自動販売機も、頭が悪すぎます。
    オーストラリアは、アメリカと違い、
    コイン:5, 10, 20, 50, $1, $2
    お札:$5, $10, $20, $50, $100
    という感じの構成で、結構コインを使う事が多いのですが、自動販売機でお札のおつりが出てきたことがないです。なのに、周りのオージーに聞いても皆特に不満を持ってないのが不思議です。
    「自動販売機だったら、コインしか出ないの、当たり前だろ」てな雰囲気です。
    日本に帰国する度に思うのですが、日本って自動販売機が他の先進国に比べ、圧倒的に多いですよね。あの自販の多さが機能あたりの単価を引き下げて、その結果、標準的な機能の向上につながったのでは??とも思ったりもします。
    今回の話とは全く関係ありませんが、通行人に頼んで必死で集めたコインを、コインしか食べてくれないパーキングのチケット発券機に入れて、いざチケットを吐き出させたら、チケット発券機の体内時計が狂ってたのか、1日前の日付のチケットが出てきた時には泣きそうでした。。。

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  13. FXで勝つことは実は簡単なことなのです。

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