先週のベンチャー投資とインサイダー取引

  • 先週のベンチャー投資総額:$221.5M
  • 投資額最大のベンチャー:SOMA Networks – 今回の増資額:$50M
  • 面白いベンチャー: Prolacta – 今回の増資額:$4M
  • 最大のインサイダー取引:McAfeeのCEO、George Samenuk、$11.1Mゲット

単位:M=100万ドル=約1億円 B=10億ドル=約1000億円
(情報ソース:VentureWire, San Jose Mercury News)

先週は、大きな増資案件が少なく、全体として小粒。結果として全体額も$221.5Mと少な目でした。といっても、200億円超ですが。。。。

  • 投資額最大のベンチャー:SOMA Networks – 今回の増資額:$50M

SOMA Networksは無線インターネットのインフラを作っている会社。1998年創業で、最初はプロプラエタリだったが、2003年にWiMAXがIEEEで定められてからは、WiMAXの会社になった。WiMAXは線を引かずにブロードバンドをどーんと無線で提供するための標準。基地局から50キロ半径で、最大70Mbpsを送ることができる。いわゆる「ラストワンマイル」用です。SOMAの製品構成は↓のような感じで、キャリアが使うでかいキカイから、エンドユーザーが使うターミナルまでをカバー。

こういうことやるには、お金がかかります、というわけで、これまでに$120Mを集めている。使いではあるが、しかし、バブル崩壊後の氷河期を生き延びてきたのはえらい。莫大に増資して、(それこそ、シリーズAで$200Mとか)、結局何もできずに木っ端微塵になったベンチャーはたくさんある。今回の増資に触れたSan Jose Mercuryの記事でも、Forrester Researchのアナリストが
"They’ve ridden out the storm
for quite a while….They get points for survival."
とコメントしていたとおり、「よく生き残ったで賞」です。

さて、生き残っただけでなく、$50Mという大増資を成し遂げたわけだが、今回のラウンドのリードインベスターはTemasekというシンガポールの政府系VC。アメリカ政府を含め、公的機関がこれほど大きな投資でリードを取るというのは、かなりまれな事態。

なぜシンガポールか、という理由付けについては、$50Mはアジアへの事業拡大の資金だから、とのこと。アメリカにはワイヤレス・ブロードバンドの市場が(ほとんど)ないから。なんといっても、以前も書いたとおり、250kbpsを超したらブロードバンド、という国であるからして、70Mなんていうのは途方もない超スピードである。しかもワイヤレスだなんて、ハイテク過ぎ。通信事業が著しく自由化されているこの国では、キャリアは短期的な経済原理に基づいて投資をするわけだが、そうすると、この手の未来型サービス(でもないかもしれないが)は採算に合わない。一方で、ベンチャーキャピタル資金はあまっているので、どんどん新しい技術に投資が起こり、競争ばかり激化する。

(余談だが、このあたり、market failureが起こっていると思うんだが。public goodsに、競争原理、株式市場における投機、金余り現象が組み合わさったような感じかな・・・。さらに余談だが、この短期的利益追求というのは、アメリカの医療保険制度崩壊の理由の一つでもある。このあたりmarket failureの新しい理論付けが必要なんじゃないだろうか。全く余談だが。)

SOMA Networksに話を戻すと、社員の3分の一はシリコンバレー、3分の一はカナダ、残りはアジアにいるとのこと。自国に市場がなかったら海外に行商に行き、自国のエンジニアのコストが高すぎたら、安いエンジニアがいる国に行くタフさがないと生き残れない。日本でもあれこれ活動しており、2001年には、シャープと共同開発、2003年には、NTTコミュニケーションズと金沢で広域無線ブロードバンド実証実験、最近はサンヨーとの共同開発が発表されてます。

  • 面白いベンチャー: Prolacta – 今回の増資額:$4M

Prolactaは母乳バンク事業、だそう。母乳が出ない母親の子供のために、母乳を集め、検査し、処理して流通するのだそうな。そういう事業が成立するほどのニーズがあったのか。そういえば、昔パラオにダイビングに行ったら、島じゅうに「子供は母乳で育てましょう」というポスターが貼ってあったが。

  • 最大のインサイダー取引:McAfeeのCEO、George Samenuk、$11.1Mゲット

McAfeeといえば、昔Network Associatesという社名だったアレ。といっても、もともとはJohn McAfeeさんが起業したMcAfeeという会社だったが、1997年にNetwork Generalと合併して、Network Associateに。その後、バブル華やかなりし1999年には、個人向けにアンチウィルスソフトを販売する部門をMcAfee.comとして分社、上場させた。が、それを2002年に買い戻し、2004年にはMcAfeeという社名に戻った、という複雑な流れ。

もっとも、1997年から2004年まで山ごもりしていた人には、何も変化がないように見えると思うが。このやり取りの間で、株の買戻しやら、買収経費やらに使われて消えていった資金はトータルいくらあったのか・・・・。考えただけでもシリコンバレーの土地が値上がりしそうである。

ちなみに、マクドナルドのおしゃれ版にMac Cafeというのがあり、うちの近所にもある。エスプレッソとかマフィンをおいている。ただし、店員は、Starbucksのようなスレンダーでおしゃれな若者ではなく、糖尿病の心配をしてあげたくなるような体格の人が多いが。で、英語発音的にはMac CafeとMcAfeeは似ているのでありました。

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