先週のベンチャー投資とインサイダー取引

  • 先週のベンチャー投資総額:$427M
  • 投資額最大のベンチャー:Verus – 今回の増資額:$98M
  • 面白いベンチャー:Crossbow – 今回の増資額:$12M
  • 最大のインサイダー取引:VeriSignのOfficer、Quentin Gallican、$2.2Mゲット

単位:M=100万ドル=約1億円 B=10億ドル=約1000億円
(情報ソース:VentureWire, San Jose Mercury News)

今週もまたメディカル系がトップ。しかもシリーズAで100億円近いというバブルな投資。ちなみに、先週の総額$427M中、$245Mはメディカル系で、$146MがIT系。会社数で言うと、メディカル系は7社、IT系は21社と圧倒的にITが多いのですが。このあたりは、結構面白いダイナミクスがあって、メディカルは起業しにくいけど、いったん起業した後の成功率(もしくは、成功といわないまでも、何とかトントン程度になる確率)は割りと高い、IT系は企業は簡単だけど、勝ち残るのは大変、という感じ。

もちろん、メディカル系の人たちは、
「メディカルも成功率は低い」
と強調しますが、それでもITの比較ではないでしょう。ウェブサービスっぽいミドルウェアの会社だけで100社はあったし、光通信関係なんて300社以上起業されましたから・・・・。メディカル系がうまくいく確率が高い証拠に、メディカルでは、「8社起業してうち6社上場か売却」なんていう人がぞろぞろいます。ITだったら、「3社起業で2社成功」くらいで後光がさしますが。(成功のレベルにもよりますが・・・)

(ちなみに、先週の増資のメディカル・IT以外は、$14Mが「環境にやさしい農薬」の会社、$22Mが燃料電池と太陽電池の会社の二社への投資でした。)

「シリーズAで100億円近いというバブルな投資」を集めたベンチャー。

とはいうものの、これは、最近製薬系のベンチャーで増えてきた形です。キーワードはインライセンシング。同社のサイトの冒頭にはこう書いてあります。

We are a pediatric-oriented company dedicated to identifying,
developing and delivering solutions to address the unmet medical needs
of children and those who care for them. We are building our initial
franchise position in the treatment of asthma, allergies, and related
diseases and conditions.

要約すると、「子供の喘息やアレルギーに効きそうな物質を見つけて、ライセンスしてきて開発します」ということ。

これは、これまでの製薬ベンチャーのリスクの「ずんどまり現象」を回避するためのアイデア。

「これは効きそうだ」という物質を見つけたところで、その物質を核にして起業をしては見たものの、実際開発を進めてみたら、いまいち。しかし、いまさら元には戻れないので、とにかくその物質で直せそうな病気を探し回ってみたが、とんでもなくニッチな病気にしか対応できなかったり、最悪の場合何も治せる対象が見つからなかったりする、という事態が「ずんどまり現象」。(注:「ずんどまり」は「どんづまり」よりも最悪度合いが高い。命名、渡辺千賀)。

こうしたリスクを避けるため、まず先に「これが治せたら大変すごい!」という病気のビジネスチャンスを先に明確にし、その後でそれに効きそうな物質をあちこちの大学やら研究機関、企業を探してまわり、これは、というものを複数ライセンスしてくる。で、開発を進める。複数あるので、一つの物質に縛られないし、かつだめなものはせっせと切り捨てることも可能、ということで、リスクが少ない・・・としているのですが。

ITのベンチャー投資に比べると、むしろ「プロジェクトファイナンス」。マネジメントチームも経験豊富な業界のエグゼクティブ的・額広い系が中心で、若さで勝負という感じはありません。Verusもこんな感じ。


去年はJazz Pharmaceuticalsというベンチャーが同様に$250MをシリーズAで集めてました。Jazzは今年になって、Orphan Medicalというナルコレプシーの薬の会社の買収を発表しましたが、Orphanの企業価値は約$120Mで、集めた資金の半分がこれに消える。。。うーん、こういうオカネの使い方するために$250M集めたのだろうか???

この「アイデア一発、インライセンシング型」のベンチャー形態にはどうもバブルの匂いが付きまとう。ITバブルの華やかなりし頃には「企業情報をワイヤレスデバイスへ配信するためのミドルウエア」というアイデア一発でシリーズAで$200M集めて、そのまま沈没・・・なんていうの、ありましたね。ほんの数年前の話ですが。

当面は、メディカルではこの投資形態がうまくいくのか見守っていきたいと思います。

2002年ごろヨーク話を聞いた「スマートダスト」です。ばら撒くだけで勝手にネットワークを構築する「頭の良いチリ」。ビルの壁に塗りこんで温度や湿度を立体的に監視、ファシリティマネジメントに利用、などというポーの「黒猫」みたいなプランにも使える模様。UCバークレーの研究開発に端を発したCrossbowは、2003年初めにIntel Capitalから投資を受けて注目されました。

サイトを見ると、まだ「ダスト」というにはずいぶん大きいようですが、勝手にお互いを見つけてネットワークを自動的に作る、というアイデアはやっぱり面白い。

  • 最大のインサイダー取引:VeriSignのOfficer、Quentin Gallican、$2.2Mゲット

割合調子の良いVeriSignです。

一位じゃないですが、最近Tessera Technologyのトップ数名が、淡々と株を売ってます。PS2にも使われている半導体パッケージを作ってる会社。株価はいまいち低迷気味。なのにマネジメントは株売って儲かる。で、株主は怒り。最近、ストックオプション積み増しが株主投票で否決されてます。

では。

先週のベンチャー投資とインサイダー取引」への2件のフィードバック

  1. はじめてコメントします。
    製薬企業勤務ですが、「トカゲから糖尿病薬」など
    大変、参考に?なっています。
    ところで、
    >エグゼクティブ的・額広い系が中心で
    とのことですが、やっぱりアメリカでも額が広いのでしょうか?
    やっぱり、頭使っていると毛根まで栄養が行き渡らないのかなぁ~
    ぼくは高校野球が余り好きではないのですが、
    「高校球児、額狭い説」を提唱しています…

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  2. こんにちは。
    白人は禿げやすい、という説があります。嘘か本とか知りませんが、とあるアメリカンインディアンの部族が始めて白人を見たとき、その人はヘリコプターに乗ってきたそうな。ヘリコプターを初めて見たアメリカインディアンは非常にびっくりしたのですが、さらに仰天したのは、降りてきた白人がツルツルだったこと。インディアンは禿げないんだそう。(ほんと?)で、ヘリコプターに「ツルツルアタマ」という名前をつけたそうです。初めて見る白人がヘリコプターに乗ってくるってどういう時代?とちょっと真偽に疑問を持つのですが。

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