シリコンバレー的歯医者

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シリコンバレーでは歯医者も一筋縄ではない。

先週行きつけの歯医者に行った。Dr. Hoという香港系アメリカ人の歯科医。3つほどの診療室と受付からなる歯医者だが、LANが張り巡らされていて、レントゲン写真を撮ると、即座にPCでそれが見られる。最近では「自動差し歯製造装置」も導入され、これもLANでPCにつながっている。差し歯が必要なあたりを3D写真にとって、それをPC上で立体的に見ながら「こんな歯にしようか」という感じで適当に形を作って「差し歯製造装置」にデータを送ると、全自動でその場で歯が作られる。まぁ、CADを使った立体モデリングと思えば不思議はないのだが、シャッシャッと歯が形作られていく様子がおもしろくて、じっと観察してしまった。

最近は日本の歯医者も超ハイテクと聞くので、この程度の装備ならあるかもしれない。しかしDr. Hoが一筋縄ではないのは、HarvardのPublic Healthのマスター、かつ歯医者コースドクター(そんな学科があったのか、ハーバードという感じだが)という、大変高学歴ながらも、まぁ歯医者らしい学歴の前がUC Santa BarbaraのコンピュータサイエンスだかEEなこと。おかげで、というか、残念ながら、というか、この歯医者には日本の歯医者に比べると、やたらにたくさん人が働いているにも関わらず、(受付に2-3人、加えてアシスタント2-3人が常時いる)「すわ、LANが落ちた」などという事態になると、Dr. Ho自らが直す羽目に。

「勉強したことは無駄になっていない」というべきなのか、やたらと非効率、というべきなのか。。。。

(ちなみに、Dr. Hoのところに限らず、歯医者ではITが多用されつつあるようなので、「歯科衛生士とLAN管理者」とかいったダブル資格を持つと需要が高いかも)

miguel.jpgさて、一筋縄ではないもう一つの要素は助手のMiguel。彼はペルー人で、ペルーでは正規の歯医者だったんだそうだ。3年前に全く英語のできないままアメリカにやってきて、歯医者のアシスタントの職を得たと。なんだかいつもDr. Hoに叱られていてちょっとかわいそうなのだが、実はわからないのは歯科技術ではなくて英語。最近は随分上手になって、ヒトゴトながらちょっとホッとしている。

Miguelは日本に留学していたこともあるそうだ。岐阜の歯科関係の学校に1年通い、その時は
「人生で一番楽しいときだった」
と言っていた。小さな街にいたので、まるでアイドルのように扱われた、と。お店に買い物に行けば、
「ミゲルサン、お茶を飲んでいけ」
と湯のみが出てきて、
「ミゲルサン、テレビはもってるか?」
と聞かれて「ない」と答えたら、翌日、アパートのドアの前にカラーテレビが2台置いてあってびっくりした、とか。

とはいっても、「人生で一番楽しかった」というのは私に対するお世辞も多分に入っているかもしれない。

しかし、Miguelの語るペルーの様子を聞くと、一概にお世辞だけでもないかもしれないなぁと。いわく、
「ペルーは本当に大変だった。テロが続発して、爆弾の音が身近でしても、10人やそこら人が死んでも、誰もあまり驚かなくなってしまったくらい。本当にあの時代はひどかった」
さらに。
「フジモリが大統領になってテロが制圧されたのは素晴らしいことだった。でも彼は、右手でいいことをして、左手で悪いことをした。やっといい大統領が登場したと思って喜んでいたのに、彼は国の富を盗み出した。とても残念だ」
と。そういう国での暮らしと、自らも元は歯科医の資格を持っていたのに、言葉のわからない職場でアシスタントとしてしか働けない今と比べたら、確かに日本留学は楽しかったかもしれない。

こういう風に、世界からいろいろな過去をおって集まってきている人に頻繁に出会うのがシリコンバレーです。

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<歯医者の前に咲いていたBirds of Paradise。名前の通り、鳥が飛び立つような形をした花>

シリコンバレー的歯医者」への3件のフィードバック

  1. ふと思うに、もしかして「一筋縄」の動詞は「行かない」でしたかね。最近殆ど日本語を読まないので、日本語が怪しくなってきたなぁ。。

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  2. ちかさん、こんにちわ♪
    確かに、「一筋縄」の用例は、「~では行かない〔=普通の手段ではうまく扱うことが出来ない〕」となってますが、ご自身で気づくうちは、ごくごく平均的な日本在住日本人レベルだと思いますよん。
    さて、医療機関や医療制度ってそれぞれの国や地域事情を反映して、とっても興味深いですよね。渡航先で頻繁にERにお世話になることの多い私としては、散々治療費踏み倒してきた経験上、そのうちどっと請求が来るんじゃないかといつもビクビクしてます。いや、もちろんちゃんと海外傷害保険等で全部カバーされてるはずなんですが、未だ請求されていない救急車費用とか誰が負担してくれたのか謎が多いんですよ。
    それよりも、Ho先生の髪型(てっぺん)なんかやばくないですかぁ???社外秘かも・・・。それともPhoto albumsに永久保存でしょうか。

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  3. Ho先生の頭のてっぺん・・・・そ、それは、一応私が気が付かない振りをしていたことなのですが・・・:-)
    ちなみに、私ERをアメリカ旅行中に一回踏み倒して(わざとじゃないです)、その後アメリカに住むようになり同じ病院に行こうとしたら「あなたは昔踏み倒したからそれを払うまでは診療不可」といわれました。ひえー。しかも踏み倒した請求書はcollection agency(債権回収屋)に回ってました。(別に怖いところじゃないのですが)気をつけましょうね。
    なお、オンサイト歯製造装置はこれです。
    http://www.sirona.com/ecomaXL/index.php?site=SIRONA_COM_cerec
    (正確には、詰め物とクラウン(冠)、ですね。クラウンのことを、勝手に私は差し歯と呼んでいます)

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