学歴は役に立つのか?

私の入っているオフィスビルのオーナーがため息混じりにこんな話をしていた。

「長男はスタンフォードのマスター3つとPh.D.を持っていて、もともと巨大クレジットカード会社のVPだったんだけど、会社を辞めて起業しようとしたらできなかった。その後、2年近く職を探したけど見つからず、結局クリーニング屋を3軒買って、それを仕事にしている。

ビジネスは軟調で、コスト削減で社員をぎりぎりまで切ったので、一人でも病気になったりすると、長男がかわりに働かないとならないから土・日もなく働いている。そこまでしても、今月は給料が払えないくらいだった・・・」

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こちらで働いていて思うのは、ほとんどの人が学歴を公表していること。日本みたいにひそひそ「あの人実は何とか大学」とか「学歴社会はいけない」とか、そういう後ろめたい感じはあまりない。

例えば、昨日のVentureWireNewsletterの「先週の金曜に増資を受けたスタートアップ」の中で、サンフランシスコの企業、PanscopicのManagement Teamのページを見るとこんな感じ:
President and CEO:B.S. in Engineering from Stanford University, and an MBA from Harvard Business School.
Founder, Vice President of Products:MS from Penn State, and an MBA from the University of Michigan.
Vice President of Sales:B.S. in Business Administration from Bradley University.
Chief Architect:B.A. with High Honors and Overall Academic Distinction in Computer Science from the University of California, Berkeley.

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学歴をみんなが経歴に載せるのは、アメリカ(特にシリコンバレー)が実は学歴社会ということもあるけれど、「学歴だけでは、どうにもならない」というのも、大きな理由じゃないだろうか。他のいろいろな経歴と同等のひとつのコンポーネントに過ぎないから、かえって堂々とセールスポイントとして明記できるのでは、と。

高学歴でありながら苦労しているのはビルオーナーの長男氏だけではない。スタンフォードのMBAホルダーだって、多分シリコンバレーだけで、数百人は職探し中だと思う。

この間はこんな人が新聞で取り上げられていた。
「通信系大学院卒、これまで大企業からスタートアップまで、様々な通信系企業でdirectorやVPといった要職を歴任。でも40代半ばでレイオフされて以降、1年以上職探しをしているが見つからない(なんと3000通以上の履歴書を送ったそうだ)。通信業界からきっぱり離れることを決意、家を売って引っ越すことにした」

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アメリカは学費が高い。普通の大学に4年行ったら学費だけで1000万円を覚悟した方がいい。MBAは2年間とはいえ、例えばスタンフォードの場合、2年間給料をもらえない機会損失と学費を足したら平均26万ドル、3000万円超だ。これだけ投資して職が見つからないのでは、話にならない。ビジネススクール側も、卒業生が職がなくては学校の将来が危ないので、Alumni向けのcareer service centerも設けて、職の斡旋やらworkshopやらいろいろとやっている。

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というわけで学歴があっても苦しいことが多い当地だが、とはいえ、学歴なしで渡っていくのはもっともっと大変。(もちろん天才は別ですが)

ということで、一旦取った学歴は「人生サバイバルの武器として、最大限に活用する」って感じなのでした。

学歴は役に立つのか?」への7件のフィードバック

  1. しかし、大家さんの長男はなぜ、クリーニング業に入ることにしたのでしょうね。私が知る限りはこの手の業種は、少し調査すれば、かなり正確に売り上げを予測することができるはずです。買う前に、どの程度の売り上げなのか、ビジネスとしてうまみのあるものなのか調査しなかったのでしょうか。
    実はいろいろと困っている人の話は聞くのですが、その人たちの話を聞くと、どうもあまり考えない行動がその難しい状況を作り出しているように見えるのです。行動する前に結果をある程度は調査したり、予測したりすることができると思うのですが、どうもそういう人たちはそれをさぼっているように見えるのです。
    日本でもこういう話をリクルーターの人たちから聞いたことがあります。日本の有名な大学を出て、大きな会社に就職して、ある程度の歳になってから、突然、社会に放り出されてしまった。だから、新しい人生を見つけるべく、新しい仕事につくためにリクルーターの所にやってくる人が後を絶たないが、こういった人たちの多くは自分が何がしたいのか、何ができるのか、何のために生きているのか、といった質問に何も答えられないというのです。当然、自分に適した(相手も受け入れてくれる)仕事を上手に見つけることなどできないという訳です。
    こういう人はそれだけの学歴を得ることができた訳ですから、ある面頭の良い人であることは確かでしょう。ただ、その力を実社会に適用することができないのです。すなわち、日本だけでなく、アメリカでも実社会で生きるための知識や技能はなかなか学校では教えてくれないのです。こういう事を考えるとやはり学校とは何なのかという命題にいつもぶつかってしまいます。

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  2. なぜクリーニング業か。
    それは私もわかりませんが、おそらく答えは「他によい物件がなかったから」ではないでしょうか。Ph.D.まで持っているということは、高学歴ではありますが、逆に非常に限定されたスキルを持っていた可能性があります。某有名クレジット会社のVPまで勤めたのですから、そのスキルはとても高かったはずです。当然彼はそのスキルが生きる仕事があると信じて2年間近く職探しをしたのでしょう。
    しかし、それが生きないとなると、逆に高度なスキルを必要としないビジネスをするしかなくなってきます。
    また、最初にベンチャーを立ち上げようとしたときに数十万ドル自分の資金を使ってしまったということでした。プラス2年間近く家族を養って(奥さんは専業主婦だったようです。40代ということで、子供も何人かいたのでは)、その上で新しく何かのビジネスを買うとなると、相当元手も限られていた可能性があります。そうなると、結局手に入る手ごろな案件がクリーニング屋さんだった、という可能性は十分にあると思います。
    また、クリーニング業がそれほど悪いとは私は思いません。
    以前、スタンフォードで80年代にMBAを取得した人と話しましたが、彼はクラスメートが華々しくメキシコの電話会社を始めたりするなかで、ランドロマットのチェーン店を始めて、ほそぼそと地味に運営していたそうです。ところが、ある日、別の全国規模のランドロマットが上場することになり、上場前に規模を大きくしようということで、買収のオファーが彼の会社に入った。で、売却して、その後売却先が上場して、彼は一挙に大成功で、40代半ばで引退、angel投資などを少しずつしている、といっていました。「自分でもまさかこんな成功をするとはとても思えなかった。正直驚いた」と言っていました。
    世の中「頭が良くて」「状況を正確に分析できる」というだけでは、どうにもならないことがたくさんあるのだと思います。
    もちろん、何にも考えていないのは問題外ですが・・・・。

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  3. もう一つ。
    「あまり考えない行動」とありますが、大家さんの長男氏の例で言えば、大企業のVPを辞してスタートアップをしようとしたことがそれにあたるといえばあたります。でもそれは1999年のことだったとのことで、ということはバブルの絶頂。このときに判断を間違ったことを責めるのは、気の毒というものでしょう・・・。
    唯一あるとすれば、夫婦でどちらの収入がなくなっても大丈夫なようにしておく、ということはありますが・・・。最近は夫婦とも失業する人も多くて、それすら気休めですね。

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  4. 自分の資金、数十万ドルを使い込んでしまったというのはやはり、私には信じられませんが。1999年のバブルの頃であれば資金の調達は非常に楽だったはずですから、自分の虎の子をそこに投資してしまうというのはどうも考えにくいですね。自分の時間を一つの会社に投資しているわけですから、自分のお金は別のところに投資しておくのは当然ながら投資の常識ですよね? その会社に何か問題があったら、かなり辛い立場に立たされるのは分かっていたはずです。
    私も必ずしもクリーニング業が悪いとは思いません。その事業をベースにしてビジネスを拡張できる可能性は沢山ありますから。ただし、雇っている人たちに給料が払えない、つまり、自分達は全く持ち出しです。それはやっていけていない訳ですから、かなり間違った買い物だったのではないでしょうか。
    最後にChikaさんが言われるとおり、最悪のシナリオは常に考えるべきだと思います。ただし、時には自分が描いた最悪のシナリオを上回ることがあることもありえます。今回は急激な経済の変化があったために、自分の最悪のシナリオの中に収まらなかった人が相当数いることは間違いないでしょう。でも、そういうことさえ考えられなかった訳でもありません。そして、その長男さんは生きて生活している訳ですから、9/11にWTCで亡くなった人たちの最悪のシナリオには及ぶべくもありません。

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