AIによる自分のバーチャル化のための第一歩

私の今年の目標は「自分のバーチャル化」である。去年はOculus Riftも市販化されるなどバーチャルリアリティ(VR)の世界が近づいてきている感があるが、だいたい、シリコンバレーで「近づいてきている感」がある技術やサービスは、その10〜15年後くらいには世の中全体で普通になる、というのが私見である。よって、きっと2025〜30年くらいにはVRも普通になるのだろう。

しかし、だからといって、なぜ生きている自分をバーチャル化するのか、そしてそれが今なのか、と思うかもしれない。

それは、VRとリモートプレゼンスが隣同士の技術だからだ。ついでに、augmented reality(拡張現実・AR)やAI(人工知能)も隣にある。

リモートプレゼンスとは、要はビデオ会議的な「今ここにいない人がまるですぐそばにいるように感じられる」というようなものだが、「圧倒的に近くにいるように感じられる」ところが現在流通しているビデオ会議との差(と言われている)。テレプレゼンスと呼ぶこともある。iPad的ディスプレーデバイスが車輪に乗っていてリモートで動かすことができるロボット型がとりあえず今段階の実用レベルだが、OculusのようなVRディスプレイを通じて3Dで投影するのもある。

(ちなみに、まさにiPadと車輪でできているようなBeamはPalo Altoにショールームがあって、行くとリモートにいる販売員(?)のお姉さんやお兄さんと語り合うことができる。お客さんがいない時は、Beamが外にずらっと並んでいて、画面の中に大写しになったお姉さんたちが道行く人に「ハーイ」などとにこやかに話しかけている。話に応じると中に連れて行ってデモをしてくれるのだが、まるでキャバクラ。)

現状、リモートでのコラボレーションというのはいろいろ制約があって、シリコンバレーのテック企業は「場所の制約を超えるインターネットの仕事」をしているはずなのに、その社員はやはりシリコンバレーに集約して住んでいる。そのせいで当地の不動産はとんでもない価格になっているわけだが、これは今が過渡期だと思う。10年〜15年後には本来のインターネットのパワーが発揮され、「どこにいても働ける」という状況になるだろう。(そしてそれには、上述のリモートプレゼンス的な技術の発達も大いに貢献する。)

そして、それからさらに次のレベルとしては、AIが発達して、「まるで自分のように考える存在」を人工的に作り出すことができるはず。アバターといいますかペルソナといいますか。もちろん、AIはインプットするデータが大量に必要なわけだが、今から仕事の多くをリモート化し、動画・音声を含めてその内容を記録しておけば、10年後くらいには「VR渡辺」が可能になるのではなかろうか。全部の仕事をこなすことができなくても8割くらいはこれでなんとかなるのでは。

NetflixオリジナルのBlack MirrorにBe Right Backというエピソードがあり、これは死んだ夫のデータに基づいたAI夫が登場する話だがイメージ的にはあれ(またはパーマンのコピーロボット)。大昔の80年代には、冒頭にリンクしたMax Headroomというシリーズがあったが、こちらは陰謀を暴こうとして殺されたジャーナリストがAIキャラ(?)となってネットワーク上で活躍する、という設定だった。ものすごい原始的なCGで、「こんな不自然な画像を本当の人間のように認識できるはずがない」と当時は思ったのだが、このブログを書くにあたってwikipediaを読んだら、なんと特殊メイクした俳優さんの実写なのだった。世の中わからないものだ。

というわけで、リモートプレゼンスの先にはVRがある。そしてリモートプレゼンスも、ビデオ会議というレベルでよければすでに十分実用段階。めざせChika Headroom。

このあたりで最初にビジネスになるのは当然ポルノ系産業だと思うが、それはそれが得意な方にお任せして、私は、自分ができる範囲での自分バーチャル化の一環として「リモートセミナー」をすることにしました。毎月の投資動向の解説と、シリコンバレーの投資家や起業家インタビューを1時間でお届け、有料ですが初回参加は無料ですので、ご興味あればこちらのリンク先からお申し込みください。(大手町の会場で参加するか、ウェビナーで聞くかを選択できます。)

コメントする