去年の頭にSunsetという雑誌で特集され、それ以降私の頭を離れないのが、究極的にモノを持たない・捨てないとあるカリフォルニアの家族の話。
280平方メートルの延べ床面積の家から、130平方メートルの家に引っ越し、それとともにモノを整理したそうです。(ちなみに、アメリカの平均は250平方メートル。平均の半分の狭小住宅になった、とご理解ください)。そして、それにともない「ゴミが出ないライフスタイル」を作り上げたと。
9歳と10歳の男の子がいる4人家族で、1年に出るゴミの量が「両手2杯分」だそうです。「1年」ですよ。
穀類などは容器を店に持ち込んでバルク買い。包装はもちろんいっさいなし。洋服は年に2回しか買わない。
以下、家族の持ち物の例をあげると:
本=ゼロ(全て図書館から借りる)
妻のメイク用品=フェースパウダー、アイクリーム、マスカラ、アイライナーの4点のみ(女性の皆さんは、これがどんなにすごいことかわかると思います。)
その他トイレタリ=家族4人で、小さなメデシンキャビネット1個のみ(洗面台の上の鏡をあけると登場する奥行き10センチ強の棚です。)綿棒、パフ、ティッシュペーパーは使わない。ティッシュはハンカチで代用。
洋服=妻は靴6足、トップス7枚、パンツ7着、スカート2着。(女性の皆さんは、これがどんなにすごいことかわかると思います。)夫と子供たちはそれぞれトップス7枚、パンツ4着、靴3足、パジャマ1セット
リビングルームのソファ=ベッドにもテーブルにも個別の椅子にもなるマルチユース
訪れた近所の人はその何も無い家を見て「未来のエイリアンの家」という感想を抱くそう。リンク先に写真があるけど、いや、ほんとこれはすごい。見事に何も無い。
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ちなみに、私も基本的にはモノ持たず。
中学生くらいの時に「収納家具を買ったら負け」と決めた。
「新しい収納が必要になったら、その代わりに持っているものを捨てるべし」と。以降、実家に住んでいる間は、洋服も本も全て押し入れに収納。限度オーバーしたら、はじから廃棄。「蓄積」が始まる前に「捨てる人生」を選んだことになる。中高でためた少女マンガのコレクション(といっても数百冊)も大学に入る時に全部捨てた。
とはいえ、これはたぶん、生まれつきセンチメンタルな性格でないからできるのだと思います。
「好きでないものは持ちたくない」と、子供の頃から強く感じていた。
旅行のお土産をもらっても、うれしいよりも「どうしてこんなものを買ってくるんだろう」と首を傾げたことの方が多い。
「かわいげがない。どうしてもっとうれしそうにできないのか」
とよく叱られたのだが、本当にうれしくなかったんです。すみません。
例えば「スノードーム」。私が幼稚園から小学校低学年の頃、「ご当地スノードーム」的なお土産がはやったようで何度かもらったのだがアレには参った。全く価値が認められず、「ああああ、またこれかい。どうやってうれしそうな顔を演技したらいいんだろう」と途方に暮れた。
(しかし、大人になってから見た「Le Grand Bleu」という映画で、寡黙な男性がスノードームを新聞紙に包んで女性にプレゼントするシーンがあり、そこではじめて「おお、なるほど、スノードームいいじゃん」と思った。私にスノードームを買ってくださった皆さん、本当にすみません。)
「プレゼントを買ってきてくれた気持ちがうれしい」という気持ちはもちろんなくはないのだが、「好みでないモノをもらう」というがっかりの方が勝ってしまうのです。いや、我ながらかわいげがない。
ウェディングドレスも結婚式の翌朝に黒いゴミ袋に入れてゴミ収集に出した。いくらなんでも翌朝捨てる予定ではなかったのだが、取っておくつもりも全くなかったので、どうせ捨てるなら早い方が吉。
とにかく、どんなに一旦大事だったものでも、いらないと思ったらバシバシ捨てられる。全てはサンクコストだよ。そして捨てるのが面倒だから最初からなるべく買わないようにしている。「整理されている状態」が好きだが「整理整頓」は好きではないのです。
のでありますが、冒頭の家族には参りました。すごい。尊敬します。私ももう少し整理しなくちゃ・・・と思いつつはや1年以上過ぎてしまったのですが。
なお、「モノを捨てて身軽になろう」というムーブメントもあるようだが、これ、生まれ持った性質がセンチメンタルな方(というか、普通のセンチメントがある方)だと結果的につらいだけでは。でなければ、これまでにすっかり捨てているはずだと思うんですけどねぇ。
一方、私はと言えば、自分のセンチメンタルじゃなさ加減が常軌を逸している自覚は大いにあり、家族の大事な物を捨てないよう気をつけている。たとえどんなに無価値なゴミに見えても、もしかしたら思い入れのある大事なものかもしれない、と。でも決定的にヤバいものを捨ててしまったこともある。ごめん、ダンナ。
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私もセンチメンタルな性格ではないけれど、ご存知の通り、大のお買い物好き。結果、引越のたびに捨ててはいるけれど、それでも荷物は大量になってしまっています…
結婚式翌日にウエディングドレスを捨てたチカちゃんを見て私は衝撃を受けたのをよく覚えているけれど、あれ以来「持たない生き方」を心から尊敬。しかし、その上の上をいくこのファミリーはホントにスゴイね〜。断捨離なんてカワイイものではなく、ある意味生き方の哲学を見せつけられた感じ。完敗。
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ディズニーの「メリーポピンズ」は見てなかったのでしょうか。
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へー、こんなすごい人がいるんですねー。そして千賀さんもすごい。私はぜーんぜん正反対。一人暮らしでも中西部に住めば、安い家賃で家が借りられることに甘えて、地下室にはもう色々。。。ちなみに、マップビュー型人間であることと、ものが捨てられることと、何か関係あるような気がしません? 空間関係と時間関係、共に大局的に見られるというか、無駄がないというか。あと、いわゆる文系・理系人間というのにも、関係ある気がするなー。だって、文学とかマップビューで行っちゃったら、書くこと随分減っちゃう。。。
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私もすぐ捨てます。基本的に3ヶ月以上使ってないものはもういらないという選別方法。しかし、ウエディングドレスを次の日捨てるのはすごいです。センチメンタル度数が半端ないんですね。これからも楽しみに読ませて頂きます。
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