最近よく聞かれるので。以下、インターネットベンチャーに限っての話です。
会社をアメリカで登記する・・・・か日本の投資家を囲い込んである
前もこんなのとかこんなのを書きましたが、海外で登記された企業に投資するのはハードル高し。アメリカの、それもデラウェア州で登記されてるのが望ましいです。
(映画、The Social Networkで、Facebookが最初Floridaで登記されてたのをDelawareに移す、、、というシーンがありましたな。)
とはいえ、先日シリコンバレーの有力スーパーエンジェルであるところの500 Startupsから投資を受けたAqushは日本の会社。なので、日本の会社であっても絶対NGではないわけですが、でも、500 StartupをやってるDave McClure本人に
「日本の会社でも投資する?」
とAqushの投資の後に確認したところ、
「日本国内のメジャーの投資家が入ってて、そこが日本での登記を望むなら投資する可能性もある・・でも、アメリカの会社のほうがシンプルだし普通」
とのこと。投資に関わった弁護士も
「一般論として、アメリカの投資家も海外企業への投資に興味を持ち始めてはいるし、海外の会社への投資も不可能ではない・・・けれどやはり今のところアメリカの会社なのがスタンダード。そうじゃないと、There are additional hoops to jump through」
とのことでございました。
とはいえ、将来アメリカで事業をしないヒトにはアメリカの会社はとても不都合。なので、日本法人のままで投資を受けたかったら、日本の投資家を集めて、
「既にこんなに集まってるので、あなたは一口乗るだけ」
てなセールストークがよいかと。(何かの怪しい商売のようだな・・・・)。
サービスが既に立ち上がっているか、何らかの圧倒的な差別化要因がある
基本的には、サービスが立ち上がっていないと難しい、と思ってくださいませ。できればユーザも増えつつあるという「トラクション」があるのがベストですが、Closed BetaのレベルでもOK。
ただし、何か特別な差別化があれば別ですが。特別な差別化とは、例えば、「日本の全銀行・クレジットカードのオンラインアカウントから個人データをスクレープしてアグリゲートし、オンラインサービスとして提供」とか。(MintやIn DineroのバックエンドでもあるYodlee・・・・みたいな。)
「エンジェルからシード投資を受けるのに、どうしてサービスが立ち上がってないといけないんだ?」
という疑問は、それは、ファウンダーがコードがかければ、別に誰にもお金をもらわなくてもできちゃうんで。
大きな市場を狙っている
「すごーくうまくいって売上10億円」とかいうのは寂しいっす。せめて50億円、できれば100億円の桁を狙えるものでないと・・・。ただし、それを裏付ける事業計画は大雑把でよくて、
「現在の市場規模はこれくらい、そのうち半分はリプレースできるから、トータルこれくらい」
てなトップダウンでもいいし、
「ターゲットユーザは何人、それぞれが一人いくら使うから、トータルいくら」
てなボトムアップでもいいんですが、「上手くいったらこれくらいになるよ」のイメージがあればOK。
人件費やら賃料やらあれこれびっしり細かく入った損益計算書的な物は、このレベルではなくて可。
「スーパーエンジェル」で一口10万ドル程度、という現実を直視する
大雑把に言って、エンジェルは自分のお金だけを投資、その手のエンジェルが他の人からもお金を集めて投資するようになるとスーパーエンジェル。エンジェルで2-3万ドル程度、スーパーエンジェルでも10万ドル程度が一社あたりの投資額です。1ドル80円だと、160-240万円、800万円、という結構しょぼい額なので、
「こんなにがんばってそれかい!」
となる可能性大。(通常はそうしたエンジェルをまとめてトータルで20~40万ドル、超人気ベンチャーだと100万ドルくらいの総額で増資しますが、これだけの額を、細々集めるのは結構大変。)
それだったら日本で集めたほうがいいんじゃないか、というのは至極正論です。
参考:Paul GrahamのThe New Funding Landscape
↓ JTPAシリコンバレーカンファレンス、早割適用は日本時間12月1日の16:55(←細かい)で終了