米国メジャー新聞社14社の株価が、過去3年間で230億ドル、42%失われた、と。同じ期間に、世の中一般の株価はどうだったかと言うと、S&Pが17%アップ。ということで、比較上かなりつらい。
生き残りをかけて各社オンライン化を推進、それなりに成功しているのだが、しかし、それだけではダメなのであった。
例えば、New York Timesは、紙からインターネットへの変革を積極的に推し進めており、最近の四半期ベースで、オンライン収入は8千万ドル、前年比26%増。(同時期の新聞収入が7億3千万ドルで、営業利益が330万ドルなので、まだ紙媒体依存度は高いのだが。)オンライン版の方は2005年から1年ちょっと有料サービスとし、月7ドル徴収、年間1千万ドル(10億円強)までのビジネスになったが、2007年9月に廃止、全て無料になった。廃止時点で23万人の購読者がいたそうです。
とは言っても、オンライン事業を諦めた訳ではなく、購読+広告、というモデルから、広告モデルにフォーカス、ということにしたのであった。一番最近の四半期のNew York Timesのオンライン収入は8千万ドル、90億円、ということで、かなりがんばっている。
しかし、そのNew York Timesの株価ですら、過去3年間で55%下落。
(ちなみに、New York Timesの紙バージョンは高い。家に配達してもらうと、月あたり55ドル、6000円。日曜版だけ、というチョイスで月28ドル、3000円超。ローカル新聞は月1000円くらいで配達してもらえるのに比べるととんでもなく高い。オンラインでただで読めるのは大変ありがたいことである。でも私は日曜版は購読してますが。)
メジャーな新聞サイトで、有料購読モデルを未だにキープしているのはWall Street Journalのみ。こちらのオンライン収入は去年の夏あたりで、年間1億3700万ドル、160億円あり。
が、Wall Street JournalのオーナーであるところのDow Jonesは昨年News Corp.が買収。News CorpのRupert Murdockは、Wall Street Journalのサイトは無料化してアクセスを10倍にする、と「広告モデル化」を語っており、近日無料化するかも。ちなみに、同紙のオンライン売上げのうち、購読料が7900万ドル、広告が5800万ドルで、こちらの試算では、無料化するととりあえず最初は売上げが下がるだろう、としています。
Dow Jonesはこの買収で株価が一気に上がったのだが、これは単にNews Corpが高買いした、という説も大いにある。後はぼろぼろ。
かろうじて株価が4%上昇したのがWashington Post。が、しかし、これは新聞が売れたからでも、オンライン収入が伸びているからでもない。むしろ、新聞事業は赤字転落ぎりぎり。そうではなく、多角化経営が成功したのであった。好調の予備校会社を買収したり、と。
ということで、過去3年間はアメリカ新聞業界にとって大変苦難の時だったのでした。これからの3年はもっと大変かもしれないが。
ちなみに、同じく過去3年間でGoogleの企業価値は1500億ドル、17兆円上昇してます。新聞社の株価下落の少なくとも一部はこのGoogle株の上昇に吸い取られてしまったのでしょう。
[参考:Washington Postを父親から引き継いで、大企業に育てたKatherine Grahamの自伝について書いた過去エントリーはこちら]
シリコンバレーでも、NTTIMESの日曜版だけの購読って出来るんですね。でも、NY LOCALの記事も多くないですか?
NYCに住んでいますが、あの週末版の分厚さに圧倒され、NYTIMESはWEBで読むのみです。WSJも早く無料になってくれないですかね?
紙ベースの新聞を買うのは、偶にFTを買うときのみです。
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ちょっと話題からはズレますが、日本でもamazonのKindleで新聞が読めるようになってほしい…と最近思ってます。(というか日本のamazon、Kindle発売してほしい…)
E-Inkの端末ならかさばらないし読みやすそうだし電池長持ちしそうだし。
Kindleで本が読める米国の環境が羨ましい。
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こんいちは。新聞大好きな私にとっては、新聞社の市場評価が低くなってきたのは、残念です。
たぶん、今は明治時代の新聞黎明期と似た状況なのでしょう。新しいビジネスモデルを誰がどんな形で生み出すか期待したいと思います。
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