Bonaire紀行記:ダイバーズパラダイス

Bellafonte in Bonaire

おととい、Curacaoの隣の小さな島のBonaireに移ってきました。こちらが今回のバケーションの本当の目的地です。

カリブ海のダイビングは、ま、わざわざ日本から行くほどのものではありません。インドネシアの珊瑚礁一つか二つで、カリブ海全体の水中の生物と同じくらいの種類がいるらしい。それくらい大味。東南アジアを行き尽くして、どうしてもというのだったら止めはしないが。

で、どうしてもカリブに行きたい、という場合のお勧めがここBonaire。

Bonaireのダイビングは、車にタンクを積んで海辺の道を走り、思いついたところに車を停めて潜る、という自由きままなもの。ボートに乗ってダイビングスポットまで行くボートダイブも可能だが、ビーチからタンクを背負ってそのままエントリーするビーチダイブが基本形。

私とダンナは、いずれもダイビングはOpen Waterライセンスしか持っていない。「初心者」ってやつですな。AdvancedとかRescueとか、いろいろなライセンスがあるのだが、取りそびれた。

で、Open Waterだと、インストラクター免許がある人が一緒じゃないと潜ってはいけない、みたいな厳しいことを言うところもあるらしいが、Bonaireは(あと、世界中のほとんどの場所も)大丈夫。基本的に、二人一チームで勝手に潜る、というスタイル。

一応、最初に一回、ダイブショップの人と一緒に潜る、というのが島のルール。スキルレベルを見極める、ということもあるが、珊瑚礁と生き物を守るためのルールの徹底、というのも大きい。

「珊瑚に触れない」

というのが基本で、そのためグローブも禁止。珊瑚は、触るとかぶれるものも多いし、尖っていて怪我をすることもある。が、グローブをしていると、気楽にあちこち手をつける。グローブなしではそれもままならない、ということで。ちなみにBonaireでは、ダイブボートも碇を下ろすことが禁止されている。ダイビングのスポットには、ボートをつなぎ止めるためのブイがあって、それを利用する決まりになっている。

東南アジアのダイビングでは、珊瑚にズッカリ座り込んで写真を撮るダイバー、写真を撮りやすいよう、生き物を棒で突つき出してあげているガイド、という光景を見ることもあるが、カリブ的「珊瑚礁は神様ですダイブ」に慣れていると、頭がくらくらする光景ではある。ま、東南アジアは、そんな細かいことに注意しなくてもよいくらい生き物がたくさんいるというもあるのだが。

さてさて、Bonaireは「ボネア」という感じの発音である。Curacaoから飛行機で30分ほど。主たる産業は観光。1970年代からずっとダイビングの島として存続してきた。Bonaireでは、車のナンバープレートも「Diver’s Paradise」と書いてある。

海底火山の隆起により古代からの珊瑚礁が押し上げられてできた島。ハリケーンの経路から外れているため一年中あまり雨が降らず、真水が島から海に流れ込まないので、島の周りぎりぎりまで珊瑚礁がある。また、遠浅の反対で、水際は崖になっているか、ビーチになっていても、いきなり深くなるので、ダイビングには最適。

その上、珊瑚の壁は30メートルほどで真っ白な砂の底に達するところがほとんど。30メートルは、通常のダイビングで安全に行ける範囲内で、間違って深いところに行きにくい、安全弁付きダイビングでもある。

去年一年で25万人が潜り、病院に担ぎ込まれた人が50人くらい、死んだ人がたった3人、ということで至って安全。死亡ケースはたいてい、
1.慣れないダイバーがたいしたことない出来事でパニックになる
2.とんでもない無茶をする
のいずれか、ということで、普通に潜っている限り大丈夫。去年死んだ3人のうち一人は素潜りをしていて、水面ぎりぎりで意識を失い、そのまま溺死したとのことです。これは、2の方ですね。

さて、Bonaireへは、KLMでオランダからの直行便もあるし、アメリカンでプエルトリコに飛ぶこともできる。が、隣のCuracaoからは10人乗りの小さなプロペラ機でパラパラと飛んでくることとなる。こういう飛行機は、預けた荷物がなくなりにくいのがよろしい。飛行機が着陸するや座席の後ろから荷物を降ろして、その場で受け取ってガラガラと通関。

Bonaireの飛行場はFlamingo Airportという。Bonaireがフラミンゴの繁殖地だから。

さて、飛行場ではレンタカーしましょう。レンタカーなくしてBonaireダイビングなし。冒頭に述べた通り、海辺を走って気に入ったところで水中へ、というスタイルなのでレンタカーなしではどうにもならない。

メジャーなレンタカーはピックアップトラック。アメリカで大いに普及している小型トラック・・・というか、軽トラといいますか。普通乗用車の後ろがトラック風の荷台になっている車である。タンクを借りて、ここにドサドサと積む。今回使っているダイブショップは、1日20米ドルでタンク借り放題。

「一日5本でも10本でも、自由に潜ってくれ」

とのことでした。Bonaireのダイビングは10−20メートルくらいの浅めのところが多いので、5−6本は楽勝で行ける。(加圧した空気を吸いすぎると人体にいろいろ影響が出る。深いところに潜れば潜るほど悪影響あり。)

私はといえば、疲れるので、ま一日3−4本が限界かな。今回はちょっと風邪気味で耳の調子が悪いので、今日は2本のみという軟弱ダイビング。無限の体力のある若者ダイバー諸君はぜひBonaireで限界に挑戦してみてください。

ちなみに、Bonaireは珊瑚の産卵を見られるので有名な場所でもある。9月から10月にかけての満月から数日目に、メスの珊瑚が卵を産み、オスの珊瑚が精子を放出し、新しい珊瑚が生まれるのです。

・・・・そう、珊瑚は「動物」なんですね。

ところが、この珊瑚の産卵、夜にしかおこらないので結構見るのは大変。Bonaireだと、海辺に泊まれば、「そろそろ?」という時に、宿の前のビーチに潜ればよい。一応昨日、おとといの夜10時−10時半頃に一部の珊瑚が産卵するはずだったので、昨日は夜9時半から潜ってみました。でも、不発。本当は9月の満月の後が一番いいらしい。珊瑚から小さい丸い卵がポンポンとはじき出されるのを見ることができるはず。

ちなみに、夜のダイビングはかなり長いこと不気味だと思っていたが、いったんやってみると、これがいいんですな。昼と夜とで違う生き物がいる。珊瑚も、昼は固く閉じていて石のようなのに、夜になると花のように開くものもたくさんある。昨日は、1メートル超あるターポンという銀色の魚が二匹私たちの周りをうろうろしていた。懐中電灯の光でえさをとろうとしているんです。これだけ大きい魚だと、「もしかして噛み付かれたりして?」とちょっと怖かったりはする。

あと、夜の海中には、触れると光を発する小さな小さな生き物、夜光虫が無数にいて、懐中電灯をいったん消して真っ暗にしてから、そっと体を動かすと、きらきらと光の粒が軌跡のように水中を舞って夢のようです。真っ暗な海の中で、静かに光の粒をちりばめながら泳ぐというのもなかなか得難い経験と言えましょう。

上から見ると怖い真っ黒な海も、いったん入ってしまえばそれほど恐ろしいものではない。真っ暗で何も見えないことが怖い理由だが、いったん自分がその一部になってしまえば、月明かりの中で静かに眠る魚も見えてくる。

海に限らず、「恐怖」の多くは「知らない」ということに端を発するものであることよ。

Bonaire紀行記:ダイバーズパラダイス」への4件のフィードバック

  1. Bonaireのエントリーを読んでいると、行ってみたくなりますねー!
    写真もとても美しい。
    もっと色々とリゾート中の写真が沢山フリッカーにアップされるのを期待しています!
    もう、なんか車でどこでも行って潜れるというのは、雰囲気的に島は自分たちの化し切り状態みたいな感じでしょうか?
    夜のダイビングなんて1人だと絶対怖いけど、2人で潜るとロマンチックなデートになりそうですね^^
    昔、インドネシアのプロウスリブに遊びに行った時に、友人2人がOWも持っていなかったので、ボートをチャーターして、2人はシュノーケリング、自分はダイビング(と言っても遠浅の珊瑚礁)したのですが、なにぶん、ただでさえ暗闇とかに対して怖がりな自分なのですが、その時は背後からサメとか来ないかな、なんて、真昼間なのにビビッたりしていました・・・(笑)

    いいね

  2. サンゴを植えてください:サンゴを植えてください事務局バズログ

    環境変化の影響でしょうか。いま南の海では植生の破壊が進んでいます。ネットユーザ、一人ひとりの行動で、サンゴを育てる運動があります。2008年は、国際サンゴ礁年。私たちは、サンゴの植苗を応援します。はじめまして、こんにちは。サンゴを植えてください事務局のなかむ…

    いいね

  3. サンゴを植えてください事務局のなかむらゆうこと申します。はじめまして。gooホームプロジェクトの、沖縄の海にサンゴを植える運動を応援しています。
    各地のサンゴ礁がある海で潜ってらっしゃる渡辺千賀さんにもぜひ、サンゴを植える運動にお力添えを頂きたく、コメントさせて頂きました。
    運動をブログの記事にして頂くことで、一緒に運動を広げて頂けないでしょうか。トラックバックの記事に、詳細を記載しています。どうぞ、よろしくお願いします。

    いいね

  4. はじめまして、PHOTO ROOMの管理者でkuro1959と申します。
    今回私のブログでBonaire National Marine ParkのLIVE映像を紹介したのですが、そのなかでこちらのBonaire の記事へLINKを貼らせていただきました。ご報告が遅れましたが、ありがとうございました。ご確認していただければ幸いです。
    http://kmiki.blog82.fc2.com/

    いいね

コメントする

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中