携帯関係サービスでは、アメリカが日本を超えるものは殆どない。誇れるものは定額制のやたら安い料金くらいかな?iPhoneもデータ使い放題だが、通話も含め、そういう料金体系、たくさんあるんですよね。が、それ以外はまぁ・・・ワンセグとかSF?って感じです。
しかし、そんな中でもいくつか目に付く最近のニュース。日本では絶対無い・・と思われる3つです。
1.ユーザーの周辺音声を携帯経由で常時監視して視聴率調査
2.通話の中身を常時聞いていて、キーワードでCMをプッシュ
3.gPhone、もう本当に社内トライアル中らしい
1.ユーザーの周辺音声を携帯経由で常時監視して視聴率調査
Integrated Media Measurement Inc.(IMMI)というベンチャーの事業。IMMIには、Draper Fisherも投資しており、これまでに$14 million集めている。何をするかというと、
(1)2年間通話料無料の携帯電話を配る
(2)配られた携帯は、30秒ごとに10秒分の周辺の音声を録音し、圧縮してIMMIのサーバに送る
(3)送られた音声を分析して、どんなCMを聞いたかを解析
(4)さらに、店舗にBluetoothのセンサーを配置しておけば、「いつ、どんなCMを聞いたユーザーが、いつ来店し、何を買ったか」まで計測できる
すごいですね。SFだ。
上記(2)が技術的に可能なのだろうか、という疑問はあります。バッテリどれくらい持つんでしょうか?同社のサイトによれば、「audio signature」を送る、となっている。音声そのものじゃなくて、何かのコードをアップロードするのだろうか?しかし、だとすると、携帯端末側で結構高度な音声認識をしなければならないわけで、それはそれで無理が感じられるんですが・・・・。いずれにせよ、既にトライアル中です。
2.通話の中身を常時聞いていて、キーワードでCMをプッシュ
こちらはDEMOfallに出ていたpuddingmedia。会話の内容を監視し、そこで話されるキーワードに基づいた広告を出す、という事業。携帯に限らず、通話全般、ですが。
現在はトライアルとして、thepudding.comというサイトに登録、そこで電話番号を入力すると、自分のPCから米国内のどこにでも無料で電話がかけられる。(私もサインアップしてみたが、wait listになってしまいましたので試しておりません。)こちらに実際に試した人の記事がありますが、話している内容と広告のマッチングはまだまだイマイチらしい。
このベンチャー、イスラエル軍で諜報関係技術に従事していた兄弟が創業者。こういう、
「大量の音声・映像情報をリアルタイムで処理する」
というの、イスラエルは本当に得意。さすがモサドの国であります。2000年ごろ、この領域をさらって見たことがありますが、その時は、アメリカのこの手のベンチャーの半分くらいがイスラエル発でした。
以前、とあるイスラエル軍出身のアントレプレナーの人に、イスラエル軍に端を発するベンチャーが多い理由を聞いたのだが、こんな感じらしいです:
以前誰かが、「イスラエルは、起業推進のための国策として、軍人が軍で開発した結果のIPを持ち出して起業していいということになっているのだ」と言っていたので、そうなのか、と朝ごはん相手のCEO氏(イスラエル軍出身)に聞いたところ
「そんなかっこいいもんじゃない。単に軍がIPにいい加減なだけ」
なんだそうな。軍の技術が持ち出されることがいいか悪いかは別として、「起業推進」てな政策を取るより、「規制緩和」で何もしない方が上手くいく、という好例か。
puddingmediaでは、この技術をキャリアや各種サービスプロバイダにライセンスしたいそうです。
IMMIといいpuddingmediaといい、
「プライバシーはどうなるんじゃ」
という懸念は大いにあり。が、しかし、私が10代だったら、超興味あると思います。
高校2年生のとき、1年間バイトして、やっとの思いで20万円ためたことがありました。(車の免許を取りたかったので。3年生になってすぐ取った。)あの時は、500円のランチが惜しかったです。はい。当時は携帯なんていうシャレたものはなかったが、あったら月々数千円は死ぬほど痛い出費だ。通話を機械に聞かれるだけで料金無料だったらラッキー、てな感じでは。
(うーん、しかし、このpuddingmediaという名前、いかがなものでしょうか。前回のバブル時、PurpleYogiという恥ずかしい名前のベンチャーがあったのを思い出しました。PurpleYogiはその後Stratifyというまじめな名前になりました。)
3.gPhone、もう本当に社内トライアル中らしい
Google様がお出しになると噂されるあのgPhone。「本当に作っていて、社内トライアルをしてるらしい」というまことしやかな噂が先週金曜のSan Jose Mercuryに。いわく
So we’re standing in the Emeryville Apple store
this week trying to troubleshoot a problem with a sales rep when a
young woman bolts up to us saying she wants an iPhone. Like, now.After some back-and-forthing about the particulars, she says she’s a Google employee
and she was going to wait for a demo of the gPhone, but it turns out
Google’s only letting 30 people test it internally and she’s not one of
them. Drat.So here she is at the Apple store, needing her iPhone. Like, now.
At which point, we exchange glances with the Apple rep, who says to Google Gal, "gPhone? So it’s real, huh?"
At that point the Google Gal realizes she’s probably said too much and changes the subject.
ベイエリアのApple Storeにやってきたギャル(←死語?)が
「ワタシGoogleの社員なんだけど、gPhoneの社内トライアルに入れなかったから、iPhone買わなくっちゃ、like, now.」
と発言したというもの。わはは。もしかしてワザと噂を広めているんでしょうか?
> 携帯関係サービスでは、アメリカが日本を超えるものは
これってまことしやかに語られがちな台詞なんですが、ホントにこの先いつまでもそのままなのかなとも感じています。
携帯キャリアが全てを握って離さず、「通信の秘密」などを建前に、自由な発想が極端に事業化されにくい環境ですよね。>日必要本
確かにモバイルスイカとかでは便利さを実感しますけど、ワンセグ的付加機能がてんこ盛りなのはホントにウレシイのかなーと。
> 「規制緩和」で何もしない方が上手くいく
のがホントだとすると、冒頭の命題もそのうち「・・・と言われた時代もあったが」という注釈つきになりそうに思います。
日本のメディアでは報じられないこの手の生情報、これからもこのブログで読めるのを楽しみにしています。
(本日はメールもありがとうございました)
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gPhoneの噂は方々で聞きますが、それはそれとして「like, now.」て日本語だとどんな感じ(意味)なんでしょうか?
「~みたいなっ。」って感じですか?
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どうも。いつも楽しく拝見してます。
audio signature というのは、audio fingerprintとも言われていますが、音響信号の特徴量だけを送ることですね。有名どころでは、CDDBのGracenoteが、musicIDというサービスもやってたりします。
http://gracenote.com/gn_japan/gn_products/mobileMusic.html
日本国内では、NTTの研究所とかも、
http://www.brl.ntt.co.jp/cs/recog/ja/topics/topics_search.html
それにしても、1も2も、フィンガープリントの技術や音声認識の技術自体は持っているところはいくつもあるわけですが、こういうビジネスモデルを考えてさっさとやってしまうところはすごいですねぇ、ほんとに。
ではでは。
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ぜんぜん関係ない話で恐縮なのですが「ワンセグとかSF?」の意味が分からずに考えてしまいました。サンフランシスコじゃあ意味が通らないから、きっと新しいサービスの略語なんだろうなあ…、と。
で、後の「… すごいですね。SFだ。」の文をみて、Sci Fi のことだと気づけたのですけれど、日本では Sci Fi という言い方は通じないんでしょうかね。もし通じるようなら、この際そっちをメインにしてしまいたいのですが 🙂
ちなみに、テレビ屋として言うと、ワンセグは Sci Fi というほどのことはないですよ。アメリカでも Mediaflo とかありますし、他では DVB-H というのもありますしね。それに、日本のワンセグみたいなやり方は、けっきょく誰も儲からないし相変わらずどうしようもないなあ、って個人的には思うわけですが、くさしてもしょうがないので無言(っていいながら書いてるけれど)で放置 :-p
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gPhone、もう本当に社内トライアル中らしい
gPhone、もう本当に社内トライアル中らしい
国内の携帯市場も騒がしい中、アメリカはもっとすごいことになっていた!
Mercury Newsの記事 元ネタ書いた人のブログ
日本のチマチマした料…
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chikaです。
>ワンセグ的付加機能がてんこ盛りなのはホントにウレシイのかなーと。
ワンセグ、実は誰も見ていないと聞いたのですが、本当でしょうか。iPhoneのYouTubeもぜんぜん見られてないらしいですが。(これはEdgeが遅すぎだから、との推測。3Gじゃなきゃ動画はつらい、と)
>「like, now.」て日本語だとどんな感じ
ご推測どおり「今すぐ、みたいな」と。nowはよいのですが、likeが「みたいな」って感じの若者口語。
>音響信号の特徴量だけを送る
なるほどー、audio signatureって、この会社がでっち上げた適当な名前じゃなかったんですね。ありがとうございます。よっぽど軽いデータにするんでしょうね・・・。
>「ワンセグとかSF?」の意味が分からず
わはは、Nさん、日本を出て長すぎ。ハヤカワSF文庫が泣くですよ。Sci Fiは日本では通じないんじゃないかな?Sci Fiといえば、先週始まったBionic Woman見てます?
日本の携帯は、なんか多くの業界プレーヤーが無理して泣きながらやってる八甲田山ビジネスと化してきてる気がしますが、つらいだけで終わったら結構かなしいっスよね。
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「周辺音声キャプチャで視聴率調査」はGoogleも同じ技術を開発しているようです。
参考:http://www.technologyreview.com/read_article.aspx?id=17354&ch=infotech&sc=&pg=1
ちなみに家電業界では結構このネタ、ホットです(笑) テレビやSTBに組み込んだらいいんじゃない? って。うまくやれば、どんなDVDを見ているか? なんてこともわかってしまいますからね。
しかしたった4byteというのが驚き。
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>ワンセグ、実は誰も見ていないと聞いたのですが、本当でしょうか。
そうですねえ。「満員に近い電車の中で、たまに一人二人が見ているっぽい感じ」くらいでしょうか。全く誰もということはないし使う人からするとそれなりに便利な機能なんでしょうけど、携帯電話の普及率からすると利用者の数は驚くほどに少ないのではないでしょうか。電車の中での暇潰しなら同じ携帯でもE-mailの確認や、iPodやNintendo DSの方が遙かに多いと思います。
移動中でなければUSBに刺すパソコン用ワンセグチューナーも広く売られてますし、携帯で無理して見る必要もないと思います。
>日本の携帯は、なんか多くの業界プレーヤーが無理して泣きながらやってる八甲田山ビジネスと化してきてる気がしますが、つらいだけで終わったら結構かなしいっスよね。
せめて世界シェアを取らないと、日本国内の狭い市場に閉じこもっている限りはじり貧でしょうね。でも世界に打って出るにはビジネスモデルを根底から見直す必要があるので、近い将来では非常に難しいかと思われます。
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>likeが「みたいな」って感じの若者口語。
なるほど、ありがとうございます。
>ワンセグ
確かに実装されてる実機の数からいったら実際の利用ユーザーは少ないですね。ただいつも終電(深夜0時過ぎ)の電車ではけっこう見ている人が増えてきたなぁ、というのが実感。
リアルタイム放送なのでサラリーマンとかは時間帯があえば(深夜番組とか23時台のニュース番組)とかはけっこう見てるんじゃないですかね?
逆に若い世代にとっては昼間活動している時間帯には番組ないんじゃないかと(w
>Si Fi
アメリカに住んでいるときにSi Fi Channelの番宣で「さいわい、さいわい」と言ってたので聞きなれましたが日本ではまったく通じないですね。ソニーのWi-Fi新規格!?と勘違いされるのが落ちとか?:P
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