アメリカでは、本を書くと、全国津々浦々「book tour」なる巡業をしなければならないらしい。ヒラリークリントンやカーリーフィオリーナですら、点々と全国の本屋でサイン会を開催し、ローカルラジオ・テレビにゲスト出演して回る。
あのグリーンスパン様ですら例外にあらず。
グリーンスパンは、1987年から2006年まで連邦準備制度理事会の議長を務め、米国経済の長きに渡る繁栄をサポートしたと称される人。90年代に
「米国の生産性が向上し、潜在成長率が高くなった」
という信念の元に金利政策をリードした。引退するときは、「アメリカ経済は大丈夫かしら・・」と皆が心配した、という誉れ高い81歳。人間、いくつになっても知能が衰えない人もたくさんいるらしいが、グリーンスパンもその一人でありましょう。
で、そのグリーンスパン様が、このたび、The Age of Turbulenceという本を出版したのだが、「グリーンスパンのBritney化」と呼ぶ人もいるくらい派手に露出中。
ニューヨークの本屋でのサイン会には600人が行列するというロックスター並の人気。無言でひたすらサインし、90分で全員にサインをしたそうだが、中には本でなく「ドル札にサインしてくれ」という人たちもいた模様。その方が価値がありそうだな。(こちらの記事に札をかざしてサインをねだる人たちの写真があります。)
Timeの記事より、サインをしてもらった人たちの反応:
Gerry Javier, a well-dressed stockbroker, felt a personal debt: "Thanks
for the cut, Mr. Greenspan. I made a lot of money. I really appreciated
the cut in ’98; I really appreciated the cut before that."
株のブローカーは、「金利を下げてくれてありがとう。おかげで金持ちになれました。98年の金利引下げには特に感謝してます。それ以前の金利引下げも本当にありがとう。」
(渡辺注:超現実的お礼だ)
"I said, ‘Thanks, Alan,’ and he looked up," said Oliver Young.
「ありがとうAlanといったら、(グリーンスパンが)僕を見たよ」
(いきなりファーストネームで呼ばれてむっとしたんじゃないのか?)
"He gave me a look, too," reported Nick Pritzakis, beaming.
「僕も目が合った(うきうき)」
(目が合うだけで嬉しい、という・・・。わかる気はするが。)
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ちなみに、グリーンスパン、高校を出た後ジュリアード音楽院で学び、サックス奏者としてプロジャズミュージシャンを目指していた頃もあったとのこと。その後、ニューヨーク大学で経済を学びコロンビア大学の博士課程に進むが、一旦中退・・・しかし、さらにその後ニューヨーク大学から博士号を贈られる、という経歴。なんだかいい感じですねぇ。
音楽の才能もありながら、経済の才能もあった、と。
こちらのラジオ番組は今回のbook tourの一環でのインタビューですが、最後にグリーンスパンがミュージシャンとして活動していた頃の演奏が入っています。貴重だ・・・・。(リンク先の左上のListenというボタンをクリックすると聞けます。)
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そういえば以前、芸術とビジネスの才能は両立するかについてのエントリーを
書きました。Charles
Ivesという作曲家などについて触れたんですが、Ivesは、
「音楽では家族が路頭に迷う」
と大学に入りなおして保険会社を設立、若くして大いなる富を
築いた、という人。で、ビジネスの傍らでこつこつと作曲も続け、こちらでも名を残した、という人であります。ちょっと面白いと思うので、このテーマに興味
がある人は読んでみてください。
金融世界でのロードショー経験が生きるのではないでしょうか。
フォンド募集よりは低額でしょうけれど。
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そうそう,でchikaさんもStanfordのbook center(もしくはi center)でサイン会をやる!とw
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http://www.randomhouse.com/rhpg/rc/author_chats/request.html?5
読者と電話でお話ししないといけないなんてのもあるみたいですね。たいへんそう。
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> ニューヨークの本屋でのサイン会には600人が行列するというロックスター並の人気。
> 無言でひたすらサインし、90分で全員にサインをしたそうだが、
> 中には本でなく「ドル札にサインしてくれ」という人たちもいた模様。
一部にはこういう人達もいたようです。
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