デジタル時代ミュージシャンの収益構造

5月13日のNew York Times Magazineの記事、Sex, Drugs and Updating Your Blogに、毎週一曲ずつオンラインに新曲をアップする、というのを1年間続けたJonathan Coultonの収入の内訳が出てます。

月収3000-5000ドル。そのうち

  • 41%:音楽のダウンロード販売。このうち4分の3が、自分のサイトからの直販。
  • 29%:CD販売
  • 18%:ライブのチケット売上
  • 11%:Tシャツ(多くがオンライン販売)

サイトのビジター数が毎日3000、最も人気の曲で50万ダウンロード。
CDは自主制作。レコードレーベルは通さず、CD BabyというCD販売アウトソースを利用。CD Babyは、CDの倉庫保存、クレジットカード決済、発送業務を代行してくれる。
曲のダウンロードは無料ででき、その気になった人だけ好きな額を払えばよい、というシステム。

(カナダ人のシンガー、Jane Siberryも同様に、「好きなだけ払ってね」システムを導入しているが、これまで払った人たちが平均いくら払ったかが表示される、というカシコイ仕組みで、それとなく払うべき金額を示唆。記事には「一曲1.3ドルとiTunesより高い」とあるが、今見たら1.17ドルでした。まだiTunesよりちょっと高いけど。)

冒頭のCoultonさんは、2005年にフルタイムミュージシャンになる前はプログラマだったそうなので、オンラインストア構築なんかはお手の物でしょう。

ライブも、昔のように「何人来るかわからないけどとにかくドサ回り」、という山師的なものではなく、サイト上でファンにどこに来て欲しいか投票してもらい、客が集まる場所を選んでいくことができる、とのこと。常識ではありえない辺鄙なところで140人集まったこともあったそうです。

ま、その分努力も当然している。こうしたデジタルファンダムを維持するために、毎日ブログを書き、ファンからのメールには全て返事を出す、という細やかさ。ファンレターは一日100通を越すこともあるとのこと。毎日ラップトップに向かっている時間が6時間近いそうです。

デジタル時代のミュージシャンは筆まめでデジタルレタラシが高くなければやっていけないということでしょうか。キーボードを叩いて仕事をするのが大嫌いなミュージシャンには辛い時代になりました。

でも、駆け出しの無名ミュージシャンがレーベルにも依存せず、ちゃんと食べていける、っていうのはいいかな、と。

冒頭のNew York Timesの記事を受けて、Jonathan Coultonが書いたブログもあります。「いろいろなミュージシャンの卵から、『どうやってそんな成功したんだ』という問い合わせが沢山来たので、その返事」とのこと。長文ですが、ご興味のある方は読んでみてください。

デジタル時代ミュージシャンの収益構造」への8件のフィードバック

  1. この収益法は新しい時代を感じさせます。
    AmazonもDRMろ取り除いた楽曲を販売させる
    方針ですし、ますますこの方向性が加速されると
    思います。

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  2. 面白い!このJonathan Coultonって、例の「Code Monkey」の人ですよね。彼のプロモで一番成功したのは、やっぱりこの「Code Monkey」のマッシュアップがバカあたりしたことではないでせうか?まー、ここまでできる人は特別だと思いますけどね・・・

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  3. “Sex, Drugs and Updating Your Blog”の時代

    今から二年前に「もう業界はいらない?」という文章をアップしました。簡単に言えば、音楽のネット配信が主流になれば、アーティスト自身が楽曲をネットで販売するようになり、レコード会社の影響がアーティストに及ばなくなるという話です。
    今日ネットを回っていると、次のような記事がありました。要するに、上記のようにメジャーを通さずに自分で楽曲をネットで販売してかなりの収益を上げている人が登場し始めているということです。
    「デジタル時代ミュージシャンの収益構造」 [渡辺千賀]テクノロジー・ベンチャー・シリコンバ…

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  4. chikaです。
    >まー、ここまでできる人は特別だと思いますけどね・・・
    そうですねー。少なくとも特別な人だったらこういう方法で生計が立てられるようになった、ということでしょうか。
    とはいうものの、30代後半でこの月収では、老後はどうするんじゃ、という気もしますが、しかしこういう仕事の仕方だったらド田舎に住みつつミュージシャン稼業ができるわけで、そうやって生活費をとことん落とせば結構よいのかもです。

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  5. ミュージシャンはどのようにして生計を立てることになるか?

    (Web2.0と組織・人事、というテーマに関連するテーマ)ミュージシャンが生計を立てる難易度は高いことが知られているが、今後Web環境の中で、ミュージシャンはどのように生計を立てていくことが主流になるであろうか。
    渡辺千賀氏のブログにて、聞き手とアーティストがウェブサイトを通じて直接つながることによって生計を立てるようになったアーティストのケースが紹介されている。(毎週一曲ずつオンラインに新曲をアップする、というのを1年間続けたJonathan Coulton氏のケース)
    このような方向性もある…

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  6. チカ先輩お久しぶりです。というかずっとこのページは読んではいたので僕としては久々でもないんですけど(笑)
    いつのまにかブログだけで食ってる人ワタクシとしましては、Jonathan氏のブログ、なんか凄く共感しました。「そうそうプランなんかねーんだよ」みたいな。
    「これは意味あるだろ絶対」って思うことをやってれば、あれよあれよって感じに色んなシステムの使い方を覚え、賛同者が集まって、食っていけるようになるんだよみたいな。
    しかしおっしゃる通り確かにこれを老後までずっと続けるというのは、少し難しいかもですね。曲のクオリティにはビックリしたけど、毎週アップするだけあって、「似た曲」が多いのも事実だし、10年以上続けると飽きられる可能性もある。
    何らかの方法で、一曲あたりの収入を増やすことで、寡作になっても「入魂のもの」を作っていかないと擦りきれるかもという感じもします。
    メジャーデビューできる「アクの強さ」とネット上で広くウケル「人柄」は両立が難しいわけですが、だんだん「似たような曲だ」と思われて飽きられるよりは、メジャーへのエグジットをネライつつ「より芸術的に”主観的・オレサマ的”になってエッジを立てていく(批判を受けても)」ことが、長期的には必要になる気もします。
    しかしこの人すごぉくイイヒトそうなので、難しいかもなー。ファンレターに全部返信する精神と、「メジャーシーンでも映えるエッジ」というのはかなり両立が難しいことかも。
    彼のキャラから自然にできることと言えば、こういう事業のやり方の場合、払う人はよほどのファンなので、実は価格の上昇に対する需要減少の弾力性がかなり低く、例えば3~5ドルぐらいにしても購入数はあまり変わらない感じがします。真剣に「サステイナブル」にしていくとするならそれがファーストステップかなと。(おそらく古参ファンの大部分が、せめて3ドルにしなよ・・・って思ってると思いますし、そういう値上げは全体の収益にインパクト大なはず。)
    ま、でも奥さんの収入があるらしいからOKなのかな。応援したくなる人なのは確かですよね。これからウォッチしてみます。イイヒト紹介してくれてありがとうございました。

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  7. chikaです。
    ついにブログだけで食えるようになりましたか。偉い~
    Jonathanさんの次がどうなるかは興味深いところですが、この経験を生かして、オンラインレーベルやらオンラインラジオ等で働く、っていうのもありかな、という気が。プロモーションもサイト構築もどっちも見られる人って結構貴重。
    ということで、食いっぱぐれることはないと見た。

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