シリコンバレーは「新しいビジネスが台頭」という話題で一杯だが、ビジネスがダメになった話はめったに出ない。ベンチャーなんて、成功するのは100のうち1つあるかないか。死亡ベンチャーやら、死なないまでも売上20億円くらいを脱することができない「living dead」ベンチャーの話を追いかけていたらキリがない。それに、アメリカ人は成功話が好きだから、「ダメになった話」「暗い話」はニュースネタとして「売れない」路線なのでありましょう。(・・・なので、インターネット検索は結構危険。会社が上り調子で話題になったときの記事ばかりたくさん出てくるので、日付をよーく見ないといけません。)
ということで、今日はそのめったに出てこない景気の悪い話で、「ダメになったベンチャー」の、ペットクローンビジネスのGenetic Savings and Cloneと、SNSのFriendsterについて。
Genetic Savings and Cloneはペットクローンビジネスでも書いたが、5万ドルでペットをクローンするというビジネスモデル。サンフランシスコからゴールデンゲートブリッジを渡った先のサウサリートのベンチャー。その後3万2千ドルに値下げするも、ビジネスとしてやっていけるだけの顧客が付かずクローズ。2000年に開業してから5匹の猫をクローン、そのうち代金を払ったのは2人だけ、という顛末が10月12日のSan Jose Mercuryに載っていた。現在、問い合わせしてきた人には、クローンではなく、遺伝子保存をしてくれるよその会社を紹介しているそう。
私の元のエントリーより、当時の我が家の会話:
ダンナに
「うちの猫をクローンするとして、いくらまでだったら出す?」
ときいたところ「35ドル」と即答。それは、慈善団体から猫をもらってくるときの値段です。
ダンナの金銭感覚が正しかったかも。Genetic Savings and Clone社では犬のクローンができなかったそうだが、確かに猫に数万ドルはないかも。猫ってのはどんなにかわいくても他人、一匹一匹との出会いは一期一会、という感じがする。・・・ただ、犬だったら5万ドルもありかな、という気も。犬は飼ったことがないのでよくわからないが、「この犬でなくっちゃ」という、親子のような深い絆で結ばれてるように見受けられるので。飼い主にとって「数万ドル」がどれくらいの価値かにもよりますが。
また、世間的には、「世には、もらい手がいなくて安楽死させられる捨て犬・捨て猫もいっぱいいるわけで、クローンするくらいだったら、そういう犬・猫をもらってくる方が世のため」という批判もあった。
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一方FriendsterはSNSの老舗。SNSという言葉がまだなかったような時代に「出会い系」の延長線上で出てきた
ネットワーキングサイト。Google・Friendster・星新一の世界で、
「Googleが買収するという噂が出てる」と2003年に書いたが、噂はやっぱり本当だった模様で、当時3千万ドルでの買収オファーがGoogleから来ていたが、Kleiner
Perkinsなどの超有力VCから、
「たった3千万ドルで買収されるのなんてやめて、うちの投資を受けなよ」
と甘い言葉をささやかれ自主独立路線へ。そして今やSNSサイト中14位に転落、昨年秋には何とか会社を売ろうと投資銀行を雇うが、2千万ドルでも買い手が付かず、「25歳から40歳向けSNS」というスタイルで再挑戦することとなった。このあたりの経緯は、New York TimesのWallflower at the Web Partyが詳しい。
SNSでは、今アメリカで最大のものはMySpace。去年の9月に2160万人だった登録者数は、今年の9月には5590万人に増加、二位のFacebookの1330万人をはるかに凌駕するサイズ。
Friendsterの登録者は減少傾向で、去年の9月が120万人、今年の9月には100万人。SNSの一番手としてスタートした当初は、2003年3月から同年秋までの半年で、3百万人が登録するという破竹の勢い。言うなれば今のYouTubeみたいなノリだった。
もし、2003年後半にGoogleに3千万ドルで売却していれば、(そして、それがGoogleの株だったら)、今頃ファンダー氏はビリオネアになれたはずだったのに・・・と記事にはある。確かに上場前のGoogleだったら、企業価値3000億円くらい、ってのはありえる。3千万ドル(30億円)はその1%。今の企業価値が13-14兆円くらいだから、1%弱で1000億円。大体いい線かな。・・・あ、でもファウンダー君の持分は、多めに見積もって3割とすれば300億円。うーむ、でも、Googleの企業価値が当時は1000億円くらいだったかもしれなくて、だったら、その3倍強で1000億円。ま、いずれにせよ「大金」。
Kleiner Perkinsといえば、シリコンバレーベンチャーキャピタルの老舗中の老舗。「Midas王のように、触るもの触るものを黄金に変える、、、」と思われがちだが、Friendsterのような失敗もたくさんある。セグウェーもここですな。「優良ベンチャーキャピタル」というのは、「成功の確率が高いベンチャーキャピタル」であって、「必ず成功する」わけじゃないんですよね。
さて、今Friendsterの二の舞になるのではないかとささやかれているのがFacebook。Yahooから10億ドルでの買収オファーが出ているがFacebook側が乗り気でないらしい。ハーバードを1年半で中退したハタチそこそこのCEOの会社なのだが、頭がくらくらするくらい強気な人という噂。名刺にまで「他人の言うことなんか聞かないぜ」だか、「黙って俺の言うことを聞け」だか、その手のキャッチフレーズが刷られている、、と聞いたことがある。ま、がんばってもらおうじゃないか。まだ若いから、Facebookではずしても先があるし。
私のビジネススクールのクラスメートで、eviteという会社を起業した人がいた。これまた当時は飛ぶ鳥を落とす勢いで、Yahooから4億ドルだか5億ドルだかで買収のオファーを受けたが、「安すぎる」と一蹴したところ、直後にインターネットバブル崩壊、InterActive CorpのCitySearchにその何十分の一かで売却。Yahooからのオファーを断るに当たっては、これまた有力ベンチャーキャピタルだったeviteの投資家たちからの強い要望もあったとのこと。
1999年に起業して2002年にやめるまで、彼がeviteに費やしたのはたった3年しかない。また、ファウンダー氏はその後eBayに就職、今では結構な役職に付いているようなので、それはそれで悪くないと思うが、彼もonce-in-a-lifetimeだった数百億円を手にする機会を逃しちゃったのかも。弁舌さわやか、性格良好、見た目に涼やかな金髪碧眼、という感じの、見るからにできそうな人なんですけどね。
(ちなみに、evite、大勢への招待状処理サービス。自動的に確認のメールを出したり、返事しない人に追加メールを出したりしてくれ、誰が来るといったか一覧も見られてとっても便利。招待のinviteにeがついて、イーバイト、と読む。)
まぁでも、難しいですよね。Googleのファウンダー2人も、最初はYahooにサーチ技術を160万ドルで売ろうとして、買ってもらえなかったから自分たちで事業化することにした、という経緯もあるらしい。何が吉と出て何が凶と出るか。人生万事塞翁が馬、といいますが、ほんと、よくわからん。ビジネスの進展スピードが速いシリコンバレーでは、特にこの「わからん」ということがよくわかるのでありました。
アメリカのSNSは現在のミクシィみたいに個人情報が漏れたり、他サイトで晒されたりして問題にはなってないのでしょうか?
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chikaです。
アメリカでは、SNSとかチャットとかで「子供が大人にだまされる」ってのが一番問題になってるんじゃないでしょうか。子供に対する性犯罪に異常に敏感な国なので。チャットなんかだと、子供のふりしたFBIの捜査官がおとり捜査をやってるはずです(オンラインで未成年と実際に会う約束をして、のこのこいくと捕まる)。大学の入学説明会で「個人情報をむやみにインターネットに掲載してはいけない」と学生に教えるということもあるらしいです。
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こんな記事もありますね。大人が子供を騙すのもありますが、「大人との性的関係を望む10代の若者の積極的行為」もあるそうです。
「インターネット犯罪から子供たちを救え」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20061010/111380/
ところで右上の写真を見たときに「レベッカのNokkoが何故ここに?」と
思ったのは私だけでしょうかw
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日本で代理母出産が話題(問題!?)になっていますが、
アメリカのビジネスとしてはどうなのですか!?
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chikaです。
代理母ですか。えー、不妊治療全体はかなりのビジネスですね。体外受精とかいろいろ含め。個別の治療は、大体日本の10倍のお値段の模様です(魔、医療行為は何でもアメリカ=日本×10という感じですが。アメリカは、一般的に出産は保険でカバーされますが、不妊治療には保険は適用されるケースとされないケースがあるようです。
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Facebookはヤフーに買収されなくてよかったですね
7年前はこういう捉え方だったんだwww
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