Wall Street Journalより、高級リゾート会員権販売運営会社が倒産したという記事。
The Chapter 11 filings, which disclosed operating losses of $64 million
in 2005, have left Mr. Korpan and many of Tanner & Haley’s 873
other well-heeled members angry, confused and embarrassed.
Tanner & Haleyは倒産した会社の名前。最後のembarrassedに注目。会員の皆さんは、一人当たり85万ドルから130万ドルという高額の会員権を買ったのに、運営会社がつぶれて、払い込んだお金が海の藻屑になるかもしれないという被害者なのに「恥ずかしい思いをしている」、と。
記事ではさらに、
"There are a lot of presidents of companies, CEOs, lawyers and
doctors…really bright people, who feel kind of naive, myself being
one of them," says Chris Stevens, 33, a Sacramento, Calif.,
home-building executive who put down a $750,000 deposit to join the
club in March.
会員の一人が、「自分がnaiveな気がする」と嘆いているのだが、つまりこれは、「宣伝文句に踊らされて、変な投資をしてしまった自分がバカな気がする」というような感じ。そう、英語ではnaiveはバカ、という意味なんです。イギリスではどうか知らないが、アメリカでは、naiveを「繊細な」という良い意味で使うことはまずないです。
「繊細な=すれてない→世間知らず→バカ」
という展開でしょうか。
Tanner & Haleyは、会員権を3億ドル以上集めながら、保有不動産は1億ドル程度分しかなく、6400万ドルの負債を抱えて倒産。「こんな財務状態なのをわからずに投資してた自分がバカ?」と会員の多くが恥ずかしい思いをしている、というわけです。
確かに、タホで似たような権利を買った私の友達は、運営会社の財務諸表を丹念に分析してたなぁ。加えて、
「自分が買ったのは利用権じゃなく、土地・建物の分割所有権なのだ」
と強調しており、聞いたときはなんのこっちゃと思ったのだが、運営会社がつぶれた時、債権者としての順位が高いということだったのであろう。プラス、だからこそ買った権利の価値もキープされるだろう、と。なるほど。。。
というわけで、naive=バカ。アメリカ人に「君はナイーブだ」と言われたら反論しましょうね。
日本だと「このマンション/会員権/株は絶対に値下がりしないと言われたから買ったのに、値下げするなんて許さない」と裁判に訴えたりしてますよ。最近ではライオンズセレブ富士見台がそうらしいです。ちょっとgooglingしてみたら、「「『セレブ』の名にふさわしい人に売る」「将来も値引きしない」と勧誘されて購入したのに、1年余りで値下げ販売されて資産価値が失われたとして、マンション分譲最大手の大京(本社・東京)などに計約2億3300万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こしたことが分かった。」
という記事がある一方で、「37戸も売り残した時点で、この会社の営業終わってる・・・・」「富士見台辺りは、3600万円~4500万円が相場でしょう。高級といって騙された方が勉強不足なんです。」という冷静な意見も。
私としては、やはり営業の「絶対値下げしない」なんて言葉を鵜呑みにした方が馬鹿だと思いますね。億ションだって売れ残ったら値下げするのは企業として合理的な判断なのですから。なんで日本のマスコミはこういうnaiveな人達を擁護しようとするんでしょうね?(ま、どーせ私は理系の貧乏技術者だから、億ションはおろかマンションだって縁がないけど。)
いいねいいね
すごい、勉強になりました!!言われたら絶対、反論しまーす♪♪
いいねいいね
ナイーブはオ○マという意味だと聞いたことがあるのですが。
いいねいいね
似たような単語にinnocentがありますけど、こっちはポジティブな意味なんですか?
いいねいいね
Google検索”define:innocent”:
5. naive: more trusting or naive than most people through lack of experience of life or failure to recognize the motives of others
an innocent young girl caught up in a terrible situation
いいねいいね
イギリス英語になるかもしれませんが、OALDでもnaiveには
1,(disapproving)lacking experience of life, knowledge or good judgement and …
と「不賛成や軽蔑の感情を示すときに用いる表現」であることが明記されていますね。
innocentにはそういう記述がないので、とりあえずは大丈夫そうに思います。たとえ間違っていても、nonnativeなら許容範囲内なのでは。
いいねいいね
場合によってはsensitiveもそんなニュアンスを含んでいた気がします。
いいねいいね
Computer ScienceにおいてNaive algorithmといえば「おバカな(遅い)アルゴリズム」として論文に載るしフツーにそういう意味で日常的に使われているので、てっきり「Naive=バカ」だと思いこんでました。。。そういえば「純朴な」っていうのが原義でしたね。
いいねいいね
貧乏神-san
イヤー、アメリカでも、というか、アメリカだからこそ訴訟になると思います。恥ずかしいからといって泣き寝入りしたらさらにembarrassingですから・・。
naiveとinnocent、sensitiveですが、innocentはいい意味ですね。ただし、子供だけ。大人でinnocentというと「無罪」という法的な意味のことがほとんどではないでしょうか。日本語の「純真無垢な」と同じ意味じゃないかと思います。「純真無垢な58歳」とか、ちょっと不気味じゃありません?Don Henleyという人の曲で The End Of The Innocenceというのがあります。80年代前半のもの。
http://www.lyricsfreak.com/d/don+henley/the+end+of+the+innocence_20042063.html
sensitiveは、日本語のナイーブにもっとも近いんじゃないかと思います。「繊細な」みたいな。ただ、「口にするとやばい問題」みたいなときに、sensitive issueとか言うこともある。これも、「相手が気にしていることだから(つつかないほうがいい)」ということで、同じ意味なんですけど、日本語の「繊細」とはちょっとずれますね。
コンピュータ用語のnaive!は言いえて妙。そういえば前、promiscuousが「淫乱な」という意味だと書いたら
ネットワークエンジニアの方から「通信のプロミスカスモード」のプロミスカスって、そういう意味だったのかとぐんにゃりした、とtrackbackいただきましたが。
いいねいいね
うーむ、自分で書いといて、やっぱり違うかな、と思ったんですが、sensitiveを日本語のナイーブみたいなニュアンスで使うことはやっぱり少ないかなぁという気がしてきました。むしろ、「微妙だから触れないほうがよい」みたいな意味の方が普通かな、と思います。
うーん、うーん、native speakerのYuki-sanどうでしょー。
いいねいいね
話は変わりますが。<<「格差」意識の日米比較から見えるもの>>大阪大学が「21世紀COEプログラムで行った、日米比較アンケート調査(06年2月)の結果を紹介する。「現実の所得はどのような要因で決まっていると考えているか」という質問で。日米ともに「各人の選択や努力」が所得を決めていると考えている人々は最も多く、日本68%、アメリカ84%である。これに対して、日米で大きく異なるのは、才能と学歴である。学歴では、アメリカ77%に対して、日本は43%と少ない。才能についても、アメリカ60%に対して、日本が29%と、大きな差がある。すなわち、アメリカ人は、努力、学歴、才能の順で重要と考えるが、日本人は、努力、運、学歴の順であると。*「その時々の運」という人は、日本47.5%、アメリカ53.1%と、ほぼ同じである。
いいねいいね
話は変わりますが。<<「格差」意識の日米比較から見えるもの>>大阪大学が「21世紀COEプログラムで行った、日米比較アンケート調査(06年2月)の結果を紹介する。「現実の所得はどのような要因で決まっていると考えているか」という質問で。日米ともに「各人の選択や努力」が所得を決めていると考えている人々は最も多く、日本68%、アメリカ84%である。これに対して、日米で大きく異なるのは、才能と学歴である。学歴では、アメリカ77%に対して、日本は43%と少ない。才能についても、アメリカ60%に対して、日本が29%と、大きな差がある。すなわち、アメリカ人は、努力、学歴、才能の順で重要と考えるが、日本人は、努力、運、学歴の順であると。*「その時々の運」という人は、日本47.5%、アメリカ53.1%と、ほぼ同じである。
いいねいいね
<<「格差」意識の日米比較・その2>>次に、「所得は本来、どのような要因で決まるべきか」についての価値観である。日米ともに「選択や努力」を挙げる人が最多である(日本75.7%、アメリカ86.6%)。しかし、アメリカでは、学歴や才能を次に挙げる人が50%を超えるが、日本では10-15%にすぎない。つまり、日本人は「選択や努力」以外の要因で所得が決まることに否定的であるが、米国人は才能や学歴による所得の差を認める傾向にある。さらに、「将来豊かになれる機会は平等にある」と考える人は、日本では15%、アメリカでは、43%で、両国に大きな差がある。日本では「成せばなる」の「努力」を重視する社会規範があるのでは。(週刊エコノミスト2006.08.08号、大竹文雄・大阪大学教授の論文より)
いいねいいね
恐れ入ります、Yukiです。ちなみに私の母国語は(一応)日本語です。
Sensitiveを辞書で調べたら以下のように出ていました。
a. 感覚の; 感じやすい, 敏感な ((to)); すぐ怒る ((to, about)); すぐ感応する, デリケートな; (市場などが)変動しやすい; 感光性の; 国家機密を扱う, 極秘の.
言葉には頻繁に出てくる使われ方とそうでないものがありますが、この場合は皆同じぐらいに良く使われるような気がします。
それと、a sensitive guy と言えば、褒めている(感情が細やかで感受性豊か)のか、けなしている(怒りやすくて扱いにくい)のかは状況と言い方で決まりますが、a sensitive girl と言えば褒めていない場合の方が多いと思いません?(女性は良い意味でのsensitiveで当たり前と考えられているからなのでしょう。)
私も所得は運で決まる部分が非常に多いと思います。シリコンバレーでは年収20万ドルぐらいまでは学歴と能力と努力次第ですが、それ以上はひとえに景気と勤務先の株価で決まります。
いいねいいね
「ナイーブ」ってどういう意味で使っているのかと問われたので…
… 「バカ」って意味だよ、と答えた。相手はちょっとあわてて、「いやだいたいあってるけど、そこまでひどいことはないけどね」って言ってた。20年くらい前の話。
渡辺千賀さんの”On Off and Beyond”で、「ナイーブは現代米国英語ではバカという意味です」って記事があったので思い出しました。
関連記事(日英単語の意味の差): 「セレブ = ハイソ + 成金?」…
いいねいいね
naiveと言われたときには、どのような言動を見せると賢い奴だと思われるでしょうか。
怒るというのも1つの案かもしれませんが、なにせこちらはマイノリティーかつ英語にも訛りがある身分、それに職場やパーティーとかで怒りの感情を表に出すのは後のことを考えると、百害あって一利なしにも思えるのですが。
そういうからかわれ方をしたときに備えて、なにか気の利いた返答ってないですかねー?
いいねいいね
>「私も所得は運で決まる部分が非常に多いと思います。」
はひとまず置いといて、
>「シリコンバレーでは年収20万ドルぐらいまでは学歴と能力と努力次第ですが、それ以上はひとえに景気と勤務先の株価で決まります。」
日本のIT技術者だと学歴と能力と努力があってもせいぜい5万ドルくらいまでかな。もちろんこれは理論上考えうる『上限』であって、それ以下という人も多いです。(そういう人は実力もそれなりになりますが。)しかもこの上限でさえも、下手をすると月辺り数百時間超の残業手当込みかもしれませんし、それで体を壊しても労災も出ません。最近はサービス残業の合法化が流行ってますから、この傾向はさらに強くなりそうです。
それ以上は、職種転換するか国外脱出するか犯罪に手を染めるかしない限りは、まずあり得ないでしょう。万が一、百年に一度の大発明をして株価が急上昇したとしても、技術者の懐には一銭も入らないのが普通です。
……なんか書いてて泣きたくなってきたな。
いいねいいね
「naiveって言われた時に、どんな反応をしたらいいんだろう…」なんて考えること自体がnaiveなのでは…
まあ、そう言われた行動が自分でもnaiveだったなと思えるなら “I know that.” って笑っとけばいいし、そうでないなら “I don’t think so.” って言って(必要なら)そうでない理由を説明するとか。
いいねいいね
>万が一、百年に一度の大発明をして株価が急上昇したとしても、技術者の懐には一銭も入らないのが普通です。
想定されておられる「普通」の範囲が異なるのかもしれませんが、それは普通ではありません。少なくとも、日本知的財産協会に加盟している会社(計1,112社加盟)で、発明者報償ゼロという会社はないと記憶しております。
また、特許先進国でも発明者報償制度を有しているのは日本とドイツだけです。日本の特許法はドイツを参考につくられているためです。
日本とアメリカの賃金を比較して、日本が低めであるのは、「いつクビを切られるかわからない」という心配をしなくて済む安心料のようなものではないでしょうか。そして安心料はいらないから高給取りになりたい、という人はリスクをとっている。という理解です。
いいねいいね
>「発明者報償ゼロという会社はないと記憶しております。」
訂正。「事実上0」。建前としては0ではないけれど、専門書の数冊も買えば消し飛びます。
>「「いつクビを切られるかわからない」という心配をしなくて済む安心料のようなものではないでしょうか。」
「安心料のようなもの『だった』」ですよね。終身雇用神話はとっくの昔に崩壊してます。
それに、会社が社員を「守ってやってるんだ」などというのは、経営者の傲慢に過ぎません。No1開発者が辞め、No2が辞め、No3,4,5,…がゾロゾロ辞めていって破綻した開発現場を経験すれば、その意味が分かりますよ。
いいねいいね
>
http://www.businessweek.com/magazine/content/06_23/b3987095.htm
ご存知の様に、IBMなどは、インド、中国、ブラジル、東欧などの拠点を大幅に強化している。
いいねいいね
このWSJの記事読みました。この記事からnaiveの話へ展開していくChika-sanはさすがだ!と思いました。
Webster’s によるとnaiveを引くと以下の様になっていました。
1: marked by unaffected simlicity
2 a: deficient in worldly wisdom or informed judgment; esp : CREDULOUS
b: not previously subjected to experimentation or a particular experimental situation; also : not having previously used a particular drug
1と2のaは日本語の感覚では「単細胞の烙印を押された」「世間知らず、常識的な判断力が欠如している」と言った雰囲気の意味かなと思います。WSJの記事の当該リゾート会員の人のコメントは2のaに近いのでは。。
Chika-sanのおっしゃっている「繊細な=すれてない→世間知らず→バカ」に基本的に近いと思います。2のbはkennさんのコメントのComputer Scienceでの意味に近いと思いました。
ちなみに、Wiktionaryでは以下の内容でした。
lacking experience or understanding; inexperienced; unsuspecting
having a lack of sophistication
日本で一般的な認識の「繊細な」はどこからきたんでしょう???
ちなみに私は米国在住足掛け約10年になりますが、人が誰かのことをnaiveだと言うケースは殆どないのではと思います。それよりも、日本人が間違って他の人に対して使うのを気をつけた方が良いのではと思いました。自嘲気味に自分はnavieだと言うケースは今回の様にあるかもしれませんが。。。
いいねいいね
フー。昨日(8/17)のロイターのインタビューで、日本サッカー協会・川淵カピタンがズィッコ前日本代表監督について↓んな風に言ってるそうで。
“I don’t want to criticise Zico but perhaps he was a bit naive,” said Kawabuchi.
つまり、「自分はズィッコを批判するつもりはないが、ズィッコはちょっとバカだった」と。フー。:(
いいねいいね
なんか話題が続きますね…
ところで「ナイーブ」の日本での認識ってほんとに「繊細な」が一般的ななんでしょうか? そういう用例も思いつきますが、古めかしい感じがします。少なくとも私の世代 (chikaさんとほぼ同じ) の仲間うちでは、「うぶな」「世間知らずな」という意味の方が普通だったように思うのですが…
それと、英語では人に対して naive を使うのは確かにあまり聞いた経験はありませんが、「意見」や「アイディア」に対してnaiveを使うことってありません? さすがに見知らぬ他人の意見に対して使うことは無いですが。自分で “My naive opinion is …” みたいに言ったり、友人の意見に “That’s too naive.” と突っ込んだりとか。
いいねいいね
Shiroさんの「ナイーブ」の日本での認識ってほんとに「繊細な」が一般的ななんでしょうか?
のコメントを見て確かに少し古い気がするな?と思い、つい少し調べてたところこんなものを発見してしまいました。
やんちゃ家族を応援するナイーブ登場!!
http://www.naive-home.jp/
ネーミング/ブランディングのポジショニングやメッセージングとして、J&JのBaby Shampooに少し近く、ターゲットの層は少し上を狙っているものと推測されますが。。。
「世間知らずな」等のネガティブな意味を考慮したら、普通つけないのでは?と思います。ご存知の通り日本のブランドで英語を使ったネーミングに関しては、ポカリスエット等、これに限らずおもしろいのがありますので。。。この辺に関しては、Chika-sanのBlogでもとりあげたことがあった様な気がします。
Wikipediaの日本語版に以下の説明がありました。
ナイーブとは「飾りけがなく素直なさま」や「純粋で傷つきやすいさま」という意味で使われる和製英語。なお、英語においてもnaiveという単語があるが、それは「未熟で世間知らず」や「お人よし」といった意味で使われるため注意が必要である。英語で日本におけるナイーブの意味を表す単語はsensitiveである。
日本においていつ頃からこのような誤用が広まったのかは定かではない。しかしながら少なくとも1980年頃には現在のような意味で使われていた事が分かっている。この誤用が広まった背景には日本においては童心というものが、萌えの流行に見られるように批判されながらも比較的否定的なイメージを持っていなかったということが挙げられるであろう。
と言うことで、ほとんどの疑問点に対する答えがここに載っていました。最初からこっちを見るべきだったと反省しています。でもやっぱり、少し古い解釈の様な気はしますが。。。自分はChika-sanたちより少し上の世代だと思います。
長くなりすみません。
いいねいいね
すっごく遅れた反応ですが、日本語のナイーブは「繊細」という意味で使われますが、本来 naive にはそういう意味はないですよね。「未経験」「初心」「純真」のような意味はありますが。基本的な語義は「知らない」ということです。技術のほうではagnosticの類義語として使われていたりします。人間を指して使うのはあまり聞いたことがないですね。
ちなみにこの前アメリカ人に聞いたのですが evian というフランス語はなく、地名でもなく naive の倒置だということなんですが、真偽のほどは…
いいねいいね