アメリカでは、「貧富の格差拡大」じゃなくって、真ん中層が1人負け、という話。超リッチな層がさらにリッチになるなか、今までずるずると下がってきた社会の底辺の方の人たちの収入は底をうち、一方それと比較すると、真ん中あたりの収入が伸びていない、と。
EonomistのInequality in America (ちょっと前の6月15日のもの)
記事自体は、「スーパーリッチがもっとリッチになってしまって、こんなので大丈夫アメリカ?」というありがちなテーマだったが、それより、冒頭にも書いた
「4大の学卒の収入上昇率<高卒以下の収入上昇率」
っていうのに瞠目しましたです。はい。過去5-10年くらいの、まだ新しい現象ということで、統計の取り方次第で違う結果になってしまう程度のものではあるようではあるが。
実際、シリコンバレーの生活実感としては「4大卒の落ち込み」は結構そうかな、という感じ。
ちょっと断っておくと、まずそもそもシリコンバレーには4大卒のみ、という人が少ない。大学院まで行っている人がやたらに多いので。
プログラマなんかみたいな「腕一本」系の技術者だと、学歴と関係なくすごい人はいるが、そういう人は逆に大学もまともに出てなかったりする。・・・が、技術者の多くを占める移民では、大学院まで出ていないとビザを取るのが難しい。加えて、ビジネス系の職につくのは、たとえアメリカ市民でも大学院を出てないとかなり厳しい。大学院まで行ってはじめてスタートラインに立つ、という感じ。(今40代半ばより上の人は、学歴ナシで腕一本で渡ってきた人たちも結構いるが、それより下は困難)。
この間も、最近MBAを取ってGenentech(バイオ系の超一流企業)で働いてる人に、
「シリコンバレーって学歴社会だよねぇ。」
と言ったら
「いや、学歴なんて関係ない。自分も採用面接するとき、そんなの見ないし」
と力説。だが、
「じゃ、一流大学のマスター持ってない人で、最近採用された人いる?」
と聞いたら
「うーん、誰もいないなぁ・・・・」
・・・・彼のところに来る前に、学歴がパッとしない人はハネられてしまっているのだよ。Genentechともなれば、莫大な数の応募がくる。実際に同僚になるかもしれない社員(=私の知人)が採用面接に登場する頃には、応募者は既に難関をかいくぐってるんである。(このスクリーニングをするのが、アメリカのヘッドハンティング会社の重要な業務。)
数年前の話だが、シリコンバレーはCupertinoの公立小学校、Fariaの親の81%は院卒、というのもありました。
一方で、トップ層の収入レベルがあがれば、彼らが私生活で使うお金も増える。しかし、その需要にこたえてサービスを提供する人たち(多くが高卒)は減少気味なので、その対価は上がっている。たとえば、家の建築コストは急上昇してるが、これは建設労働者の賃金がガンガン上がっているから。(ここの市場向けに不法移民がどっと流れ込むわけだが、それでも追いつかない、ってことですね。不法な人ではできない仕事もあるし。)
ま、学歴は、仕事の高度さの代替指標なのだが、学歴抜きにしても「社会の真ん中辺がここ5年くらい一番苦しくなった」という感じは大いにするのである。
例えば、オフショアリングで、ローエンドのエンジニアの仕事はインドや中国をはじめとした海外へ流出した。そうやって仕事を失った人たちの中には、それまでより何割も低い給料でしか次の仕事がないというケースも数多くあった。シリコンバレーの給与水準再びでも書いたけれど、シリコンバレーの技術系の仕事では、平均給与はあがっているが、雇用数は減っている。技術系の仕事っていうのは、そもそもシリコンバレーで最も収入が高い仕事群なわけで、その中でローレベルの人たち(つまり、シリコンバレーの中間層)は切られていなくなっちゃった、と。中途半端なスキルはヤバイ、ってことなんですねぇ・・・・。
なお、元のEconomistの「真ん中へン苦しい」ということを記述した部分は下記の通りです。ご参考まで。
The gap between
the bottom and the middle—whether in terms of skills, age, job
experience or income—did widen sharply in the 1980s. High-school
dropouts earned 12% less in an average week in 1990 than in 1980; those
with only a high-school education earned 6% less. But during the 1990s,
particularly towards the end of the decade, that gap stabilised and, by
some measures, even narrowed. Real wages rose faster for the bottom
quarter of workers than for those in the middle.After 2000 most
people lost ground, but, by many measures, those in the middle of the
skills and education ladder have been hit relatively harder than those
at the bottom. People who had some college experience, but no degree,
fared worse than high-school dropouts. Some statistics suggest that the
annual income of Americans with a college degree has fallen relative to
that of high-school graduates for the first time in decades.
ベンチャーで働くプログラマとしては、ぼくも「学歴なんてまったく関係ない」ってのが実感です。履歴書で確認するのは経験したプロジェクトの内容とそのプロジェクト内での立場くらい。
実際問題として、結果としては学歴がそれなりじゃないと引っかからないというのはそのとおりですが、その理由は、学歴がないと面接するところまで上がってこないからではなくて、学歴がないと最初のハードル、つまり実務未経験者から脱出できないからだと思います。中小ベンチャーで教育なんてしてられませんので、未経験の人は(ネットでコードが読める系の人くらいしか)そもそも検討しません。
つまり、本当に学歴は関係ないけれど、学歴がないとクラブに入るのが難しい、という感じかと。
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chikaです。にゃるほど・・・(今日は、ヨーロッパと電話会議だったので遅くまで起きています。もう夜中過ぎ・・・子供は寝る時間だ。クスン)
ビジネス系では、結構学歴がイマイチ(っていっても、あんまり聞いたことない学校のMBAとかいうレベルでやっぱりマスターはあるんですが)の人のresumeも結構目にしますが、はっきり言ってそういう人は職務経験もイマイチなことが多いので、お話にならないことが殆ど。よほどもぐりこんで実績を上げないと「クラブに入れない」って感じです。
いずれにせよ、アメリカの大卒=日本の高卒、くらいの価値だと思うんですけどどうでしょうね。特にシリコンバレーでは。
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ある意味では「アメリカの大卒>日本の大学院卒」かもしれませんよ。
大学院を出ていても、「未経験者歓迎」で入った文系技術者(という名の素人)の下でこき使われるんですからねえ。しかもそういう人が「英語分かりません」「英語のドキュメント分かりません。」「英語の書籍なんて見たことありません。」「自腹で買う?信じられない。」なんて平気で言ってたりします。
ことITの世界では、残念なことに日本のレベルは(情報交換の場としての)「英語圏」より十年は遅れていると思います。インターネット上を情報が走り回る現代においては、距離の壁よりも言葉の壁が非常に大きい。日本の技術の方が進んでいるならば、英語を知らなくてもなんとかなるかもしれません。でも実際は逆で、日本の方が十年は遅れています。(これは当然ですね。情報交換の場としての「英語圏」は日本以外のほとんど世界中。もちろんシリコンバレーも含まれます。しかも日本の中でも一部の優秀な人達は、その「英語圏」へと参加している。)その中では「あいきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ」な人は英語を拒絶しているだけでなく、技術進歩からも取り残されているんですよ。
日本の院卒なんて、そんな生きている化石より格下扱いされてるわけですからねえ。考えるだにアホらしくなります。
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賛成ですねー。私も、「家の値段」という観点で、「ミドルクラスは暮らしにくい」という話を前に書きました。
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20051129/1133233710
ほんとに、日本以上に学歴社会ですね、アメリカは。シリコンバレーだけじゃありません。レジメ(履歴書)に、学歴と職歴しか書けないんだから、特に職歴の浅い若い人は、学歴以外にスタートラインに就く方法はありません。逆に言えば、いい学校さえ出ていれば、よい職業のスタートラインに就ける、だからますます、特になにかと不利なマイノリティ(特にアジア系ね)の間では、学歴競争が激しくなる・・・
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大卒のミドルクラスが苦しいのは、いろんな要因があると思います。
その中で私が思う要因の一つは、企業の雇用姿勢が変わってきたからだと思います。特に大企業が。
製造業だと、昔は多くのホワイトカラーを雇っていたのけれども、IT革命のおかげでそんなにたくさんのホワイトカラーが要らなくなったことが考えられます。銀行もそうですな。受付は今やATMですね。
サービス業でも、正社員の少ない傾向は続いてますモンな。マクドナルドとかヤマダ電機では、店長クラスは正社員だろうけど、あとは契約社員とかパートでしょうな。
ただ、いつも高等教育で思うのは、こんなにたくさんの人が高等教育を受ける必要があるのか?ということ。大卒が増えて、大卒デフレが起きているということも考えられと思う。そのうち、院卒もデフレになるでしょうな、てか、日本ではなってる感じがする。松下幸之助いわく、「高等教育は五%ぐらいの人で十分ではないか」と言っていたような気がする。私も、そんなもんではないかと思うが、chika-san は何%ぐらいだと思いますか?
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貧乏神さん
>ある意味では「アメリカの大卒>日本の大学院卒」かもしれませんよ。
英語が話せない日本の大学院卒です。勉強もあまりできなかったので、
ご指摘は大変痛いのですが、ちょこっと反論。
まず、文系技術者に求められているものは技術ではないですね。お客との
折衝だったり、プロマネだったりと最新技術と少し離れたところです。
それと、最新技術を知っている=最新技術を適用することは別問題ですので
そこを区別しないといけない気がします。大規模システムや社会基盤系
システムの場合、多少枯れていた方が最新技術よりも良いということが
多々あります。
当然、英語ができて、知識があって、最新技術を知っているほうが良いと
は思いますが、仕事をしないどうしようもない連中ではないということを
多少主張してみました。
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>「文系技術者に求められているものは技術ではないですね。」
よく聞きますね。そういう言い訳は聞き飽きました。
>「お客との折衝だったり、プロマネだったりと最新技術と少し離れたところです。」
これをやる必要性は分からなくもないですが、それを「技術者」と称するのはほとんど詐欺です。またその際にも技術知識は必要不可欠で、素人だと誤った判断を下す恐れがあり、事実そうなっています。
まあこれについてはSIerに丸投げする日本企業の経営体質が根本的な問題だとは思います。そう言えば日本のSIに相当する企業は米国にはないと小耳に挟んだことがありますが、本当でしょうか?
>「それと、最新技術を知っている=最新技術を適用することは別問題ですので大規模システムや社会基盤系システムの場合、多少枯れていた方が最新技術よりも良いということが多々あります。」
これは当然その通りです。そんなことは技術者にとっては当前のことですよ。よくいわれることですが、「Javaは枯れた技術の集大成」だとかね。(逆にMSなんぞは実験段階の技術を標準採用することでも知られてたりする。)
問題なのは、その判断を下すためには最新技術を知らなければならないということです。知らないままでは誤った判断を下す恐れがあります。文系技術者と称した技術の素人が初心者レベルの致命的な判断ミスをしているのに、そういう馬鹿どもは自分が無知であり、それがトラブルの原因になっていることさえ想像力の限界を超えているのですよ。まったく困った連中です。
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<<ホワイトカラーエクゼンプション>>
緊急の課題は、長時間労働やサービス残業の様ですが。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%DB%A5%EF%A5%A4%A5%C8%A5%AB%A5%E9%A1%BC%A1%A6%A5%A8%A5%B0%A5%BC%A5%F3%A5%D7%A5%B7%A5%E7%A5%F3
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長時間労働に関する、英国ガーディアン紙の記事:
http://money.guardian.co.uk/work/story/0,1456,1552801,00.html
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>「仕事をしないどうしようもない連中ではないということを多少主張してみました。」
「『頑張りました』は失敗した時の言い訳にはならない」ですよね。無免許医が簡単な手術で治療ミスを起こし、それが原因で患者を死なせておいて、それで『精一杯努力しました』が言い訳になるとお思いか?それは殺人と同じです。
実際に死人も出てますよね。過労死とか自殺とか。鬱病になって会社を辞めざるを得ず、人生を狂わされた人もいます。「その責任は自分にはない」なんて思わないで頂きたいものですね。
「ホワイトカラーエクゼンプション」
日本ではマイナーな用語で、おそらくは、この用語よりは『裁量労働』という名で知られているものと同種の問題だと思われます。「ホワイトカラーは労働時間と成果が比例しない」から、「残業手当を支払う必要はない」というわけです。たとえその原因がトップマネジメントの経営ミスや、赤字覚悟で受注した営業の背任行為や、技術のイロハもしらない文系技術者の初歩的ミスにあるとしてもです。
ホワイトカラーにおいて労働時間と成果が比例しないのは事実です。『文系技術者』の成果などは、0どころかマイナスになることも珍しくありません。つまりこういう人達は仕事をすればするほど会社に損失をもたらします。しかし今の日本における「裁量労働」とは、ホワイトカラーの労働の効率化を目的としたものではなく、あくまで「サービス残業の合法化」がメインです。月数百時間の残業をしても、会社は残業手当を一切払う必要が無くなります。会社側にとっては実に美味しい話です。
この「裁量労働」やそれによる「サービス残業の合法化」の問題の本質は、今まで以上のシステムトラブルの増大や疲弊した開発現場にあります。上で挙げたような『文系技術者』のミスなどもあって、開発現場は今まで以上の長時間残業を余儀なくされ、それが人材流出に拍車をかけ、状況は悪化の一途を辿っています。サービス残業を合法化することにより、それによって出る赤字を帳簿の上から見た目上だけでも一掃しようという、なんとも救いのない話なのです。
そんなことをしても、人材流出をさらに悪化させるだけだと、なんで分からないのでしょうね。
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chikaです。
「人材流出」!
いいですねぇ。嫌な仕事はどんどんみんな辞めると、暮らしやすくなると思うんですよね。さすがに誰もやる人いなくなったら給料上げるしかない、みたいな。微妙に何とかなっちゃうくらい人材が残るから、よりいっそう労働条件が悪くなる・・・。この際みんなで辞めよう!沈みかけた船からは脱出だ!!
(・・んなことできない、と怒られるんですけどね。うふふ)
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今の調子で人材も徹底的に流動性が高くなればいいんだ。株式みたいに。
企業も生み出す利益に基づいてプライシングしてくれる。高ければ売る。安ければ買う。
適正価格になる。…ような気がします。
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<<景気回復論に影を落とす「働く人口」の縮小加速>>
日本では、人数の多い団塊世代が60才を超える今後10年間に、20-59才人口は700万人減少する。就業者減少の流れとして、「好景気」と矛盾する諸現象、すなわちスーパー販売額の9年連続の低下、昨年のコンビニ販売額の前年割れ、国内乗用車販売の低迷などが既に生じている。これらは就業者の消費に支えられる面が大きい。好景気と同時に進む、多くの財の需要減少に、心の備えが必要であると。
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<<「格差消費」の現場・オンナは豪快、下流は節約>>
三越銀座店の2階婦人服売り場。米国のセレブが愛用していることで人気に火がついた1本3万-5万円の米「トゥルーレリジョン」など、プレミアム・ジ-ンズが週末になると1日40本近く売れている。また、会員カード加入者のうち、年間100万円以上の購入者を対象とするゴールドカードへ、転換した人は、昨年、初めて前年比2ケタ増の12%に達した。その半数は30-40代の女性だ。
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サービス残業
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