負け組・勝ち組・けち組

うちのダンナは夢がない。

二人でボノボノとくつろいでいたある日のこと、私が

「将来の夢ってどんなの?」

と聞くと、

「うん、そうだな・・・・・風呂場の脱衣かごの下の床に穴をあけて、床下経由で汚れ物が直接洗濯機に落ちるようなシューターを作ることかな」

・・・・・・・マジですか。それが「夢」ですか。それって単なる「プロジェクト」じゃないんか。大体白モンと色モンの区別はどうするんじゃ。

日本では、「勝ち組」「負け組」という表現が流行っているようだが(もしかしてすごい古い?)、多分夢のない人は勝ち組になんてならないんだろうなぁ・・。ということはうちのダンナはやっぱり負け組?

・・・かどうかはわからないが、彼が「けち組」なのは確実である。(オヤジギャグですまん)

これまでにも何度か書いたけれど、家の電球が切れても、「電球が切れてるほうが電気代が安上がり」と豪語して取り替えないし、「プリンタのトナー買うより新しいプリンタ買ったほうが安いから」といって、新品同様のプリンタをどんどん捨てるし、車の燃費をPalmと連動させたExcelで給油のたびに計算してるし(しかもPrius)、毎週日曜の新聞の折り込み広告の割引クーポンを切り取って財布に入れて持ち歩いてるし、小銭はきっちり仕分けして銀行に預けに行くし。

宵越しの金は持たない地方公務員(thanks to豊富な年金)の家庭で育った私から見ると、仰天の節約人間である。これまた前に書いたとおり、我が家は「爪で拾ってみでこぼす」を夫婦で分担しており、ダンナが「爪で拾う」担当、私は「みでこぼす」担当なのである。

しかし、その爪拾いダンナが「なんてケチなんだ」と舌を巻く人がいる。

それは、ダンナの上司。勤め先ベンチャーのファウンダー兼元CEO(今はVP Marketing)のインド系アメリカ人である。上司といっても、ダンナより若くまだ30代前半。前に起業した会社も一応$100million位で売れたので、シリアルアントレプレナーと言ってよかろう。こんなビューティフルな奥さんもモノにした。

その彼がどんなケチ振りを発揮するかというと・・・・

  • 起業時にIkeaにオフィス家具を買いに行ったが、ゴミ箱を3つしか買ってこなかった。社員は既に10人以上いて、しかもゴミ箱はひとつ3ドルだったにもかかわらず。ちなみに、オフィスは全てキュービクルゆえ、ゴミ箱まで行くには、いちいち立ち上がって歩いていかなければならない。不平続出で買い足す羽目に。
  • オフィスの水を注文するのに、2週間で5ガロン(20リットルくらい)の水タンク1つしか頼まなかった。「10人のオフィスだったら、これじゃ絶対足りないよ」といわれたのにもかかわらず。案の定2-3日で水がなくなり、adminのお姉さんが近くのスーパーに出向いて水を継ぎ足す羽目に。
  • 大事なプレゼンに出向くのに、ぎりぎりに資料ができてプリントアウトしていたが、「両面印刷でないともったいない」といって、1分を争うのにもかかわらず、わざわざ紙を入れ直さなければならない両面印刷をした。
  • これまた大事な東海岸出張で、一番安いチケットを、ということでとんでもない乗り継ぎがある便を予約、結局そのうちひとつが大幅に遅れてとんでもないことに。

などなど。そういえば、Sunのファウンダーで、著名VCのVinod Khoslaも、Sun時代、ボールペンの購入まで、自分で決済してたらしいし。それ以外にも、上場企業の社長で、もったいないからと会社に朝早く行って鉢植えに水をやっていた人とか、いろいろ聞くし。

というわけで、シリコンバレーには「けち組」がたくさんいるのでした。一般的に移民系の人に顕著です。もともとアメリカにいる白人の皆さんにはとんでもない借金人生の浪費家も散見されますが。

負け組・勝ち組・けち組」への10件のフィードバック

  1. 夢や向上心がない人のことを、最近は「下流人」と呼びます。
    お金があっても地位があっても、向上心がなければ「下流人」・・・らしいです。
    次はどんな言葉が来るのかしらん。

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  2. 僕も昨年の夏にオフィスを借りて共同事務所にしましたが、自分のけちさに気付いて唖然としてます。プリンタのインク一つ買うのも、清水の舞台から飛び降りる覚悟です。必要なものを買わないので苦情がでます。たぶん、なんか起業すると人間ってけちになるんじゃないですかね。

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  3. > そういえば、Sunのファウンダーで、著名VCのVinod Khoslaも、Sun時代、ボールペンの購入まで、自分で決済してたらしいし。
    ということは、氏が我々db4objects社に投資してくれることが決まったと言うことは、我々のケチ組ぶりを評価してくださったともいえるわけですね・・・。そういえばCEO達と先日さんま定食を食べたら、骨だけしか残さなかった。日本人でもああはいかないですよ。好意的に、「もったいない組」(語呂悪っ)と言っていただくと聞こえがいいですが。

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  4. すごすぎです。日本では、「もったいない」が流行っていることを考えれば、この方々は流行の最先端ですね。chikaさんの「みでこぼす」話が聞いてみたいです。ご一考下さいませ。

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  5. ケチ組CEOでないと、勝ち組企業としての成功は継続できないのかもしれません。
    フロッピーディスクでWindowsを売っていた時代、ゲイツが12枚フロッピーのパッケージを11枚に収めよと叱咤激励した、という話を思い出しました。
    http://spaces.msn.com/furukawablog/Blog/cns!1pmWgsL289nm7Shn7cS0jHzA!2368.entry
    でも、2週間で5ガロンの水じゃ喉が乾きますね。

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  6. そうそうVinodはとってもけち。投資してもらってから、技術に目処がつくまで、毎年$5Mぐらいで自転車操業させられます。オフィスの椅子も全部中古。POのサインはもちろんCEOにお願い。
    最初に$50M集めて、あとはブラックホールみたいな会社は大嫌いみたい。

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  7. スタートアップってキャッシュフローとの戦いなんですね。前にお金を湯水のように浪費する会社に勤めていたので、どんなに締まり屋でも良いからちゃんと会社を維持できるようにしてくれる経営者の方が良いです。。。

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  8. め-san,
    ってことは、私は「下流人の妻」でしょーか。なんか必殺仕事人の妻みたいで、かっこいいような。
    あらいしゅんいち-san, Yuki-san,
    起業してもケチになる人とそうじゃない人といるみたいですね。でも、金の切れ目が縁の切れ目ですから使わないで済むお金は使わないに限りますね。
    Sato-san,
    お、なんだか面白そうな会社にお勤めですね!サンマ定食、おいしそう・・・。
    もりもと-san,
    いや、私の「みでこぼす」は大したことないです。。仕事で日本に行くときビジネスクラスに乗ることくらいかなぁ?でも、経費だし;-)
    じょーじ-san,
    あ、昔私もフロッピーでソフトウェアを売るチームにいたことがありますが、あれ、結構コストかかるんですよ!CDになってえらくコストが削減できたという。。。。
    miquech-san,
    スプーンフィードですね。。
    Dora-san,
    「ナウい」といわれると不安が走るんですが・・

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  9. 「勝つ企業」の条件

    今、すべての業界で、新・旧の入れ替え戦がはじまっている! 
    極端に「儲かる会社」と「ダメになっていく会社」の二極化がすすみ、「2割の
    勝ち組」と「8割の負け組」に分かれる。
    本書は、徹底した現場主義で、これまで全業界1,000社以上の企業を独自調査し
    た大竹愼一氏が、この大競争に勝ち残るための《8つの条件》を、具体的な事例

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