アメリカでは、軍隊に入るといろいろといいことがある。
もちろん、戦争に行って死ぬかもしれない、というデメリットがあり、それとバランスを取るためのものであるからして、ウカウカと喜んでもいられないのだが。
よく知られる「イイコト」としては、退役軍人は一生医療がただ、というのがある。これは前もちょっと書いたが、全米にVA (Veterans Affairs=退役軍人)病院というのがあって、家族も含め無料で全ての医療行為が受けられる。スタンフォード大学のすぐそばにも大変立派な900床のVA病院が。「保険代が夫婦で15万円」なんてこともありえるアメリカでは、偉大なメリット。
さて、そんなアメリカの軍隊が最近、兵士向けに恋愛・結婚カウンセリングもはじめたとのこと。
Pentagon has advice in battle of sexes
"How To Avoid Marrying a Jerk."=どうやって、ろくでなしとの結婚を避けるか、と称されたプログラムが開始されたそうだ。
長期にわたって単身で海外派兵されたり、心身が傷ついて戻ってきたり、といった波乱もあり、ちゃんとしたパートナーを選ばないといろいろ大変、ということで、そのサポートをするそうだ。よく新聞の人生相談にも、「兵役に行っている間に、パートナーが浮気」などという相談が載っているし、実際問題として大変なのであろう。
私のダンナ側の親戚は、2人イラクとアフガニスタンに派兵された。
アメリカでは、戦争がない時期に、軍隊に入らなくても、「Reserve=予備兵」として登録しておくと、お小遣い程度のお金が支給され、かつ学費のローンが低金利で借りられる、みたいな制度がある。彼らは9.11の前に予備兵になっていたところ、戦争になってしまってかり出されたのである。
というと、結構悲惨な感じだが、徴兵されたときは、本人たちも、その親も、結構喜んでいたらしい。というのも、当時2人とも職がなく、しかも高卒でスキルがあるわけでもなく、結構ダラダラした暮らしになっていたそうな。日本で言うところのニート。その上、ハワイ島在住で、生涯ハワイから一度も出たことがない、という狭い人生だったので、
「飛行機に乗って海外にいける。その上、訓練を受けてスキルも身につく」
と結構意欲的に出かけて行ったらしい。
結果的には、派兵される前の国内訓練の間に二人とも彼氏・彼女を見つけて、1人はその後さっさと結婚、もう1人もきちんと付き合い続けているようだ。独身男女が一同に共同生活を送るわけであるからして、そういうこともあろう。
1人は今最初の兵役期間を終えて、イラクから帰って来ているのだが、結局もとの木阿弥でニートに逆戻りし、親兄弟の中にも
「もう一度志願して行って来い」
と勧める人たちもいるとのこと。彼は、イラクでは後方の通信担当で、仕事は屋内、武器を持って戦場に出たことは一度もない、というお役目で、命の危険は殆どないため、兵役復帰を勧める親戚からすると
「ダラダラしてるくらいなら、軍隊で生活習慣を立て直す方が本人のため」
ということらしい。
ちなみに、最近アメリカでは兵隊不足が深刻化しつつあり、
「軍隊に志願するとiPodプレゼント」
みたいなキャンペーンがあるという話もラジオでやっていた。対象は高校生なので、ついうっかりiPod欲しさに志願しちゃう人もいるのであろうか。
さて、元の「How To Avoid Marrying a Jerk.」プログラムに戻ると、その教えの一つにFACESというのがあるそうだ。いわく
It advises the marriage-bound to study a partner’s F.A.C.E.S. — family
background, attitudes, compatibility, experiences in previous
relationships and skills to bring to the union.
「家族環境、態度、相性、過去の恋愛経験、二人の関係にもたらすスキル、の5つで相手を判断しよう」というもの。「2人の関係にもたらすスキルで相手を判断」とは、これまたとってもアメリカンではあるが、日本的に言うと「持ちつ持たれつ」ということか。
これを読んでダンナに
「Youは私たちの関係にどのようなスキルをもたらしているのか?」
と聞いたところ、しばし無言で考えた後
「Quietness (平安・静寂)」
ですと。まぁ、とっても静かな人ではあるのは認めるが、それってスキルなのか、と反問したところ、
「スキルだとも。深い努力の末に黙っているのだ」
と。が、しかし、単に話すのが面倒くさいだけなのを私は知っている、ダンナよ。
>日本で言うところのニート
ウケました。
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私の実家には自衛隊の駐屯地が近くにあるのですが、中学生くらいのときにその自衛隊から年賀状がやってきたことがあります。その年賀状には返信手紙まで付いていて「返信するとヘリコプターに乗れる」とか書かれていて、喜んで返事を書いたら後日自衛官が勧誘にきました。母親が丁重にお断りしましたが、かっちょいい自衛隊カレンダーをもらってご満悦だったのを思い出しました。(ただヘリコプターは乗れなかった)
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最近の兵隊不足は深刻で”逮捕歴無し”も資格から除外しようかなんて話も聞いたような。どんなに愛国教育をすすめても、みんな戦争に行って死んだり怪我したりしたら嫌ですからね。結局は誰かの映画にもありましたが、貧乏な若者が行くしか無くなってきてしまうんですね。
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ふんじ-san
な、なぜに受けたのでせうか・・・。日本のニートが軍服着て訓練受けてる姿を連想されたとか??^^;
本店-san,
そうか、返信するだけじゃヘリコプターに乗れないんですね。詐欺だなぁ。
私は、学費が安いし面白そう、という理由で防衛医大受験を考えたのですが、当時あそこだけ受験が早い時期で、気がついたら願書締め切りが過ぎていて諦めたことがありました。
Ted Weapon-san,
兵役は、貧乏人・違法移民(やその子供)に、人生一発逆転のチャンスを与えるという意味で、アメリカというシステムの安全弁でもある、という気がします。それがexecution levelになると、結婚カウンセリングやiPodが登場してしまう、というなんだか変なことになっているわけですが。
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>な、なぜに受けたのでせうか・・・。
うまく説明できないのですが、もともとUSから入ってきた言葉がUS在住の方に「日本で言うところの」と表現されているところが、やっぱ日本でいうニートってUSでいうニートとは違うのねというのが計らずも現れているというか。
すいません、本題と関係なくて。(^^;
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最近、マイケル・ムーアの「華氏911」を見たところだったので、興味深く拝見しました。
>「スキルだとも。深い努力の末に黙っているのだ」
とても高度なスキルだと思います。ボクは習得するのに3年かかりました。
>単に話すのが面倒くさいだけなのを私は知っている
あらら、生まれ持った才能なんですね。うらやましい。。
日本ではニートは大問題になり始めてます。日本の定義は「15~34歳の就業・就学・職業訓練をしていない人」(34歳ってのは、国民年金支払い開始のリミットです。。)で、数十万人いるそうです。引き篭もりやネット中毒であることが多いそうです。羨ま・・いや困ったことです。政府でも民間でもなんとかして「若者の心にジャストニート!」して働いてもらおうとしているようです。日本も裕福になったということでしょうか。
ちなみに、ニートという言葉の発祥はUSじゃなくてUKらしいです。
長々すみません。
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昨日今日とサッカー日本代表の練習見に行って来ました!
貴重な経験で、とても興奮しております
で、質問!
では千賀さんはどのようなスキルをもたらしてらっしゃいますか?
僕の場合は・・・
オフ会までに考えときます(^^;
ちょっと難しいよね
千賀さんの旦那さんの答え、センスいいと思います
ああいう答え、ちょっと憧れるなあ
(「口は災いの元」を地で行く僕としては)
いつもながら
話のオチもまた秀逸です
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いつも楽しく拝読させて頂いています。
VA病院、いろんな所で見ますが、実際医療の質はどうなのでしょうか?
現役兵の人と家族はVA病院には行けないんですよね?
軍の病院というのが他にあるのでしょうか?
以前現役兵の家族から「軍の病院で出産した時は、麻酔無し」とか「事故で腕を負傷したけど軍の病院へ転送され、その時は手遅れで切断を余儀なくされた」という話を聞いた事があり、VA病院もそうかのか…と思ったので。質は高く医療費タダ!なら軍隊入りもいいかも?!
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ふんじ-san,
ニートって、てっきり「日本は、いつも、とんでもない」みたいな、「レジャーは、大西に、まかせろ」のレオマ・ワールドみたいなものかと思ってました・・・。Doraemon-sanのおっしゃるとおりUK発祥の言葉のようですね。でも、UKでもあんまり流行っておらず、日本だけで広まった・・・という、Sudokuもどき。(Sudokuは次のエントリーをご覧くださいませ)
Doraemon-san,
引きこもりって、金銭的バックアップがないと単に餓死するので、昔は単なる腐乱死体として処理されてたんでは・・。ま、恐らく多くの人は餓死するくらいならいやいやでも働いてたんだと思いますが。
そういう意味では、「引きこもり」っていうより「引きこもらせ」といった方が正確な気もするんですが、厳しすぎるかな。
DrGianni-san,
私がもたらすスキルはダンナに聞いたところ
「健康的な食生活」
だそうです。日本人としてはごく普通ですが、必ず野菜を食べる、淡白な味付けなど、ごく普通の日本人の好みはアメリカの基準に照らすととても健康的。ということは、私のスキルは日本人であるってことですかね?
Abby-san,
VA病院、ちゃんとした医療を受けられますよ!ただし、アメリカの第一線・超一流レベルではありません。遺伝子治療とかトリプル臓器移植とか、そういうのはダメでしょうね。現役兵はどういうシステムになっているか知らないのですが・・・。
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>「引きこもらせ」
おっしゃる通りだと思います。親の・・・ですね。
失礼します〜っ。
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F.A.C.E.S.
アメリカの軍隊が兵士向けに恋愛・結婚カウンセリングを始めたそうです。 ■Pentagon has advice in battle of sexes まずプログラム名がすごい。 “How To Avoid Marrying a Jerk.”(どうやって、ろくでなしとの結婚を避けるか) あたしもカウンセリング受けたい。 (お前自…..
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「iPodプレゼント」は実用性を考えてのことかも?それこそ兵員輸送車やヘリでの移動とか、潜水艦の5段ベッド(?)で寝る前の数少ない楽しみのためにはこういうものが必要でしょう。湾岸戦争の頃は「日本の最大の貢献は、民製GPS受信機とゲームボーイだ」なんて噂もありました。ただでさえストレスのたまる環境ですから、こういう息抜きでもないと、喧嘩や暴動が起きてもおかしくないと思います。
ニートについては「給料は安い、将来性無し、しかもデスマーチに入ると生命の保証無し」という3K職場に勤めるよりは、まだ他の道を模索するという極めて理性的な判断ゆえだと思います。この業界だと下手をすると残業手当が付かないし命の危険を感じても簡単には逃げられない分だけ、正社員の方が派遣社員などより待遇が悪かったりしますので。なんのための正社員なのやら。
というわけで私も現在元気に失業中。お金もあまりないので旅行やショッピングに出かけたりもできず、一人でTOEICの勉強を細々としてたりします。もちろん英会話学校なんて贅沢品は使わず、NHKの教材やpodcastに頼り切り。必要な書籍やipodなどはAmazonなどの通販で購入。数少ない娯楽のレンタルビデオさえも通信DVDレンタルですませてます。そう言えばTOEICの申し込みもネットから済ませました。外にでる必要があるのは生鮮食料品を買うときくらいですね。
こういう生活やってると、周りからは「仕事で挫折して収入もない。将来に希望も持てず、失意のあまり引き篭もっている。」というふうにしか見えませんね。‥‥75%くらいあたってるけど。
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アメリカの短大卒で留学期間約5年の私は、米兵さんとの結婚にとても魅力を感じます。実家もごく普通の家庭だった私ですが、留学を得て、アメリカの文化と教育にすっかり魅せられました。家庭環境的にも米兵さんと合うのではないかと思うのです。子供を育てるのであれば、絶対にアメリカの環境でと願う、悲しいかな30代後半の私です。。。。
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