黒字でもVC投資で打って出る

先週のベンチャー投資とインサイダー取引ですが、先週一番たくさん増資したのは、Omniture。サイトのアクセス解析の会社です。Eコマースが拡大するとともに延びている領域ではありますが、大勢プレーヤーがいて競争が激しい。そこで、どーんと$40M集めて、R&Dと海外進出で大きくなろう、という挑戦増資。去年の4月に$15.4M集めており、その時点で既に四半期ベースで6期連続黒字。しかし、増資して以降は赤字になるまで事業投資をし続け、ヨーロッパにも進出、来年にはアジアにも出て行くそうな。

懐かしのRed Herringにも記事が出ています。

Omniture
had its second round of funding in April 2004, in which it raised $15.4
million from Hummer Winblad. The company said it had been profitable
for six quarters when it received that funding. It has used the money
it raised for investments in research and development, even as it has
doubled its engineering, sales and marketing staff, and expanded
internationally.

Omniture opened an office in the United Kingdom and plans to launch operations in France and  Germany by the end of this year. It also plans to expand into Asia in the first part of 2006.

The company says it could be profitable again if it chose to scale back its
investments. But for now, it’s investing the money it makes as well as
the money it raises in future growth opportunities, believing, as do
many analysts, that the demand for such products is only going to
increase in the days ahead.

前回のラウンドのリードインベスターはHummer Winblad。ソフトウェア専門に投資するVCで、 その名の通りHummerさんとWinbladさんがやってます。Hummerさんのほうは、Yale大学を卒業後、NBAでプロバスケ選手として活躍(・・・したかどうかは定かではないですが、とにかく6年間プロ選手活動をした)後、スタンフォードでMBAを取得、ベンチャーキャピタリストとなり現在に至る、という人。以前「背が高いのはビジネスに有利」という仮説(眉唾です・・・あしからず)についてのエントリーを書いたけど、関係あるかな。

Winbladさんについては、以前とある日本人男性が、
「サイトの写真がちょっと女優のファラ・フォーセットみたいだから、すごい楽しみにしてミーティングに行ったんだけど、全然違った・・・がっかり」
と語っていた。うーむ。写真が誇大広告という件について少々忸怩たるもののある私はどきっとするんですが。

しかし、黒字の会社がVCからお金を集めて、赤字になるくらいガンガン事業投資、というのは結構勇気がいるのでは。これで失敗したりすると「VCの口車に乗せられた」ということになるのでしょう。

対極にあるのが、儲かっていてもプライベートのまま邁進するSAS。1976年創業で、VCからの投資を受けることもなく成長、世界最大の非上場ソフトウェア企業となりました。先週のSan Jose Mercury Newsの記事に、founder兼CEO氏のコメントが出ていましたが、いわく:

"Explain to me why somebody would be public?” he asked during a visit to Silicon Valley last week. "It’s a bad marriage between Wall Street and innovation. You can’t innovate on a quarterly basis.”
(中略)
The 6-foot-5 former professor of statistics, a multibillionaire, has little patience for Wall Street.

"Being private gives us such an ability to think of the long term and not listen to some 25-year-old kid on Wall Street telling us he’s not happy because we aren’t making our numbers,” he said.

SASの売り上げは$1.5B、約1600億円。「投資銀行のコドモにああしろこうしろといわれるなんて真っ平だ」と。ま、これも一理あります。上場したくなかったらVCの投資を受けない。これも一つの会社の生き方であります。しかし、このCEOも190センチ超ということで、結構長身。

さて、話を元に戻すと、Omnitureはアクセス解析の会社の訳ですが、Eコマースの効率向上ということでは、こんな会社もあります ― LivePerson

要はEコマースサイトに組み込むインスタントメッセージのインフラ。従来は、オンラインショップでの顧客の質問にチャットで答える、といった風に受動的に使われてきました。(答えるのはカスタマーサポートの本物の人間)それを、顧客からの質問がなくても、能動的に語りかける、という利用方法が出てきています。一定時間同じ商品のサイトがひらきっぱなしになっていたりすると、
「どんな商品をお探しですか?」
と本物の人間がスクリーン上で語りかける、とか。アクセス解析の結果、「商品検索をなんどもするのに、買わないで去ってしまう客が多い。」とか、「支払い画面まで来て去ってしまう人が多い」などという問題点が明らかになったら、そこをなんとかするために使えるわけです。コストはかかりますが、言葉がなまっていても大丈夫だから、海外にアウトソースするのも簡単そう。

なお、この「オンラインセールスパーソン」に、初めて語りかけられるとかなりドキッとするらしい。私はまだ出会ったことはないですが。(こちらから積極的に質問してカスタマーサポートの人とチャットしたことはありますが。結構便利。)

一番たくさんストックオプションをキャッシュにしたのは、Network ApplianceのOfficer/DirectorのJeffry Allen。$4.18Mなり。

なお、先週だけだと$1.5Mと小額ですが、Yahooのストックオプションを、トータルで$95MこれまでにキャッシュアウトしたのがYahoo取締役のArthur Kern。パートタイムの取締役がこんなに儲けるのはけしからん、と批判しているのはGraef Crystal。executiveの報酬評論家です。そんな職業が成り立つところがアメリカ。Bloombergにもいろいろ報酬周りの記事を書いてます。

***
単位:M=100万ドル=約1億円 B=10億ドル=約1000億円
(情報ソース:VentureWire, San Jose Mercury News)

黒字でもVC投資で打って出る」への2件のフィードバック

  1. >写真が誇大広告という件について少々忸怩たるもののある私はどきっとするんですが。
    そんなことはないと信じています。

    いいね

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