マクドナルドと過労死とマッキンゼー

McdonaldのCEOが心臓発作で死亡。
San Jose MercuryのMcDonald’s CEO dies of heart failure

まだたった60才。
ということで今回は、(1)アメリカの社長は激務、というのと(2)名前の似ているマクドナルドとマッキンゼーの比較(私は高校生時代1年間せっせとマクドナルドで働いていて、インストラクターまでやっていた。その後コンサルティングのマッキンゼーでも働いた。この、一見全く異なる二つの会社には共通点があるのである。

(1)アメリカの社長は激務

アメリカの社長は若い、とよく言われる。McDonaldのCEOも一旦引退していたのだが、業績悪化で2年前にCEOの座に復活、カルロスゴーンさんばりに利益を伸ばして瞠目されていた。が心臓発作。しかも、世界のフランチャイズを招いた大々的な会議でキーノートスピーチをする直前。劇的な死だ。後継者は彼の秘蔵っ子のオーストラリア人、43歳。若い。

一人CEOがたまたま死んだことで、アメリカのCEOが過労死するほど激務、というのは飛躍があるが、しかし一般的に言ってアメリカのCEOはとんでもなく忙しい。HPのCarly Fiorinaは朝一でニューヨークで会議、そのまま中西部に飛んでまた会議、さらに飛んで西海岸で会議、最後にハワイまで行って、顧客を集めて大パーティーみたいなスケジュールのこともあるらしい。ニューヨークとハワイで時差は6時間あるから、一日を30時間に引き伸ばして働いているようなものだ。社用ジェットなんて使って贅沢、と言われたりもするが、しかしこんなスケジュールをこなさなければならないのだったら、絶対必要だ。

トップになると仕事が大変だから、若くして引退しちゃうんですね。日本の大企業のトップの多くはあいさつ回りで明け暮れて脳のひだが取れてきてる人もいるが。

ちなみに、McDonaldの後継者43才氏は、19歳でMcDonaldの店を持ち、29歳でオーストラリアのMcDonaldの役員になったという人だそうだ。

In his previous stint at McDonald’s, Cantalupo met and served as mentor to Bell, a young Australian who had managed a McDonald’s restaurant at 19 and became a member of the board of directors of the company’s Australian division at 29.

「立志伝中の人」ですね。

なお、McDonald CEO急死に関するNPRのラジオのニュースはこちら
McDonald’s CEO Dies of Apparent Heart Attack

(2)マクドナルドとマッキンゼーの比較

この二つは似ている。どんなところが似ているか

1.名前

関東地方ではマクドナルドをマック、と略して呼ぶが、マッキンゼーの東京オフィスの人たちも、マッキンゼーのことをマックと呼ぶ

2.時給

マッキンゼーはやたらと労働時間が長かった。私が最初に配属されたプロジェクトなど、夜10時に打ち合わせして
「じゃ、これを各自仕上げてもう一回朝2時に打ち合わせよう」
てなことがありました。そのプロジェクトでは、72時間ぶっ通しで働いた27歳男子が、そのまま自分の車を運転して帰って、首都高で事故で全損した。もう一人の、やはり20代男子も途中で心身症でいなくなった。そして誰もいなくなった。私は気管支炎になって、セキのし過ぎで肋骨を折った。(ベリッと音がした)ま、これはマッキンゼー的にも相当ひどいほうだったし、最近はかなり労働環境も向上してるようだが。
「マッキンゼーの人は顔の半分にブツブツがある。夜オフィスの床で寝るので、じゅうたんのダニに刺されるから」
なんて言われたりしてたようだ。というわけで、「下働きはどちらのマックも時給は一緒」(一緒とまで言うのは大げさですが)

3.よくできた人事システム

マクドナルドは、ちゃんと働くと時給が10円ずつ上がる。たったの10円。部外者から見たら、そんなもののために一生懸命働くのは馬鹿げていると思うかもしれない。しかし、控え室の壁にはどーんと時給の表が貼られ、誰がいくらもらっているか、誰が昇給したか、一目瞭然。これで結構みんな俄然がんばっちゃうのですよ。

マッキンゼーは、up or out(ある地位には一定年数しか要られない。Associate3年、とか。そこでマネージャに昇進できなかったら辞めてもらいます、となる)というのがある。(といっても、あまり厳格には適用されていない。しかも、「やめたくありません」と本人が言えば、強制的には首にされないようだが)また、そういう「鞭」ではなく、「にんじん」的に人をその気にさせるシステムもたくさんある。特定分野のスペシャリストになってグローバルに名が知れると昇進に役立つ、とか。

4.教育システムが整っている

マクドナルドは、私が働いた20年前でも、マニュアルが全ウン巻、ビデオがこれまた何本もあった。「ビッグマックの7つの味」とか、「Suggestの3つの効用」とかが載っていて、ちゃんとテストされ、覚えてないと昇給しない。ちなみに、Suggestとは、
「ご一緒にポテトいかがですかー」
というあれだが、「お客様の栄養バランスを向上する」ためなんだそうだ。ほんとか。

マッキンゼーは、研修が充実しているのもさることながら、イントラネットにバカスカ情報がある。無限にある。どれほど読んでも飽きない。(しかも、当時はイントラネット上にゲームまであった。必死にやってしまった。)
もとい、マッキンゼーがすごいのは、そういうドライな教育のみならず、人的ネットワークによる知識共有もしっかりしていること。世界のオフィスで、誰が何の専門家なのかのリストがある。専門家の人たちにメールや電話で「XYZについて教えて」
と頼むと、懇切丁寧に電話会議で教えてくれたり、その人しか持っていない資料をどーんと送ってくれたりする。しかも、24時間以内に返答、というルールがあるので迅速に返答が来る。スバラシかったです。

ということで、マッキンゼーとマクドナルド、実は「よく作りこまれている」という意味で、かなり似た会社であるというのが印象です。

マクドナルドと過労死とマッキンゼー」への18件のフィードバック

  1. このエントリーはとても面白かったです。(・・・月並みな表現ではずかしいですが。)
    確かに、見方によってはあざとく見えてしまうくらいよく作り込まれた会社ですね。両方とも。言われてみると納得ですが、この2社を結びつけて考えるなんて思いつきもしませんでしたわ。
    ・・・そもそも両方で働いたことにある人を見つけたのが初めてなのですが。;-)

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  2. みなさん高校生の頃バイトってしないんですかね。私は、マクドナルドの前は、ホカ弁やで朝6時からポテトサラダ作ってたこともあります :-)
    大学に入ってからは、秩父の山を切り売りする受付、ってのもありました。スーパーで風船配ったこともあれば、パテックフィリップのアンティークのオークションの入札会というのも。何百万、何千万円とする時計だとは露知らず、素手でほいっとお客に見せて、お客の方が
    「大事に扱ってくださいっ!パテックなんですから!」と悲鳴を上げていましたね。知るか、でございます。ほかにもいろいろありますです。はい。

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  3. マクダーナルでバイトする人はたくさんいるわけですが、その中からマッキンゼーに行く人って、たぶん数えられる程度しかいないような気がしますが。
    ちなみに、学生の頃に4年間ほどサラ金業者でバイトしていました。その時、世の中の裏側の仕組みが70%程わかりましたわ。プライバシーなんてあってないようなものです。

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  4. 私の友人(日本人・女性)も、やはり高校のときにマクドナルドでバイトしていましたが、その後ビジネススクール→マッキンゼーというパターンをたどっていました。
    考えてみればchikaさんと同い年のはず(マッキンゼーではかぶっていないですが)。特異年なんでしょうか。

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  5. アメリカでは仕掛けが良く出来ている会社が多いですよね。私が昔勤務していた、さる大手コンピュータ会社はマネージメントを育てる仕組みが出来上がっていました。訓練とか言うのでなく、ルールに従って仕事をしていることがマネージメント教育でした。退社して判りましたが(遅すぎ)。結果、日本のコンピュータ系会社の多くが、その会社の退職者です。
    マッキンゼーの方とも何人かと仕事上の付き合いがありましたが、スマートに見えて、付き合い難そうとの印象です。マッキンゼーOBの社長も多いですね。
    以前クレイフィッシュと光通信の騒動で、双方とも知った人で面白かった。光の方はマッキンゼー出身者で、相手は日商岩井出身者でした。外資を転々としていると結構知っている人が多くなるものです。

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  6. ちかさん、こんにちは!お元気ですか~?
    マクド(関西風♪)の藤田田氏(「デンと発音して下さい」と名刺に括弧書きがある・・・)も21日に心不全でお亡くなりになったとのこと。享年78歳、直接的な過労死ではないものの、引責辞任する昨年までCEOとして働いていたのだから、やっぱりかなりの心労があったのでしょうか・・・。その後、健康にも気遣われていたようですし、てっきり「人並みな老後」を楽しまれていらっしゃると思ってたのですが、氏にとっては「マクド」が人生のすべてだったのかもしれませんね。日本マクドナルドと同い年生まれの私としては、なんとなく時代の一区切りといった感も無きにしも非ずという、ちびっとおセンチな今日この頃です。

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  7. 結局どうなりたいんだ?

    On Off and Beyond: マクドナルドと過労死とマッキンゼー 私の友人で「過労死が夢」と言っている奴がいた。彼は以前、「会社をつぶすこと」が将来のプロセスの中にあって、最終的には過労�…

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  8. 初めまして。「マッキンゼー」でぐぐったらここに来たのですが、実は先週「コンデンサーと「キャパシター」でぐぐったら、やはりここに来たので、偶然に驚いています。マッキンゼーのアシスタントに応募しようかと思って検索したのですが、顔にぶつぶつでかなりびびってしまいました・・・

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  9. >偶然に驚いています
    変なキーワードでこのサイト上のほうに来ちゃうんですよ。。。「コールガール」「アトキンズダイエット」「つまらない仕事」とか・・・クスン。
    >顔にぶつぶつ
    いやー、これはBCGの人たちが流したガセネタといううわさもあります。私はちゃんと布団と寝巻きを持ち込んで寝てましたからぶつぶつできませんでしたよ(笑)一度昼3時ごろしっかり着替えて寝てたら、誰かがやってきて仰天してましたが。

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  10. 時給5万円って凄くないですか?

    ネットの世界では5万円以上稼げるのはわずか5%の限られた人だけなんです。では、その5万円を確実に1時間で稼げてしまったらどうですか?小金持ち安達が贈る時給5万円戦略しかもその後、継続して30万円を稼ぎ続ける方法があったらやっ……

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  11. いいもの見つけた(@0@)

    そこの学生のあなたへ!!★そう、こんなのを待っていた~(TT)。「誰か、お願いだから稼げるようにしてーー」と私の心の声が叫んで数ヶ月(トホホ)。いくつかの情報商材を購入したけど、結果が全くダメ。もう、さんざんでした。原因は、*商材の売……

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  12. 老後に夫と同居→妻の死亡確率2倍

    老後に夫婦が同居していると、妻の死亡確率が2倍になるという今日の記事より。
    (引用記事は、下部に掲載)
     夫婦仲むつましく過ごす老後というものは、多くの人が理想とするとこなのだが、状況によってはそれが妻の死亡確率を高くしてしまうという今日の記事。
     老後の夫婦のうち、どちらかが先立つと、残された方の死亡率が急激に上がるという調査結果があるということは耳にしたことがあったが、今日のような記事の結果はとても意外だった。
     しかし、理由を読んでみてると、なんとなく納得するとこ……

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  13. 今回も興味深く拝読させて頂きました。
    マックの社長は「殉職」ということで、
    二階級特進でしょうか。
    でも社長の二つ上って会長→???

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  14. ピンバック: マッキンゼーよ、ごめんなさい | On Off and Beyond

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