トムクルーズとエアギャップとAmazon Snowball

トムクルーズ・バージョンのミッション・インポッシブルが最初に登場したのは1996年。トムクルーズ扮するスパイエージェントが、自らの濡れ衣を晴らすためCIAのデータを盗みにいく、というのが冒頭のYouTubeのシーンである。コンピュータ・エクスパートとヘリのパイロットと3人でチームを組み、ヘリコプターから換気口を抜け物理的にサーバルームに入り、持って行ったディスクにコピーする、というもの。

これを見た時は「リモートアクセスしてハックすればよいのでは。コンピュータのエクスパートいるんだし」と思ったものである。

しかし、データのセキュリティが頻繁に大問題になリ、もはや保険会社がハックされて8千万人分盗まれたとか、その直後に別の保険会社が1100万人分のデータを盗まれたとか国税局がハックされて個人情報満載の納税申告書が30万人分盗まれたなどと聞いてもなんとも思わなくなってきた今日この頃。

(ちなみに、この「なんとも思わない感」は、東京に住んでいた時に「いずれ関東大震災が来る」と知っていても平常心で日常を送っていたのと似ている。地震は、個人としてできることは非常食や懐中電燈を準備するくらいだが、同様にデータが危ないと言われても私にはクレジットチェックするくらいしか対策の取りようがない。)

もとい、データの話に戻ると、「うーむ、やはりミッションインポッシブルは正しかった」と思ってしまう。「インターネットにマシンを繋げない」ことをair gapというが、「ネットワークにつないで世界中のハッカーと戦う」よりは、「air gapして、忍び込んでくるトムクルーズと戦う」方が勝てそうな感じがする。

とはいえ、air gapしてあるから安全だと慢心してはならないらしい。USBドライブ経由でマルウェアを持ち込まれたイランのウラン処理所の話もあるし、プリンタと長距離レーザー、ドローンを使う凝ったハックのアイデアもある。やっぱりトムクルーズがやってくるのであった。怖い怖い。

・・・・という話を思い出したのは、最近Amazonが発表したSnowballのせいです。Snowballは「50テラバイトのデータが格納できる箱」で、ここに大容量データをいれてAmazonに送るとAmazon Web Services(AWS)上にデータを移してくれるのであった。横にはキンドルっぽいコンソールが付いていて、Snowballを何台も繋げて使うこともできる。

(こんな感じ。レトロっぽい。)

この箱をめぐって死闘を繰り広げる、、、というシーンが一瞬頭に浮かんだので。

しかしこれはなんといってもAWS S3というパブリッククラウドに移すデータなので、死闘の末にゲットする必要があるほどハイセキュリティなはずがない。単に大容量のデータを送るのはネットワークコストもかかるし時間もかかるので、そのあたりの利便性・経済性を考えてのアプライアンス。6Gまでの衝撃に耐えられるそうなので、Fedexのお兄さんが落としても大丈夫な模様であります。

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