シリコンバレーB級グルメ

ベトナム人の友人に教えてもらった超上手いベトナムヌードル屋。

Pho Ga An Nam
740 Story Road, Unit 3
San Jose
tel:408-993-1121
水曜定休
9am-10pm

Phoはライス・ヌードル、Gaはチキン。チキンヌードルを専門にするAn Namという名前の店ということ。提携農場があって、放し飼いの鶏を仕入れている。やわらかくていい味の出る雌鳥だけ飼っていて、それを毎日100匹絞めてスープを作っているんだそうだ。Young Eggというオプションがあるが、これは鶏の体内にあるタマゴで、卵黄だけのゆで卵。
Pho Ga以外には、ハイナンライスが上手い。にんにく味のチキンスープ炊き込みご飯。(ハイナンライスは、この店ではSui SuiだかSiu Siuだかという名前で呼ばれている。)

この店を教えてくれた友人は、ベトナム戦争時に父親が空軍の軍人で、サイゴン陥落の2ヶ月前に飛行機でアメリカに逃げてきたのだという。敗戦を見越した国外脱出が既に始まっており、サイゴンの空港の周りの道には、逃げていく人たちが乗り捨てた車が累々と並んでいたそうだ。別のベトナム人の友人で、やはり父親が軍人だった人がいるが、彼の場合はサイゴン陥落の30分前に脱出したと言っていた。着の身着のままで、最後にベトナムを出た米国海軍の戦艦に乗って逃げたのだという。

2ヶ月前がいて、30分前がいるということは、逃げられなかった人もたくさんいたんだろう。

危機を察知して全てを捨てる決断するというのは難しいことだなぁと、リトルベトナムの様相を呈し始めているSouth San Joseで、ベトナム人に囲まれて麺をすすりながら思ったのであった。

変な会社

ADAのコンファレンスで変なベンチャーに会ってしまった。超変だった。頭を抱えるくらい。

まずミーティングを設定する時点から変だった。電話で話しはじめるや否や、突然「Which school did you go to?」
と聞いてくる。意表をつかれたので、
「School? My school??」
と鸚鵡返しに聞き返してしまった。アメリカは確かに学歴社会。私の経歴をミーティング前にチェックしてあるミーティング相手から、
「で、スタンフォードはどうだった?」
などと雑談的に聞かれることも結構ある。しかし、面と向かって
「君はどこの学校行ったの?」
とは聞かないのである。普通。

さらに、ミーティングの際にホテルのロビーで待ち合わせるてはずだったので、
「私は身長これくらい、ショートカット」と言ったら
「僕はリチャードギアに似てる」と。
なんですと!?

で、ミーティング直前に確認メールを出して「今回のミーティングはCDAなし」と書いた。(医療関係ではNDAのことをCDAと呼ぶ人が多い。守秘義務契約、ですね)
すると電話がかかってきて「CDAって何の略?」と。

しかも、その会社にはウェブサイトがなぜか二つあることを発見。一つは.org、もう一つは.com。一つの方がより新しい情報になっている。

さらに、突然ミーティングの1時間前にポロシャツで登場、雑談して去っていったと思ったら本番のミーティングには7人ものメンバーを引き連れてやってきた。ところが、やたら大勢引き連れてきているにもかかわらず、全くの手ぶら。紙切れ一枚持たず、PCもなし。

しかも、医療業界の人にもかかわらずRocheのことをローチと発音。ゴキブリじゃないんだから・・・・それ以外でも話が要領を得ない。いい加減な説明が多く、聞きただすと訂正する。変だ。全く持って変だ。決定的に変なのが、科学者チックな外見の人がいないこと。ヘルスケア関係のベンチャーには、かなりの確率で人間離れした顔の人がいる。目が異様に離れていたり寄っていたり、はたまた額が大きく突き出たり。まるでSF映画の未来人類のようなルックスの人がいがち。サイエンスの世界の人は見た目もサイエンスなことが多いのだ。しかしこの会社の人たちはみんな、なんだか胡散臭い地方の酒焼けしたおっさん風(いわゆるRed Neckという感じ・・・)と、なんだか普通っぽい中年のおねーさんである。変だ。全く持って変だ。

しかも、投資家構成が異様。100人の個人投資家なんだそうだ。それってもうpublic company(99人を超したらpublicとみなされる)としてSECに公開企業レベルのファイリングが必要なんじゃないのか、と聞いたら、いやそんなことはない、と。(オフショアに会社設立したらSECのファイリングは逃れられるかもしれないが)

全ての変さ加減もさることながら、手ぶらでミーティングにやってきてデータ一つ準備していないそのアンプロフェッショナルぶりに、怒ってしまった。相当に下準備をしたので他の会社とはみな実のあるミーティングができたのに。

ミーティングが終わったあと、真夜中にホテルの部屋でむらむらと怒りがこみ上げ、インターネットでバックグランドチェックを始めた。すると!!Edgarのデータベースで全く別の会社のSECファイリングの中にCEOとCFOの名を発見。それは、な、なんと、オンラインカジノの会社。そう、彼らは医療機器会社のマネジメント兼、オンラインカジノ会社のマネジメントだったのである。

「やっぱり正真正銘変だった」とその時は部屋でひとりガッツポーズをだしたのだが、よく考えると、さらに謎は深まるばかり。だって、本当にだまそうと思っているんだったらもっと真剣にそれらしくするものではないのか。びしっとスーツでも着て、パワーポイントのプレゼン作って、Rocheをどう発音するかぐらい勉強してくるとか。そのあたりがアバウトということは、実は逆に真剣に医療機器を作っているのか。しかし、だとしたらあまりにずさんだ。

謎だ、全く持って謎だ。。。ちなみに、その会社はミーティングに某有名医大のお医者さんを連れてきたのだが、そのお医者さんが果たして本物か、現在追跡調査中である。(ここまでいくと、単に好奇心だけなんだが)

考えられるのは、彼らは個人投資家からお金を集めることが目的の会社であるということ。大企業とのミーティングは個人投資家への売り込みの際に「こんなに事業も快調」と説明するためのツールでしかないから、実はミーティングの中身はどうでもいい。重要なのは会ったという事実だけ。なお、彼らはミーティングの後でこちら側の参加者の写真を撮っていった(これも変だ)。この写真はやがて大きく引き伸ばされて個人投資家の集まりで利用されちゃったりするんであろう。

ということで、世の中にはいろいろ楽しいことがある、というお話でした。

展示会の使い方

金曜(今日)からNew Orleansで行われるAmerican Diabetes Associationのconference(展示会)に4日間行ってくる。その準備でここの所しばらく忙しかった。

なぜか。

アメリカの展示会は、会場でブースを見て回るよりも、そこに集まってくる企業とのミーティングを近くのホテルなどでひそひそと行うためにある。広大な国土に分散して企業があるアメリカでは、face to faceのミーティングをするのは結構大変。たった2時間程度のミーティングでも、往復で丸一日つぶれることも多い。東海岸の会社だったりしたら2日はかかってしまう。ということで、対象業界のコア的な展示会では、その業界に属するほとんどの企業が集まってくるのを利用して、一気にこれはと思う多くの企業とのミーティングをこなすのが米国企業がよく使う技だ。

重要な展示会であれば、展示や発表をしない企業でも、大抵は出向いてきている。

関連企業が地理的に集結してくるので効率的に多くの会社に会えるというのに加えて、展示会では気楽に会ってくれる企業が多いのもポイント。

通常アメリカの会社はちゃんとした理由がなければ会ってくれない。スタートアップであればあるほどそう。彼らは「マイルストーンが達成できなかったら会社がつぶれる」という切迫感の中で仕事をしているので、無駄なことはしない。

私の仕事は日本の大企業側をクライアントとしてアメリカのスタートアップを相手にするという仕事が多いのだが、スタートアップとコンタクトしようと、メールしても、ファックスしてもボイスメールを残しても、相手側に興味がなければ返事が来ることはまずない。なんとか電話で誰かを捕まえて話しても、会ってどうするんだ、何を話すんだ、どういうメリットがあるんだ、みたいなことを聞かれて、意味がないと相手が判断すればそれでおしまい。こちら側(私のクライアント)がグローバルに名の知れた日本を代表する大企業であったとしても話は同じ。例えば相手が開発に集中している段階で、まだ社外と話す時期にないと考えていたら、まぁ、多くの場合何を言ってもケンもホロロである。

唯一の例外が展示会である。展示会に来るときは、どの企業も他の仕事を一切合財諦めて、よその会社とひたすら会いまくるのが目的。だから、たいしたことない理由でも、時間さえ合えば会ってくれる。最悪、ちょっとお茶でも、くらいの簡単なミーティングはセットできる。展示会をうろうろして相手企業の誰かを捕まえて、何とか引き込むことだって可能だ。(ほとんどナンパのようであるが)

今とある日本企業の医療機器関係の事業開発の仕事をしているのだが、今回の展示会は糖尿病では世界でも代表的なもので、世界から参加者が集まってくる。なんとしてでも会いたい会社が目白押し。

というわけで、過去数週間、ミーティングのセットアップをしていたので忙しかった。ちなみに「ミーティングのセットアップ」をもうすこし細分化するとこんなプロセスになる。

1)相手企業に、私のクライアント企業の紹介・会いたい理由・会うと何が相手にとってメリットになるかの説明を書いたEメールやファックスを送信。

その際、300人までの企業であれば、相手先企業のCEOに連絡するのが基本。ただしCEOから音沙汰がなく、かつBusiness Developmentの担当者(VPかDirector)がいればその人にもトライ。

A)連絡方法については、まず第一にEメールアドレスを何らかの形で発掘する(未上場企業または公開していても小規模あればVenture Sourceなどの有料データベースなどに出ていることがある。もしくは、相手先企業のEメールのパターンを他の人の例から探し出す。IRやPR担当者などのメールアドレスがウェブに記載されていることがあるが、そこでfirst name_lastname@とか、first nameの一文字+last name@というパターンがわかれば、それを当てはめて連絡したい相手のメールアドレスを推測する。)

B)Emailアドレスがわからない場合、もしくはEmailしても音沙汰がない場合、直接電話してCEOかbusiness developmentの担当者を頼む。相手の名前を言わないと取り次いでくれない会社もあるので、予めこれはと思われる人の名前を調べておく。(相手先企業のウェブサイトにManagement Teamなどとして掲載されていることが多い)

C)Email, 電話どちらもダメだったら、ファックス。ここでも、相手の名前を明記するのが基本。

2)連絡が取れ、相手が興味を示してきたら、より詳細な情報を提供。こちら側の参加者リストに加えて、当日の議題と、特に相手から聞きたいと思っていることをメールやファックスで詳細に説明。時には、さらに電話会議を設定して、詳しい話をする。

3)時間を調整し、実際に現地でどうやって会うかを綿密に設定。始めて会う人たちなので、これは大事。相手の携帯電話など非常用連絡先も確認。

・・・というようなことをしていると、あっという間に時間がたってしまう。が、今回は、アメリカは東海岸の上の方と下の方、スイス、イスラエルなどなどの会社とミーティングが設定できた。これを全て相手先企業の所在地までいちいち訪問していたら、1週間では終わらないだろう。(というか、今エルサレム出張を許す日本企業はないだろうから、今回の展示会なくしては不可能なミーティングもあるわけだ)そう思えば涙が出るほど効率がよい。

というわけで、展示会の使い方、でした。会いたい会社があるけどなかなか会えない、遠隔地の会社を一社だけ訪ねるほどの理由もない、という時に活用してみて下さい。

Stanford & Sports

Stanfordのスポーツ部門のトップのLeland氏が全米で最も優れた大学のスポーツ部門長に贈られるDirector’s Cupを受けるというニュース

Leland will accept the Directors’ Cup — formerly the Sears Cup, awarded to the most successful athletic department in the country — for the ninth consecutive year.

ということで9年連続受賞という偉業を達成したと。スタンフォードはスポーツが強い。でも、12年前に、Leland氏が着任したころは二流だったのだそうだ。(その前にもマッケンローなどがいたはずなのだが・・・・)Leland氏が達成したこととしては

• Won 41 NCAA championships, including an NCAA-record six in 1996-97.
• Reached the Rose Bowl in football and the Final Four in men’s basketball.
• Increased the number of scholarship athletes from 274 to 451.
• Spent $80 million to build or upgrade facilities, including the spectacular Avery Aquatic Center.

というようなことがあると。

アメリカの大学スポーツの気合の入り方はすごい。州立大学のUCですら、スポーツ推薦入学がある。公立大学といえば一律の入試で誰もが公平にというのが当たり前の日本から見ると不思議だが、アメリカでは公立といってもその資金源としては卒業生からの寄付が相当あるので、卒業生が誇りに思うようなスポーツチームがあることが大事だったりするのであろう。

ちなみに、スタンフォードはスポーツ選手に対するゲタの履かせ方が少ないので密かに有名である。多くの大学では花形スポーツ選手だったら誰でも合格できるくらいのゲタを履かせることが多い。しかし、スタンフォードのポリシーは厳しくて、成績のほうもかなりよくないと受からない。全国の高校からトップ選手を引っ張ってくるリクルーターは苦しんだのだが、それを逆に利用して、「頭がよくてスポーツもできる選手」にターゲットを絞ることでよい選手を集められるようになった。というのは、以前卒業生向けの雑誌の記事の受け売り。そういう人たちは、スポーツさえずば抜けていれば入れてしまう大学に行ってしまうと、後々まで馬鹿だと思われてしまう。スタンフォードであれば「スポーツができるだけじゃなくて、頭もいいんだ」と証明できるので、敢えてスタンフォードを選ぶ、というわけだ。タイガーウッズもスタンフォードで、私が通っていた頃はまだ彼も学生だった。スタンフォードのゴルフコースでは早朝に、バック9といって10番ホールからスタートする格安のプレーができるのだが、私の友人がプレーしたらタイガーウッズと一緒で腰が抜けそうだったと言っていた。別の知り合いは、ドライビングレンジでタイガーウッズと一緒で
「空き缶があったら、それに100発100中で入るくらい正確なショットだった」
とのことでした。

アメリカでNPOを作るということ

時々このBlogにも書いているが、JTPAというNPOを運営している。先週の金曜は1周年記念カクテルパーティーなどというものも開催、スタンフォードのNanotech Fabrication FacilityのDirectorである西教授に講演をお願いし、130人ほどの方に集まっていただいた。

さて、そのJTPAであるが、これまでIRS(アメリカの国税局)にNPOの申請をしていた。周りにNPOの申請をしたことのある人もおらず、全くもって手探りでやたらと遠回りをしつつあれこれと書類を準備、3月に申請して、先月IRSからさらに追加質問を受け、その結果を回答したところ、ついにNPOとして認可されたというレターがやってきた。なんというか、この喜びは受験に受かるのと似てる。やるべきことは全部やったが、だからといって認可されるとは限らず、「人事を尽くして天命を待つ」という感じだからか。

この申請を通じて学んだアメリカのNPOについて。

1)NPOの中に、税金を払うNPOと税金を払わないNPOがある
税金を払うほうのNPOは、「NPOです」と自己申告して会社登録をするだけ。簡単である。それでも、郵便代のディスカウントとか、ちょっとした特典がある。

税金を払わない方は大変だ。

アメリカの税金のシステムはやたらと厳しい。「逃れられないもの」という意味でDeath and Tax(死神と税金)という表現を使うが、税金は死神と同じくらい厳しいんである。そもそも高い。シリコンバレーだと、ごく普通の20代後半-30代前半の人でも、収入の4-5割は税金で持っていかれてしまうと思ってよい。日本にいると、なぜか日本の税金が高いと思いがちであるが実は安い。加えて、アメリカでは日本みたいに会社を作って親類を役員にして給料払って経費にしちゃうなんて言う技も許されない。さらに、大幅な脱税でつかまるとフロリダにある通称「Club Fed」(Club Medをもじったもの。FedはFederal=国の、の略で、国税の脱税というニュアンス)で余生を送ることとなる。

そういう厳しい税金を払わなくていいという認可をIRSがくれるわけだから、その審査は厳しくて当たり前なのだ。当然のことながら。あまりにも当たり前すぎて頭が痛い、という時に私の頭の中ではどこからか「当たり前田のクラッカー」という既に死に絶えた表現が沸いてきてしまうのだが、これが本当の「当たり前田のクラッカー」。
(注:昔、前田という会社がクラッカーを作っていたらしいです。詳細不明。知っている方教えてください。)

2)アメリカのNPOはIRSの認可マターである

NPOかどうかを認める権限はIRSにある。それ以外のお役所は関係ない。考えてみると、大変合理的である。NPOが存在することで被害を蒙るのは税収入が減るIRSだけだ。もちろん、NPOを隠れ蓑に非合法な活動をされては困るが、そういう時は警察が取り締まればよいのである。NPOがあったら最も困る人(IRS)がNPOを許可するというシンプルな制度。ちなみに、日本は各々のNPOの活動内容を管轄とする官庁の許認可マターとなり、よしんば2つの省庁にまたがるような活動をするNPOを設立しようとしてしまったりすると大変なことになる、と日本のとある財団の人から聞いた。

3)税金逃れができないように、という観点でのみ様々な規制がある

もちろん、アメリカでも昔はNPOを隠れ蓑に税金逃れを謀ろうとした人たちがいた。例えば、大金持ちが自己資産でNPOを設立、子孫代々をそのNPOの社員にして給料を払うことにすれば、相続税を払うことなく長期にわたって末裔に資産譲渡ができる。

そこで、そうした不正を防ぐため、次のような大きな二つのルールがある。
-多くの人から基金を集めないとならない:public supportルールというのだが、要は個人資産を基に作られたprivate supportではなく、一般の多くの人たちからお金を集めることが非常に重要。

-活動の対象はなるべく一般大衆でなければならない:多くの人から基金を集めたとしても、その寄付した人たちだけが活動のメリットを享受できるということだと、結局その人たちの税金逃れに使われてしまう。「メンバー制で会費(寄付)を払ったメンバーだけがメリットを享受できる」というのは駄目。ただし、「日本語を話せる人」とか「マイノリティーの女性」とか、そういう特定集団をターゲットとすることは構わない。

上記二つのルールを満たすとなると、基本的には教育活動か宗教活動が対象となる。JTPAは教育活動団体。IRSの申請をする中で「NPOとしてのJTPAのあるべき姿」なるものが浮かび上がってきたのだが、ポイントは「仲良しクラブ」では駄目で、「発展的かつ継続的に多くの人にメリットを享受し続けるグループ」でなければならないということ。

ちなみに、教育でも宗教でもないとなると、それは「税金を払うNPO」となる。業界団体などは普通税金を払うNPOだ。

Nanoってなんナノ・・・・

なんだかオヤジくさいダジャレタイトルであるが、ここ1年ほどのナノテクの将来性のあおりかたはひどいなぁ、という感慨を込めたもの。

例えばですね、Venture Reporterというところが去年の9月に出したInvesting Nanotechnology Startups between May 1, 2001 and Sept. 30, 2002というレポートがある。695ドルで買えるのだが、買うべからず。

ナノテクのベンチャーで増資を受けた会社のリストと、そうした会社の地理的分布、アプリケーション、増資ステージなどの集計結果なのだが、その多くがナノテクの会社ではないのだ。どうしてこんなことが、、、というくらいいい加減な会社の羅列である。50社ほどの「ナノテクベンチャー」のうち、本当にナノテクなのは半分もない。

例えば、かなりの会社はMEMS関連だ。MEMSはMicro Electro-mechanical Systemの略で、超小さいデバイス。車のエアバッグを起動させるための加速度計なんかによく使われているものだが、マイクロっていうくらいだから、スケールは小さいといってもマイクロレベル。ナノとは桁が違う。うーむ、、、このレポートを書いた人は、ナノというのが、mili, micro, nano, picoという順で1000分の一になっていく単位の一つであることを知っているのだろうか・・・。

しかし、まぁ、MEMS系はその上で動き回る物質の単位がナノレベル・ピコレベルのこともあるので百歩譲ってナノテクだとしよう。

しかし、MEMS以外にも例えばNanoMuscleという会社もリストに含まれているのだが、この会社のホームページのトップに行っただけで、これがナノテクでないことは一目瞭然である。圧電素子を使ったアクチュエータを作っている会社だが、そのデバイスは長さが27ミリもある。単に名前にナノがつくだけである。これがナノテクだったら、私という人間だって構成単位は分子だからナノテクだ。ということは私が「自分への投資」とか言ってエステに行ったらそれはナノテク投資なのか。

もっとひどいのではVordelという会社。ウェブサービスのセキュリティーの会社。ソフトウェアである。何がどうナノテクなのかどう頭をひねっても理由がわからない。

まぁ、しかし、世の中というのはえてしていい加減なものである。こういういい加減なレポートを元に「おお、ナノテクに7億ドル近い資金が流れ込んでいる」などというまことしやかな噂が流れ、それを元に大企業がナノテクに莫大な資金投下をする戦略を立ててしまったりして、それを元に本当にナノテクの時代がやってきたりしてしまったりすることもないとはいえない。

とはいうものの、やはり情報のユーザーとしては全て疑ってかかり、何事も自分の目できちんと検証するのが大切、というのが教訓でしょうか。

Martha Stewart

Martha Stewartがインサイダー取引疑惑でindict(インダイト、起訴)された。事の顛末はNew York Timesのeditorialによくまとまっている。ImClone社のガンの薬に、FDAの認可が降りないという知らせを受けて、株を売り、45,000ドル売り抜けたというもの。たったの500万円ちょっと。個人資産数百億円もあるというのに、、、、。

Martha Stewartはqueen of perfect household。料理からインテリア、おもてなしなど、生活に関する完璧さを追求してMartha Stewart Living Omnimediaという大事業を打ち立てた人である。モデルからスタートして、次は株のセールス、その後センスのよいケータリングビジネスをはじめ、そこから現在の姿にまで事業を拡大した。テレビ、雑誌、通販、店舗を全て自分の名前のブランドで展開、それまでいかなる大メディアでも実現し得なかった異なるメディアの相乗効果を成功させた。

ところが、ここ数年その嫌な性格ぶりが執拗に攻撃されていて、例えばMartha Inc.という悪意に満ち満ちた本も去年出版された。ひどい本である。読んでいて、こんな鮫のような作者にネタとして利用されるMartha Stewartに心から同情した。

例えば、Martha Stewartがあちこちを飛び回って勢力的に仕事をしているのを称して「Gal-on-the-go」という表現が何度も出てくる。馬鹿にしているではないか。Martha Stewartは若々しく見えるが、もう60台半ば。例えば、Jack WelchとかAndy Groveが同じように飛び回ったとして「Boy-on-the-go」とか「Kid-on-the-go」と言うか。言わないはずだ。加えて、作者はMartha Stewartの近所に住んでいるらしいのだが、「自分が見に行って余りにぼろぼろなので買うのをやめた家を、その後Martha Stewartが買った」なんて自慢も出てくる。(その家は、その後Martha Stewartが丹念にリノベーションをして一世を風靡した邸宅となる)

極めつけは、Martha StewartがMartha Stewart Livingという雑誌を始めた頃の話。出版社側は、Marthaの名前を借りるだけのつもりで契約したのだが、Martha Stewartは紙面決定の全てのミーティングに出てきて、内容はもちろんのこと、写真の一つ一つ、レイアウトの隅々まで口出しをし、メンバーを辟易させた、とある。しかし、自分の名前を冠した以上、ディテールに気を使うのは素晴らしいことではないのか。Martha Stewartの鉄壁のディテールで、名前を借りるだけのつもりだった出版社が流れ作業で作るより、ずっとずっとレベルの高いものになったのは、その後の成功に証明されている。(最近はちょっと苦戦しているが)

書いたのは男性なのだが、もう明らかにMartha Stewartの成功に対する僻みと感じられる。一読して、「だから嫉妬深い男はやだねー」と思ってしまったのだが、こういう風に一般化するのは男性に対するセクハラであるな。

ちなみに、Martha Stewart Livingは細やかな手芸・料理などなど、決して普通のアメリカ人ができそうもない手の込んだ芸当がこれでもか、これでもかと出てくる。そのパロディーで、Is Martha Stuart Living?とかMartha Stuart’s Better Than You at Entertainingという本も出てて、こちらはただもうひたすらおかしい。「お客様が来たら、プールの水の上を歩いておもてなししましょう」みたいな、決してできないことが、これでもか、とばかりでてきます。

アカデミアとビジネス

とある仕事でスタンフォードのPh.D.の人と一緒に働く機会があった。

私の専門はハイテクのビジネスディベロップメントである。会社と会社を繋げるのが仕事。しかし、もちろん対象となる領域の技術を理解した上での競合環境の分析ができなければお話にならないので、それぞれの分野の専門家の方とチームを組んで働くことになる。特に車で5分のスタンフォード大学の研究者の方々は素晴らしいリソース。通常はprofessorと名のつく方に仕事を依頼することが多い。アカデミアでもジュニアであればあるほど、非常に深いが狭い専門領域のことしか見ておらず、またビジネスの世界とも縁遠いので、結果的にそれなりに経験を積んだ人にお願いすることが多い。よって、アカデミアとしてはジュニアもジュニアなPh.D.に仕事をお願いするのは大変まれなケース。

今回のPh.D.氏は、最初に会って話をした時に、かなりの数のベンチャーや大企業を知っていたので驚いてしまった。聞けば3年前にビジネススクールのアントレプレナーシップのクラスを取って、MBAの生徒とチームを組んでビジネスプランを書き、その時に競合調査として世の中のスタートアップを調べて興味を持ち、それ以降継続的にベンチャー事情をフォローしてきたのだという。

ちょうど知り合いがMITのPh.D.数名と一緒に仕事をしているのだが、
「驚くほど何もビジネスの世界を知らない」
といって頭を抱えていた。その知り合いは、
「Ph.D.とビジネスの話をするなんて時間の無駄だ。調査を依頼するなら時給10ドルくらいの価値しかないぞ」
とボロクソに言っていたが、決してそんなことはなかった。

これは、スタンフォードとMITの違いを象徴した出来事といえよう。ビジネスとアカデミアが近くて、早くからビジネスの世界と関係を持ちつつアカデミアの道を進む人が多いのがスタンフォードの特徴だが、MITでは「教授は神様、Ph.D.等々は平伏して仕えるしもべ、学問追求以外は邪道」という感じが未だあるらしい。

ちなみにアメリカで理系のトップといえばカリフォルニア工科大学かMITである。(細かくいうと、学科によっては違う大学が秀でているものもあるが、大雑把に言えばこの二つ。)
そのMIT出身者が
「スタンフォードの生徒で超一流なのは数えるほどしかいないが、『やればできる』とおだてられて、いい気になって起業にトライする。そのトライの母数が多いから成功例がたくさんあるだけだ」
というようなことをぶつくさと話していることもあるが、起業の秘訣は「質も大切だけど数はもっと大切」ということ。以前のエントリーで「マクロ予測に比べてミクロ予測は難しい、なぜならミクロは偶発要因に大きく左右されるから」ということを書いたが、起業はまさにミクロ中のミクロ。人事を尽くしても天命で吹き飛ばされてしまうことがたくさんある。だから、とにかくたくさんのトライが起こることが大切。

スタンフォードの「やればできる」(本当はその後に「かも」が入るのだが・・・・)という雰囲気は、やっぱり重要なシリコンバレーのファクターと言えるだろう。

ネットワーク(人)

最近なんだか公私ともどもバタバタしている。仕事では複数まとめて進展があったり。運営しているNPOでも、今週の金曜は設立1周年記念カクテルパーティーである。「カクテル」というところがポイントで、ちょっとおしゃれだったりするのだが、いろいろと準備することがある。NPO関連では、IRS(国税)にも追加書類を提出することになって、いろいろドキュメントをそろえたりもした。こういう時に限って日本から知人が立て続けにやってきたり、昔からの友人がスキューバダイビングを始めて我が家の水中写真を見に来るのでディナーを準備することになったり、ニューヨークから知り合いが引っ越してきたり、とあれこれある。運がついてくるときを「男時」、引いていくときを「女時」というらしいが、きっと「男時」なんだろう。運が乗っているときにいろいろと仕掛けないと・・・なんて思うとさらに忙しくなってしまうのだが。

さて、いろいろと旧交を温めたり新たな知り合いとであったりと動きの激しい昨今なのだが、ここシリコンバレーは超がつくネットワーク社会である。ここでネットワークとは「仕事で役に立つ人脈」を指す。一緒に遊びに行って楽しいのは友達で、これはネットワークではない。もちろん、ネットワークの中から友達が誕生することもあるし、逆もある。でも、一般的にはしっかり境界線がある。

ネットワーク構築にはいろいろな手段があるのだが、かなり有効なのが同じ会社に働いていた人たちの繋がり。元SUN、とか元Apple、といった人たちがメーリングリストを持っていたり定期的に集まっていたりする。私が昔働いていたことのあるマッキンゼーでもベイエリアだけを対象としていろいろとイベントがあるのだが、この間始めて顔を出してきた。元サンフランシスコオフィスのディレクターが引退してはじめたNapaの農場Long Meadow Ranchでのピクニックランチ。100人以上が集まったのだが、私にとって直接的に仕事に役に立つ人とも知り合うことができ、早速後日ミーティングをセットアップ。有効かつ楽しい1日だったのだが、元ディレクター氏の精力的引退暮らしも印象的。農場は
■有機栽培のワイナリー
■オリーブオイル
■牛
■馬
■有機野菜
といったものを作っていて広大。それをせっせと運営している。週末は自らファーマーズマーケットに野菜を持っていって売ることもあるという。ワイナリーツアーでは、力が入ったのかなんと2時間に及ぶ説明つきで、昼食前だった私は空腹でふらふらになってしまった。
「有機栽培の葡萄は、コスト度外視ではビジネスとして成り立たない。一番大切なのは適切なコストでの顧客満足の最大化。」
みたいなコンサルタントトークも満載で、
「うーむ、人間やはり何十年もコンサルタントをやっていると、骨の髄までそうなるんだなぁ」
と感動した。

ちなみに、マッキンゼーという会社はアメリカではやたらといい人がたくさんいる会社である。人格温厚で人当たりがいい、にこやかな人がいっぱいいるのだ。客商売だからだろうか。日本のマッキンゼーとはイメージが随分違う。。。などというと、モノ言えば唇寒し・・ですね。

なお、真偽の程は定かでないのだが、マイクロソフトを辞めた人の集まりは、参加者(マイクロソフト退職者)から会費を取ると聞いた。本当だとすれば、恐るべし、マイクロソフト、である。(もちろん普通は無料です)

ルックスはビジネスと関係あるか?

この間パーティーで話していて「見た目は出世にどれくらい役立つか」という話題になった。結論から言うと「結構役に立つ」。特に男性では背が高いことが有利じゃないか、という雑談に。ここで背が高いとは、185センチ超の見るからに大きい人のこと。会った瞬間に「縮尺が違う」と思わせるタイプ。

私のビジネススクールの同級生でも身長2メーター近くて(もしかしたらもっとあるのかもしれない)、世の中を3分割したらトップ3分の1に入るであろう顔かたちのAshleyは確かにめきめき出世してSiebelのVPになった。同級生で唯一起業した会社をIPOまで持っていったZiaはPeople誌の「アメリカで最も素敵な独身男性」の一人に選ばれた。そもそも、ビジネススクールに来てるアメリカ人って、見た目のいい人が多いのだが・・・。それ以外でも「アメリカの男子では、10代半ばでの身長と、大人になってからの収入には相関関係がある(10代の頃背が高い方が、大人になってから収入が高い)」という調査結果を見たこともある。この原因として、

1)そもそも、頭のいい人・経済的に成功している人はルックスのよい伴侶を選ぶので、才色兼備な子供が生まれる確率が高い

というpolitically incorrectな説を唱える人が時々いるのだが(特に日本人でこの説を言う人が多い。)、

2)見た目がよいということで子供の頃からなにかにつけて自信があり、より大きなことにチャンレンジして早く成功していくから

という説もある。

Economistの5月22日号にはThe right to be beautifulThe Beauty Businessという記事が載っている。化粧から整形手術までのBeauty Businessについてのものだが、有料コンテンツなので、面白いところだけピックアップすると・・・・

1)good-looking women with a flat tyre get rescued first
まぁこれはそうなんだろうなぁ・・・・

2)when Barry Harper of London Guildhall University looked at 11,000 British 33-year-olds, he found that the pay penalty for unattractiveness was around 15% for men and 11% for women.
33歳のイギリス人11000人の調査では、魅力的でない男は魅力的な男より15%収入が低いのだそうだ。女性では、その数字は11%ということで男の方が差が大きい。意外だが、これは恐らく男の方がそもそも収入が高いので、差も開きやすいせいではないか。(Economistはそこまで言及していない)

3)A baby of three months will smile longer at a face judged by adults to be “attractive”.

私は赤ちゃんに泣かれることが多いのだが、そこには深い理由があるのだろうか。うーむ。