なぜワクチンを受けた方がいいのか

Photo by Hakan Nural on Unsplash

大統領選も新コロナウィルスでもどうしてフェイクニュースがこんなに蔓延しているんだろう、と悩む今日この頃です。皆さんいかがお過ごしですか。

どうも「フェイクニュースをいったん信じてしまった人の決心を変えるのは難しい」ということらしい、というのがよくわかりましたので、なるべく早くに正しい情報があるのが必要なのではないかと思い、以下Covid-19についての各種情報をソース付きでまとめてみました。信用度の高い情報源(ロンドンインペリアルカレッジ、Nature等)へのリンクもあちこちに付けたので、適宜ご利用いただき是非正しい情報を広げてください。よろしくお願いします。

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「新型コロナ、インフルエンザと変わらないんじゃないの?」

変わります。死亡率はそれほど変わらないかもしれないが感染率が桁違いに高い。

コロナ対策のおかげでインフルエンザは激減している。日本での去年の8月31日から1月3日までの累積患者数はその前の年の0.1%未満。既にインフルエンザシーズンが終わっている南半球でも去年のインフルエンザは0.2%くらい。つまり、インフルエンザがほとんど撲滅できるほど人々が行動を変えても、Covid-19はまだ増え続けている。

・・だし、インフルエンザと変わらなければ世界の病院がパンクしたりしない。参考:

「でもあんまり死んで無い日本人はファクターXがあって重症化しない特別な民族なんでしょ?」

日本人は「かかった場合の死亡率」が低いのではなく、「あまりかかっていない」だけ。今までのデータを見る限り。

陽性になった人のうち死んだ人の率は世界各国の真ん中くらい。「ちゃんと検査をしていないから実は見つかっていないかかっている人が大量にいる」説も、もしそれが本当だったら検査した人の陽性率がものすごく高くなるはずなのだが実際には世界でも低い方。

このグラフは1月3日時点での世界の(去年初めからの)「累積検査陽性率」を横軸、「累積死亡率」を縦軸にしている。検査陽性率が高いのは検査が足りていない証拠で、検査数を増やせばもっと陽性者がでるはず。WHOでは5%以下を推奨している。縦軸の「死亡率」はCFR(Case Fatality Rate)で「陽性と診断された人」を分母に、「そのうち死亡した人」を分子に計算される。こうしてみると、日本は陽性率は5%をちょっと切っていてとりあえずWHOおすすめ圏内。同じくらいの陽性率の国々と比べるとCFRはちょうど真ん中くらいで、「普通に死ぬ」ということがわかる。(データソースはWorldMeterで、グラフはGoogle Data Studioで作成。こちらのリンク先で、各点の上にカーソルを置くとそれがどこの国か表示されます)。

また、日本は老人ホームで働く皆さんがものすごく頑張って老人を守っている、というのもある。2020年前半の欧米は老人ホーム入居者が死者の半分以上を占める国が多かった。カリフォルニアのCovid-19死亡者も、今は老人ホームにいる人の死亡率は35%弱まで減ったが当初は50%をこしていた。

「でも日本は普通に旅行したりお店も開いてたのに欧米ほど感染してないからやっぱり日本人優良民族」

優良なのは遺伝体質ではなく社会規範・・・というかマスクしてる。「マスクなんてばかばかしい」と思っている人でもとりあえず人前では世間体上マスクをする国と、コストコのレジの前でマスクをしろと言ってきた店の人に抵抗するために大の大人が床に寝そべって反抗するアメリカ国。昨日のアラバマではアメフト優勝を祝う人が大量に集結。検査陽性率43%ですが。

「終わらないパンデミックはないのだから、ワクチンなんか受けなくてもいつかは終わるでしょ?」

  • 黒死病:1346-1353  → 全ヨーロッパの人口の30-60%が死亡して終了
  • スペイン風邪:1918-1920 → 世界の全人口の1/3が罹患、少なくとも5000万人が死亡して終了 (CDC “1918 Pandemic”

確かにどちらも終わったんですけど、これでいいのか?

疫学の専門家は「ワクチンなしで集団免疫獲得は不可能」と言っている。ここでの専門家とは「その辺のお医者さん」ではなく「疫学者」。おなじみドクターファウチ(アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長)も、世界の病原菌遺伝子の変異を収集・公開するオープンソースのNextstrainを作ったワシントン大学准教授のTrevor Bedfordも言っている。ファウチは「集団免疫が成立するのは人口の6-9割」と12月に言っている。9割ってほぼ全員じゃん。

「ワクチンの効果もよくわからないんでしょ?」

ものすごーい効果あります。

ファイザーのワクチンは、11月18日時点で43,661人が治験に参加、本人には伝えずに、半分の人はワクチンを接種、残りはワクチン風(だけどワクチンではないもの)を接種、本物のワクチンを受けた人では8人しか発病しなかったが、偽物の方は162人が発病。年齢、性別、人種に関わりなく95%の効果があった。(ファイザー発表

モデルナも3万人治験して、95%弱の効果があり、かつワクチン接種した人で重症化した人はゼロという素晴らしい結果が出ている。こちらも年齢、性別、人種に関わりなく良い結果が出ている。(モデルナ発表

どちらももう圧倒的な効果です。

例えば、毎年のインフルエンザのワクチンはご存知の通り当たり外れがあり、ダメな年は20%くらい、よい年でもせいぜい60%くらいしか効果がない

上記の2社のワクチンは、mRNAという新しい技術を使っているが、両方合わせて7万人に接種して今のところ安全性も高い。

「でも5年後、10年後に何か悪影響があるかもしれないし・・・」

こればかりはなんとも言えないが、原理的にはほぼないとされている。(ウィルスの一部だけを作る設計図であるところの物質を体内に入れるだけ)。

しかも今からもっとやばくなる可能性が大きいんですよ・・・・

今、世界は、イギリス変異株という恐ろしい新顔に制覇されるリスクを抱えている。これは、今まで月に1ー2個しか変異してこなかったウィルスの遺伝子がなんと17個も一度に変異したという「超進化」を遂げていて、今までより感染率が大幅にアップすると観測されている。

具体的には、R (一人の人が感染させる人の数)が 0.3 – 0.7 高まるとされている。( Imperial College London Report 42 )

ちなみに、R=1.1、みたいな数字をよく見ると思うのだが、これは、たいしたことがないように見えてとても怖い。サラ金でトイチと言えば 10日で1割の利子が複利でついていく恐ろしい借金である。しかし、Covid-19はだいたい一人の人が別の人にうつす間隔が 5-7 日。つまり、5-7日で1割増えていくということ。トイチならぬゴイチである。

でたとえば、今、毎日1000人新しい感染者が出ているとして、Rが 1.1 という状態が続くと2ヶ月後には毎日 2600 人の患者が出ることになる。

してこのRが0.5あがって1.6になったとるすと、2ヶ月後に発生する毎日の患者数はなんと 10 万人になるのです。

というわけでイギリス変異株が流行ったら大変なことになります。(UK変異株の世界での検出件数まとめ

↑映画ContagionでウィルスのRが増加したところ

以上の理由により、皆さん、ワクチンが接種できるようになったら是非ワクチンを受けてください。

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