日本の未来は明るい

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10年ほど前に日本はもう立ち直れないと思う、 というブログを書いて炎上した。

当時私が考えた2030年の日本を抜粋すると、

  • ベストケース:一世を風靡した時代の力は面影もなく、国内経済に活力はないが、飯うま・割と多くの人がそれなりの生活を送れ、海外からの観光客は喜んで来る(フランス型)
  • ベースケース:貧富の差は激しく、一部の著しい金持ちと、未来に希望を持てない多くの貧困層に分離、金持ちは誘拐を恐れて暮らす(アルゼンチン型。あの国も19世紀終わり頃には「新たな世界の中核を担うのはアメリカかアルゼンチンか、と言われたほどだったんですけど・・・・)
  • ワーストケース:閉塞感と絶望と貧困に苛まされる層が増加、右傾化・極端で独りよがりな国粋主義の台頭を促す。

(「飯うま」は「ご飯が美味しい」という意味で書いたが、「他人の不幸を笑う」という意味だと教えていただきました。)

当時は「そんなはずないだろう!!」「思ってても普通言わないだろう」という批判をたくさんいただいた。

「常に最悪のことを考える」のが趣味のワタクシとしては、「ワーストケース」が一番ありえると思っていたのだが、ベストケースにしても「フランスだって大変だ」というコメントもあった。「立ち直れない中のベストケース」なのだから大変でしかるべきな気はしたのだが。

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ところが最近は「もう先行き暗いよね」という人が多くなってしまった。

基礎科学研究の低迷や年金問題も暗さの背景にある。(ちなみに年金問題が最近になって明るみになった理由として「出生率が予測より悪かったから」というのもどこかで読んだが、出生率は1990年代から「今は低いけど数年後に V 字回復」 的な摩訶不思議な予測がされていて「そんなありえない予測をなぜするのだろうか」といつも思っていたが、出生率が増えないと年金が足りなくなるのがバレるからだったのか、と日本国家公務員の皆さんの細やかさに感銘を受けている。)

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しかし2年ほど前に急に気が変わった

「もう10〜20年すると、日本は開放感があって成長する良い国になるんじゃないか」

という感がひしひしとするようになったのだ。

その一番大きい理由は、いつのまにか日本にハイエンドな移民が増えているということ。 

大企業の海外または新事業担当などの部署の20−30代の5人から10人に1人ぐらいは名前が日本人でない人がいる。 そういう人たちは小さな頃から、もしくは大学から日本にいて、日本語がネイティブレベル。さらに英語もできてトリリンガルな人も多い。

10年くらい前に会った「東大工学部で一番人気」という研究室の院生は、既に半分くらい中国人であった。中には北京の高校時代からの同級生というグループもいて、その高校には「日本に進学する人のためのコース」があるとのことで日本語は完璧。

Facebookに「日本で育った中国系女子でアメリカ留学したい人」を対象にしたグループがあるのを聞いて驚いたのも数年前のこと。

そういう彼らは言葉や物腰などのインターフェイスは日本人だし、日本の組織がどう動くかということもよくわかっている。 しかし違う文化も分かっているので、どこまでが「仕方がない」ことで、どこからが「変えられること」なのか、日本で当たり前に育った日本人とは違う基準を持っている。

そしてそれはとても良いことだ。

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企業にダイバーシティが必要だ、と言われるのは、「可哀想な人をちゃんと使ってあげましょう」ということではなく、ダイバーシティによってアイディアの幅が広がる、人材の母集団が増えることでより優秀な人が集められるようになる、といったことで業績が向上するから。「何が変えられるか」という判断が違う人たちが増えるのももちろんダイバーシティである。

ボードメンバーに女性がいる会社は業績が高いといった最近のマネジメント系の研究も複数あるが、「歴史上栄えた文明は、アジアも含め、移民比率の高い場所で起こった」という本もあった(のだが、どの本かわからなくなってしまった。3年くらい前にKara SwisherがRecodeポッドキャストで著者をインタビューしていたのだが見つけ出せない。知ってる方は教えてください。)

ダイバーシティの一環として外国人が増えることは良いことなのだが、社内公用語を英語化するといった大胆な試みの多くは不発に終わっているようだ。

しかし、自ら努力して日本のインターフェイスを身につけてくれる外国人がたくさん登場、さらに普通の日本人のように就職して淡々と出世しつつある。

そうした彼らが、この先さらに増え、意思決定をする立場にもつくようになってくると、色々と素晴らしいことが起こるのではないかと思うのであった。

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「日本には移民などいない」というみなさんは自分の周りをよく観察して欲しい。八割方外国人の都心のコンビニ店員ばかりではなく、企業の若手エリート層にもちらほらいるのに気付くのではないでしょうか。

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