Facebookで質問されたので、アメリカの給与相場の情報ソースをいくつか列挙。
2007年にサンフランシスコの対岸にある風光明媚なサウサリートで起業したGlassdoorのサイト。ユーザが自分の会社やCEOのレビューを投稿できるUGC型で、これまでに6百万件、50万社の情報が集まっている。15−30%のレビューはコンテンツ評価チームが拒否することでクオリティを保っている、とGlassdoorは言っている。会社側はフィーを払ってオフィシャルな情報を提供したり求人広告を出すことができる。これまでに90億円超を調達。
で、このglassdoorのサイトで、Salariesをクリックし、software engineer、San Francisco、などと入れると全国平均とその都市の属するエリアの平均給与が出てくる。
こんな感じ↓で、ソフトウェアエンジニアだと全国平均9万ドル、ベイエリア平均10万ドル強ですね。その下に個別企業の数字も出てくるが、たとえばGoogleだと4575件のユーザ報告があり、$86,000 – $223,000というレンジとなっている。
ただし役職別に違う給与なので、たとえばsenior software engineerにすると全国平均10万ドル強、ベイエリア平均12万ドル強になる。ちょっとブラウズすると「登録しないともう見せないよ」というメッセージが出るが、登録は無料なので適当にどうぞ。
アメリカの一般的な就労ビザをとるには、その職にふさわしい水準の給与を払う必要がある。低賃金な外国人労働者が流入すると国民の職が奪われる。それは困るので、そういう人にはビザを出さない。そして、「その職にふさわしい水準の給与」を掲載しているのがこのサイトである。
検索は、職種とエリアのかけ算となる。職種はドロップダウンで選べるようになっているが、あまりにも長いので、SOCコード番号というのを調べた方が楽。コード番号は労働省のサイトで検索できる。
で、例えばSan Jose-Sunnyvale-Santa Claraエリアで、Software Developers, Systems Software(15-1134)で検索するとこうなる。
レベル1で10万ドル弱、レベル4で15万ドル弱となっている。新卒から高度な役職の人まで、という感じで、それぞれこれより高い給料を払わないとビザがでません。
(どうでもいいけど、このサイト、ユタ州が国の労働省の下請けで作って運営してるらしい。ユタ州、暇なのか?)
AngelListはエンジェル投資家とベンチャーを結ぶハイエンドな出会い系サイト。AngelList自身もこれまでに約24億円調達したベンチャーだ。
サイト上には求人ページもあり、求人企業はかなり細かく給与なども指定できるようになっている。(アメリカ的には珍しいが、エンジェルから投資を集めているアーリーステージのベンチャーなので、「一体どれくらい給料をくれるのか」の相場観がイマイチ不明なせいと思われる)。サラリーに加えてストックオプションも記入できるようになっているのが特徴。ここで集まったデータをまとめたサラリーのページでは、フィルターを設定して平均値を見ることができる。
アメリカだけでなく、インドやヨーロッパも入っているので地域別に見るべし。
例えば職種=Developer、地域=Silicon Valley、スキル=Pythonだとこうなる。
370社あって、平均給与$111,000。さらに右上のEquityを選ぶと、もらえるオプションのレンジが出てくる。上記と同じフィルタのままEquityを見るとこのような分布になっている。
0.5-0.9%にピークがある。これは、「会社の株全体の何パーセントをオプションとしてもらえるか」ということ。ストックオプションは全員分足しても会社の15%とかに押さえたいところなので、0.5%とか0.9%という数字は結構大きい。つまり、アーリーステージのベンチャーならではの手厚いストックオプションということ。
なお、上記の検索で地域だけバンガロールにすると平均給与は$11,000。こういう情報が誰でも見られるようになって、グローバルな流動化が促進するわけですね。
こちらはDee DiPietroという人がやっているベンチャー企業給与+ストックオプションデータベース。VC投資を受けたベンチャー1000社の給与データを収集している。有料、かつ主にVPレベルより上の人の情報がメインだがその下のレベルの社員の分もある。
ストックオプションに関しては、事業計画と採用予定をベースに、IPOまでの間どの程度のオプションを出していくべきかの予測表をカスタムで作ってくれるコンサルティングサービスも同社で提供している。アメリカのベンチャーは、上場するときには社員数千人規模になっているのが当たり前で、ストックオプションを適当に出していくと足りなくなり頭を抱えることになる。なので、それなりの規模になったらこのサービス、役に立ちます。(要はエクセルのマクロが組んであって、適当に変数を入れるだけなのだが、その元となるパラメータをデータとして持っているのが強み。異なる職種・役職でのオプション発行数の比率バランスとか。)日本の会社でも使おうと思えば使える。
以上、お役に立てば光栄でございます。他のソースがあれば教えてください。
H-1Bビザに関するデータセンターがユタ州で請け負われているのは、H-1Bビザの年間認可数の上限の引上げを提案した、2000年の「21世紀の米国の競争力法」の発議者が、ユタ州選出のハッチ・オリン氏(Orrin Hatch)であったからだと思います。ハッチ上院議員は、当時、移民政策を扱う上院司法委員会の委員長でもあり、共和党の大物政治家です。彼は熱心なH-1Bビザ拡大の支持者でもありましたが、同時に地元(国内)の雇用創出の配慮を示すため、選出のユタ州にH-1Bビザに関するデータの管理が委託されたのではないかと考えられます。
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なるほど〜。win-winな「地元雇用創出」なのですね!
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