もう一回地理把握の話

Photo Aug 16, 3 51 17 PM

前回前々回と方向感覚についていろいろな人に話を聞いた結果、私的には大変驚いた発見があった。それは、「ストリートビューで空間を認知する方向感覚の良い人がいる」という発見です。

私は今まで、「方向感覚が身に付く」というのは、「自分の位置を常時マップ上で把握できるようになること」だと思っていた。

知らない場所では誰だって五里霧中である。しかし、そこから周辺状況を把握するにつれマップができてきて、その後は空間認知がマップビューになる、と思っていた。

前回の図で言えば、方向感覚が身に付く=赤い線の進化、だと思っていた。

Screen Shot 2012-08-19 at 4.56.04 PM

ところが、今回いろいろな人の感覚を聞いて、青色の進化がある、ということがわかった。つまり、空間把握の基本はストリートビューのままで地理把握が精密になっていくわけですね。

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最初のエントリーで、私がダンナに「101側」と説明したことを

「相手の知っているもので説明できないのは不適切である」

と指摘した方が複数いた。

でも、私も、普段から「101側」「皇居側」を連発しているわけではありません。マップビュー的空間把握する人は当然ストリートビュー的な視点も併せ持っているので、ストリートビュー的な説明は誰でもわかる万能な説明。私も普段は目に見えるもので説明してます。

なのになぜダンナに、目に見えない遠くの「101側」と言ったのか。これについてはちょっと言い訳させてほしい。

まず、ダンナと私は結婚して10年以上。もちろん一緒に暮らしている。つまり、行動圏が一緒な訳です。

さらに、彼の最初の職は人工衛星の設計だった。それもGPSの発信器側の設計。

そのせいかどうか知らないが、彼は「GPSを使うこと」「GPSの画面を眺めること」がすごく好きだ。

最初にGPSを入手したときは、どんなに良く知っている場所でもナビを使って移動していた。4つしか角を曲がらずにたどりつく映画館とかでも。

ポータブルなGPSを入手したときは、飛行機ではいそいそと窓側に座って、飛行航路をじっとGPS画面で眺めていた。(←ホントです)

日本に遊びにいったときも、銀座で晴海通りをまっすぐ歩きながらじっとGPS画面を見ていた。

「まっすぐ歩くだけなのに、GPS画面見て何が楽しいのか?」

と不思議に思ったものである。時々にやっと笑ったりしていて、「もしかしてGPSの電波を脳内受信してたりして」という疑惑も。

そして、もちろん、ダンナは「地図が読める人」である。何の問題もありません。

そんなダンナが、行き慣れた空港(しかも家から車で15分)がどういう風に地図上に鎮座しているか認識してないなんて夢にも思わなかったのであります。

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さて、昨日勇気を出してさりげなくダンナに

「サンノゼ空港、101側と280側はわからないって言ってたけど、なんだったらわかるのか」

と聞いてみた。

なんで勇気が必要かというと、経験上、ストリートビュー的な人にマップビュー的な認識のなさを指摘すると怒りをかうことがあるからである。「知る必要の無いトリビア的無駄な知識をひけらかす嫌な人」という感じ?「どうしてこんなこともわからないのか」と、上から目線で言われている感じがするのかも。マップビューは俯瞰図なので本当に「上から目線」ではある。

でも、アンケートでも何人もの方が言っていたように「わからないということがわからない」という素朴な疑問なんですが。

ダンナの答えは、

「空港の前の道のnear endとfar end」

であった。

近い側と遠い側ですと?

どこから見て近いのか?

自宅からか?

だったら、空港の前の長細い道と我が家を結ぶとほぼ二等辺三角形チックなので、どちらが近いか遠いかはとっさにわからないぞ。

・・・ダンナいわく

「飛行場の周りは通常一方通行である。だから車の進入経路で最初となる端がnear end。最後になるところがfar end」

だそうだ。

うーむ。

時間的な「最初」「最後」に、「near」「far」という空間的な表現を当てはめるとは大胆不敵なり。

しかしこれをtweetしたところ、数名の方から「near endとfar endだったらわかる」というコメントがありました。

そ、そ、そ、そうなんだ。

マップビュー的空間把握の世界では、「near」「far」はある起点から見た距離を示す言葉なので、「一方通行で最初に登場するかどうか」をこの表現で表すことはまずないと思われ。

相手の認知する世界を理解して、それに則ったわかりやすい説明をするのがいかに難しいか、よくわかりました。

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というわけで、「方向感覚がよい人」には「マップビュー型」と「ストリートビュー型」の2種類があるという話でした。

繰り返しになりますが、うちのダンナ、「ストリートビュー型」ですが、何の問題も無く地図が読めます。くるくる回したりもしない。普段の地理認識もしっかりしている。「ストリートビューで空間認知をする方向感覚の良い人」なわけです。

ちなみに冒頭の写真はLos Altos市役所の駐車場にある「姉妹都市」の方向の矢印。この辺は主要道路が斜め、しかもそこからさらに市役所のある道路が斜めに交差しているという、私の東西南北の認識がずれまくってるところで、私の脳内で「北西」だと思う方向にオーストラリアがあってびっくりした(笑)。「空間認知がマップビューだからといって方向感覚がよいわけではい」という証明でございます。

 

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もう一回地理把握の話」への2件のフィードバック

  1. この記事、千賀さんと旦那さんの仲良い感じが伝わってきて、ほのぼの♪ 私はストリートビューなせいか、near end とfar endと言われたら、”You mean as I am driving toward the airport from the highway, right?” とか答えて、分かった気になるかな。あるいはどっちにしろ、地理的なことを言葉で説明されるのは苦手だから、最初から駐車場に来て、というか、自分で地図を見ていくかも。
    いずれにしても、空港でのピックアップって、車も人も混んでるから大変ですよね。私も一度彼氏にサンフランシスコ空港に迎えに来てもらったのに、会えなかったことがあります。

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  2. 日本で暮らしている日本人です。
    比較的、東西南北で感じています。が、神奈川県の海のそばで育ったせいか、海が南、と(体の感覚で)なっていて、福島の海側に住んでいたときには東が海で体がいつもものすごく混乱していました。
    カリフォルニアも混乱しますし、半島のようにどちらも海というところも常に補正してるような感じがします。
    今は東京で、海がないので(東京湾は体は海と認識していない模様)、不便ですが混乱はしてないです。

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