シリコンバレー的に「無駄に巨額な増資」とはいくらからか

最近のウェブ系ベンチャーシーンでの流行語の一つがリーンスタートアップ。lean=贅肉のない、という感じで、「無駄に大金を浪費せずに最低限のリソースでしなやかに事業を立ち上げよう」と。

しかし、こういうのは実は危険な表現なのですな。「ベンチャーを立ち上げる際の無駄な大金」のイメージが人によって大変違うので。

シリコンバレー的「大金」のイメージを掴むために役立つのが、Netscapeを立ち上げたMarc AndreessenのLoud Cloudがどれくらい増資して、どれくらいガシガシとそれを使ったか、の実録。


The Case for the Fat Start-up

  • September 1999: Loudcloud founded
  • November 1999: Loudcloud raises $21 million at a $45 million
    pre-money valuation (Benchmark Capital is the lead investor)
  • January 2000: Loudcloud borrows $45 million from Morgan Stanley
    (MS)
  • June 2000: Loudcloud raises $120M at a $700M pre-money valuation
  • March 2001: Loudcloud goes public on Nasdaq, raises $160 million
    and is valued in the public markets at approximately $480 million. Total
    funds raised to this point: $346 million.
  • August 2002: Loudcloud sells the managed services business to EDS
    (this was the only actual business we had at the time) for $63.5 million
    and becomes a software company (and changes its name to Opsware).
  • September 2002: Opsware trades for 35 cents per share or
    approximately a $28 million market cap.
  • September 2007: Hewlett-Packard (HPQ) acquires Opsware for $1.6
    billion

以下、$1 millionを1億円と換算して書きます。

1999年9月に起業、11月に21億円増資、翌2000年1月に45億円借入れ、6月に120億円増資、2001年3月上場160億円調達、2002年8月に事業の一部を64億円で売却、2007年9月に会社を1600億円で売却。

一体全体どうやってそんな大金を使うのかということで、月あたりの使った費用:

  • Apr 2001:  $39 million
  • Jul 2001:  $35 million
  • Oct 2001:  $29 million
  • Jan 2002:  $25 million
  • Apr 2002:  $22 million
  • Jul 2002:  $19.4 million

覚えてますか。2001年~2002年といえば、ITバブル崩壊後の氷河期。シリコンバレーは「この世の終わり」みたいに落ち込んでいた時期です。

今回の金融危機なんてそれにくらべればどうってことない(シリコンバレー的には)。

そのどん底で上場して、毎月ガンガン金を使う。

これは、シリコンバレー的にも瞠目のジャブジャブ大金ではあるのですが、そういう会社は今でも実在します。

FacebookとかZyngaとかはメジャーだと思いますが、それ以外でも多分日本ではほとんど知られていない会社もガシガシ増資してます。

例えば、最近2ヶ月ほどの間に、IT関係で2千万ドル、約20億円以上調達した会社にはこんなところが:

Sonos (ワイヤレス家庭内音楽配信) $25 million

Betaworks (Twitter系インキュベータ・投資): $20 million

LivingSocial (グループ購買): $25 million

Adenyo (モバイルマーケティング): $30 million

Pano Logic (シンクライアント): $20 million 

Ngmoco (モバイルゲーム): $25 million

YuMe (ビデオ広告): $25 million

Ustream (・・は知ってますよね): $75 million

SpiderCloud Wireless (室内ワイヤレス技術):$40 million

Tora (アジア投資用ツール):$36 million

Yelp (CGMレストランガイド):$25 million

Aircell (飛行機内ワイヤレスシステム):$176 million

Boku(モバイルペイメント):$25 million

というわけで、「リーン」なのが流行っても、リーンじゃないベンチャーもちゃんとあるのでした。

シリコンバレー的に「無駄に巨額な増資」とはいくらからか」への5件のフィードバック

  1. 不景気であればあるほど、優秀な人材を安く大量に集めてガシガシこき使えるから、知識集約型産業においては有利な側面もあるんでしょうなあ。
    日本のIT業界は労働集約型産業なので、このあたりの動向が正反対なのが興味深いです。

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  2. NGMOCO そんなに資金調達しているのですか。
    iphoneで遊べるゲームを作っている会社ですね。
    Toppleというブロック積みのゲームで遊んだことがあります。
    Macと、ゲームプログラミングの知識というかなりのシンプルな
    道具立てで、ここまでの大舞台にいくのかと、驚愕しています。
    シリコン・バレーってダイナミックな場所なんだなと、思いました。

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  3. Ustreamがガンガン金を集めてシェアを伸ばす反面、先発のニコニコ動画がいまいち伸び悩んでいるのは、サービスの質以外にこうした投資への意欲が日本だと低い事が原因としてあるかもしれませんね。

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  4. WSJのLean Methodの下記の記事でマーク・アンドリーセンが、”some entrepreneurs have misinterpreted Lean Startups as a reason to remain small and not go for big opportunities” と批判いれてますねww
    http://bit.ly/cFzfiw
    彼は、ネスケとLoud Cloudで一発当てたのが、逆トラウマになってんですかね?

    いいね

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