国民性を反映する本のタイトル

New York Timesの書評を読んでいたら、You Are Hereという本の話が載っていたのだが、 同じ本がカナダではWhere am I?というタイトルになってるんだそうだ。笑ってしまった。

人間、自分の心の中にある気持ちに近いものに惹かれる傾向が強い、らしい。

アメリカの大学/大学院向け共通テストの3択問題では、受験者の不安を表すような単語を敢えて間違った選択肢に含ませるのだそうだ。つまり、答えに確証がない状態だと「不安な意味の単語が入った(間違った)選択肢」を選ぶ可能性が高いので、まぐれ当たりが減る、と。uncertaintyとかanxietyとかまぁいろいろ。・・・という話が昔MBA用のGMATというテストの攻略本に書いてあって、へーそうか、と思ったものであった。

さて、この論に従うと、本のタイトルが国ごとに違うのは、それぞれの国民の持ちがちな気持ちに近づけているということになる。少なくとも出版側が「きっとみんなこういう風に感じているだろう」という想像に近いのでは。

で、アメリカ人は「オレサマはここだっ」という気概が強いので、You Are Here。

カナダ人は多分もっと奥ゆかしいので、「私はどこにいるのだろう・・・」ということでWhere Am I?

そういえば、What Should I Do With My Lifeという本があって、これは30代を中心とした数百人の人へのキャリアに関するインタビューを元に書かれており、詳細は当時書いたエントリーを見て欲しいのだが、タイトルを直訳すると

「私は、自分の人生で何をすべきか」。

shouldには、自分が社会で果たすべき役割は何か、といった義務、というか、天命、のようなニュアンスが含まれている。結構明るい転職話も沢山のっている。

して、この本が邦訳された際のタイトルは・・・・・

「このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるだろうか?」

・・・ひー。作者のポーブロンソンはどう思ったのだろうか。私だったらいやだな。

国民性を反映する本のタイトル」への6件のフィードバック

  1. “What should I do with my life?” の邦訳、「このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるだろうか?」は名訳かそれとも珍訳か? 難しいですね。千賀さんが以前の書評で指摘されている通り、前提とされている社会状況、とくに転職に関する感覚が全然違うから。でも、何となく結局回りまわって、同じところに辿りつく感じもしますが。
    同じ本が英語圏の違う国で別のタイトルで売り出されることがある、っていうのは、初めて知りました。Different titles for books published in Canada and the USとかで、グーグルしてみたら、イギリスとカナダはたいてい同じで、アメリカのタイトルが違うんだそうです。You are hereっていうのは、よくモールの地図とかに書いてある言葉ですよね。ということは、イギリスとかカナダではああいう地図にWhere am I?って書いてあるのかな?

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  2. まあ日本人にとっては、具体的なアクションがタイトルに付されていると魅力的な本に感じますからね。The Catcher in the Ryeもライ麦畑でつかまえてになりますし。「私は、自分の人生で何をすべきか」でいくと他の似た内容の本に埋もれることを恐れたのでしょう。日本人にはこの言葉では軽く感じられてしまいますし。なんというか、内容の骨格がダイレクトにタイトルに挙げられては奥ゆかしさが感じられないのです。
    又、暗めのタイトルの方が売れるという傾向もあります。アメリカと異なり、文学の歴史が長いため、昔ながらの人間の苦しい内面が先に出て、最後には明るくプラス思考(時として事実の受け入れ)で終わる書物が好まれるのです。この辺はロシアに近いです。
    とは言え、アメリカの文学は割と淡々としているように感じられるのですが、結構おくがふかいですね

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  3. 能動的な、
    “…should I…”
    に比べ、受身な、
    「…変わるだろうか?」
    人生観の違いが一目でわかりますね。 人生は自分で変えるものという思想と、他人とか周りの状況とかが自分の人生を作り上げていくという根本的な思想の違いが伺えます。
    この邦題では、読む気がしませんね。 英語の内容は面白かったですか?

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  4. 私は、What should I do in my life ではなく、What should I do WITH my lifeっていうところが、肝心な気がします。このwithは、極端な言い方をすると、全身で格闘して何かを獲得するって言うよりは、頭と手で形をつけるっていう感じなのでは。つまり、What should I do with my lifeはアメリカの中でもお金、才能、そして機会にも恵まれているけど、自分の選んだ仕事・活動に生きがいを見出せない人が、、「何でもやればできると思うけど、何をしたいか分からない」ってぼやいている感じ。
    それに対して、「このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるだろうか?」っていうのは、人生も仕事もそんな変えられると思ってないけど、せめて仕事でも変えたら、何か変わるのかなー?って思っている感じ。
    やっぱり前提としている社会と、その社会の中ではぐくまれた人生観の両方が違って、でもとろうかなと考えている行動は同じ転職。だからこの本を読みましょう。そういう意味で、結論は一緒なんだよね。。。

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  5. 『そんな彼なら捨てちゃえば?』?

    こう見えても私、ラブコメ好きです。 しかーし、この邦題では一瞬同じ映画だとはわからなかった、『そんな彼なら捨てちゃえば?』。 原題は”He’s just not that into you”です。 つまり直訳は「彼はあなたに気がないだけ」。 30も過ぎると誰にでも「あれは私が○○したから嫌がられちゃったのかな?」「私が……

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  6. 似たような話ですが、話題の本で最近映画にもなった「He’s Just Not That into You」が、日本では「そんな彼なら捨てちゃえば?」というタイトルになっていて、日本の女子は強気なんだなぁー、と最近思っていました。確かに私も邦題のほうが好きです。相手が自分に関心がないのが根本的な理由であっても、あくまでも捨てるのは私だ、と考えたいです。(笑)

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