バーチャルワールドで研究

昨日のエントリー

別にセカンドライフが流行ろうが流行るまいが、どっちでもよいではないですか。それより、新しい場で新しいことをトライしてみようというのも建設的ではないかと。

実際、経済学、社会学、法学等々の実験場として、とても面白いと思います。

と書いたんですが、早速面白い記事を見つけました。Economist8月23日号、Epidemiology: Viral or Virtual。爆発的にヒットしたオンラインゲーム(最近ついに落ちてきたらしいが)、World of Warcraft内の「伝染病」の話し。

開発元のBlizzardが、間違って非常に強力な伝染病をゲーム内に発生させてしまったことがあったが、それにどうプレーヤーが反応したかに興味を持った疫学の研究者が、「わざと伝染病を組み込んで、それに対するプレーヤーの対応を観察させて欲しい」とBlizzardに頼んでいる、と。

いわく、

the plague, and the reactions of the game’s players to it, recently
came to the attention of Eric Lofgren and Nina Fefferman, two
epidemiologists at Rutgers University in New Jersey. Writing in this
week’s Lancet Infectious Diseases, they propose that games
such as “World of Warcraft” might be used to work out how people will
react when faced with situations no researcher can ethically introduce
into the real world.

リアルの世界では「伝染病をちょっと流行らせてみて研究する」というというわけには行かないが、ゲームだったらOK、と。

One surprise was that players put themselves into risky situations more
often than epidemiologists allow for in their models. An unexpectedly
large fraction of players acted altruistically to protect their weaker
friends. On the other hand, a significant number seemed intent on
infecting as many other characters as possible—behaviour reminiscent of
a small minority of people with AIDS. There
was also a lot of dangerous curiosity, as players who were offline when
the plague began started logging on only in order to find out what was
happening, and thus risked the deaths of their characters.

疫学で想定されるモデルより、ずっとリスキーな行動に出る人が多かった、と。特に研究者が驚いたのは

「好奇心」。

自分のキャラが死ぬ危険を冒してまで、わざわざログインしてみる、という行動。

「もしかしてこれって、リアルの世界でもありえる行動パターンなのでは」

ということで、よりよく観察するために、異なるリスクの病気を新たにワールド内に放ってみて、プレーヤーの行動を観察したい、と。従来のオンラインゲーム内での研究結果に基づけば、バーチャルな行動は、リアルなものに相当近いと想定されるので、と続きます。

もちろん、ゲームとリアルの世界での人間の行動様式は異なる。特にMMOゲームのキャラは「復活の儀式」で生き返る、というリアルではありえないオプションもあるし、とEconomistは締めくくっています。

で、記事の挿絵は、実際にゲーム内で復活の儀式をしているスクリーンショット。こういうのって、日本のまじめなビジネス・経済誌にないセンスですよね。アメリカもちょっと違う。イギリス的。

ま、これが実際に疫学の進歩に結びつくかは別として、新しい「発見」は、無から突然出てくるのではなく、異なる二つのものを掛け合わせることによって生まれることが殆ど。ゲームプレーヤーの行動と、自分の研究を結び付けて考える、というのも「二つの違うものの掛け算」の一つですね。

バーチャルワールドで研究」への6件のフィードバック

  1. なるほど。たしかに想定外の行動パターンなわけですね。
    人の有様を科学する方向から心の有様を科学する方向に
    シフトしていく前段階みたいな感じがしますね。

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  2. ライフシュミレーションゲームをする時の動機が、「現実とは違う生活を体験してみたい。」というものだとすれば、「従来のオンラインゲーム内での研究結果に基づけば、バーチャルな行動は、リアルなものに相当近いと想定される」というのがまゆつばで、「疫学で想定されるモデルより、ずっとリスキーな行動に出る人が多かった」というのは予想通りだと思うのですが。
    それとも「現実とは違う生活を体験してみたい。」という動機からゲームを始めても、やってみると現実と大して変わらないことをしていることも多い ということなんですかねえ。

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  3. chikaです。
    バーチャルワールドの中では中なりの秩序があり、その中での行動規範は、試行錯誤を通じて結局現実世界に近づいていく、という傾向はあると思います。
    現実と違う生活をしてみたい、と始めたとしても、あまりに破壊的行動をすると、バーチャルワールドが楽しめなくなってしまうので。
    World of Warcraftで、仲間を裏切り続けながらギルドの人たちと一致団結して敵を倒す、というのは無理だと思うし、セカンドライフでも無神経なヒトは嫌われる。結果的には人間が長い歴史の中で試行錯誤して作り上げてきた社会規範と似たものが出来上がってきちゃうようです。

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  4. 「とりあえず、どうなるかかかってみよう」というのが面白いですね。
    「プレーヤーの英知を結集して問題の解決策を探る」ゲームも使い道ありだなと思います。Second LifeやWorld of Warcraftとは違う形のオンラインゲームだけど、こんなのとか。
    http://worldwithoutoil.org/
    これも軍がモニターしてたそうです。

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  5. > 結果的には人間が長い歴史の中で試行錯誤して作り上げてきた社会規範と似たものが出来上がってきちゃうようです。
    まぁ、バーチャルな世界では、「肌に合わなければ止める」という選択肢が簡単に選べるので、サンプルが偏る(肌に合った人しかいない)というのはあると思いますので、普遍化はしにくいでしょうが。

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    先日のエントリーでmyminilife,を紹介したが、今回はその日本バージョンともいえる「めたっぱ」をご紹介したい。このサービスは、個人ホームページ、ブログに簡単に貼り付けられる、アバターチャットシステムを無料で提供している。現在公開中のチャットスペースみたいなヤツ…

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